映画「ラ・ラ・ランド」
第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、J・K・シモンズの助演男優賞を含む3部門で受賞した映画「セッション」のデミアン・チャゼル監督が制作した長編作品の2作目。
第74回ゴールデングローブ賞では、作品賞(ミュージカル/コメディ部門)など、同賞の映画部門で史上最多の7部門を受賞している。
第89回アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞など主要部門を含む13部門に14ノミネートされ、最多ノミネート記録を持つ映画「タイタニック」と並んだ。
監督賞・主演女優賞・撮影賞・美術賞・作曲賞・主題歌賞を受賞した。
なお、2016年12月12日の週に全米公開されるも全米興収ランキング15位で、10位以内にランキングされたのは公開3週目で、必ずしも興行収益的に成功しているわけではない。
映画の冒頭、高速道路で、オリジナル曲「Another Day of Sun」を渋滞中のドライバーが歌い踊りだす6分のシーンは、ワンカットで撮影されている。
映画の中で出会うきっかけでもあるジャスティン・ハーウィッツが担当するサウンドトラックは、エピローグ曲としても使われているが、メロディは同じだけど、時を経て編曲されるに至ったことが観客に分かるようになっている。
主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンは、ピアノ、ダンス、時折見せるパフォーマンスなど、全て本人達が演じている。
ロサンゼルス・ハリウッドという音楽と映画への夢を追い求める人達に向けての映画で、成功するには運も重要で、その運を掴むためには、日頃から忍耐的な努力も惜しんではならないことを突きつけてくる。
セバスチャンは「本物ジャズは死にかけている」と嘆くが、それは、映画の中でなんども登場するミュージカルも同じであり、1950年代に一世風靡しながらも、かろうじて生き残っているジャンルに光を当てている。
セバスチャンとミアが最初にタップダンスで踊りだすシーンは、ミアがこれ見よがしにタップシューズに履き替え、ミュージカル映画にありがちな「突然歌って踊りだす」演出ではなく、現実と夢との狭間に切れ目を置かない演出がとても新鮮に感じた。
その演出はプラネタリウムのシーンでも使われており、魔法と現実との境目がなく、主人公達も、それらを自然な出来事のように演じている。
セバスチャンはジャズミュージシャンとして成功したいとは思っておらず、ジャズクラブを経営したいだけなのだけど、生活のために参加したバンドが大ヒットしてしまい、音楽家としての名声を手に入れてしまう。
ミアは大好きな叔母がやっていた女優にただ憧れているだけで、具体的な女優業への目標がなく、それが個性を生み出せない状況となっており、セバスチャンの助言で脚本家と1人芝居を決意するも、観客の声で挫折し夢を諦めてしまう。
しかし、その1人芝居がきっかけで大女優への道が開く。
夢を途中で諦めてしまい、再び夢に向かって走り始めるその先は、理不尽な世界での成功を掴んだ末路の1つだったのかもしれないと思った。