Appleは、初代iMac以降、カニバリする多くの製品を整理し、セグメント分けをシンプルにした。
最初は、デスクトップとノートPCの2つに「パフォーマンス」と「リーズナブル」を加え、Mac全体で4つのセグメント分けを行い、それぞれの製品に「Good」「Better」「Best」の3パターンを用意する製品ラインアップを採用した。
デスクトップのパフォーマンスはPower Macー>Mac Proであり、Mac miniはWindowsからのスイッチ製品というセールス色の強いセグメントとして独立している。
デスクトップのリーズナブルは、一貫してiMacであり、画面のサイズと品質によって、iMac (21.5-inch, 2017)は「Good」のみ、iMac (Retina 4K, 21.5-inch, 2017)は「Better」「Best」、iMac (Retina 5K, 27-inch, 2017)は「Good」「Better」「Best」という構成となっている。
デスクトップの用途は、ハードウェアの進化により、ハイエンド向け制作が可能になったことで、デスクトップのパフォーマンスセグメントに「iMac Pro」が追加されることになった。
このiMac Proにも「Good」「Better」「Best」の3パターンが用意される。
このデスクトップ一体型モデルに、XeonとAMD Radeon Proを搭載した構成は、他に「Dell Precision 5720 All-In-One」などがあり、主要パソコンメーカーも注目している新しいセグメントとなっている。
ノートPCに関しては、ノートPCのパフォーマンスは、PowerBook G4ー>MacBook Proであり、MacBook Pro (13-inch, 2017, Two Thunderbolt 3 Ports)は「Good」と「Better」、MacBook Pro (13-inch, 2017, Four Thunderbolt 3 Ports)は「Better」と「Best」という構成で、MacBook Pro (15-inch, 2017)は「Better」と「Best」という構成になっている。
ノートPCのリーズナブルは、iBookー>MacBookで、2010に一度途絶えてしまうものの、2015に再び復活した。
ノートPCのセグメントにはもう1種類「モバイル」があり、これにMacBook Airが該当する。
最初は、13インチだけだったのが、途中でさらにモバイルセグメントを進めた製品として11インチが追加された。
ユニボディの製造技術が上がり、MacBook Pro、MacBookの薄さも向上したことから、「リーズナブル」と「モバイル」のセグメントが、MacBookとMacBook Airとで入れ変わり、現在、ノートPCのリーズナブルはMacBook Airが、ノートPCのモバイルはMacBookが担うようになった。これが、価格の差という形で表れている。
Appleの場合、Retinaディスプレイ、SDスロットの有無、接続ポートといった細かい仕様差は、あまり重要ではない。そうした細かい仕様差に注力すると、製品の大きなメッセージがぼやけてしまうからというのが理由のようだ。
iOSデバイスとしてのタブレットは、パフォーマンスは「iPad Pro」、リーズナブルは「iPad」と「iPad mini」で、iPadに関してのみ画面サイズが違うだけで製品名を変えている製品となっている。
いずれ、iPad miniはインチで呼ばれる製品になるか、そもそも終了になるのかもしれないが、全てのiPadにおいては、Wi-Fi + Cellularモデルが用意されており、モバイルというセグメントとしては全て当てはまっている。
AppleにとってのiPadは、MacとiPhoneとの間を埋める製品なのだが、これまではiPhone寄りの立ち位置だった。しかし、iOS 11からはMac寄りの立ち位置に変わり、iPadでMac寄りの操作体系に変わることによって、iPadからMacへのステップアップがしやすくなると考えられる。
iPadは、iPhoneに変わる場合、さほど問題はないが、iPadからパソコンにステップアップする場合、WindowsともmacOSとも違う操作体系によって移行し辛い面があり、タッチ画面操作というだけで、Windowsに流れてしまう事が起きていたのを防ぐ狙いもあるのだと考えられる。
iPhoneに関しては、4インチ、4.7インチ、5.5インチという画面サイズの違いに加えて「Good」「Better」「Best」の3パターンがラインアップされているが、Macのようなセグメント分けはされていないようだ。
Appleは、iPadの製品構成を減らし、生産効率と製品ラインアップのシンプル化を進めた。
いずれ、iPhoneも4.7インチ、5.5インチの2つの画面サイズを1つにまとめ、生産効率と製品ラインアップのシンプル化を進めると考えている。