Appleマーケティングに新しい風を吹かす「Strategy at Apple」の存在
Appleは、2015年からマーケティング部門にマーケティング戦略チーム「Strategy at Apple」を作り、Advertising Ageの元編集者Alex Kniess氏、Caratの元戦略ヴァイスプレジデントJustina Omokhua氏など戦略マーケティングのスペシャリストを社内外からヘッドハンティングしてきた。
記者やメディアなどと接触してマーケティング活動を行うマーケティング・コミュニケーションズ部門とは別に活動する。
Beats by Dr. Dreには、この戦略部門はApple買収以前から存在した。
ようは、バズマーケティングやSNSマーケティングなどを総括する拡散マーケティングと考えると分かりやすい。
メッセージングシェアでは、世界全体ではFaceBookが買収したWhatsAppがシェア1位だが、日本ではLINEの利用者数が圧倒的に多く、中国ではWeiboやQQを利用するユーザーが多い。使用するアプリのシェアが異なれば、同じ手法は使えず、各国毎にローカライズする必要が出てくる。
Twitter、FaceBook、Instagram、YouTubeも欠かせないが、こうしたグローバルSNSアプリは、投稿する内容に対して翻訳やローカライズアカウントを用意する必要があり「世界に対して統一メッセージを伝える」方針だったAppleにとって難しい状況だった。
加えて、Google検索へのインターネット依存度が下がり、グローバルSNSアプリによるインターネット検索がシェアを占めるようになってきた。
検索されるのはもちろんだが、拡散してもらうことも重要だ。
このStrategy at Appleで、注目しているのが、Apple Senior Brand Marketing & Strategy LeadのLauren Gallo氏だ。
彼女は、Missoni、Soho House、Nikeなどの広報やブランドマーケティングを経験した女性で、Forbesが選ぶ30歳未満の注目すべき人材2017としても選ばれている。
なにより自身のSNSの使い方にセンスが感じられる。特にTwitterのツイートは、自撮りも含め、どれもファッションとセンスを感じさせるものばかりだ。
戦略マーケティングが担う範囲は、これまでのマーケティングコミュニケーションよりも桁外れに大きい。
2017年になって、このStrategy at Appleがマーケティング活動に占める割合が急速に拡大しつつあり、iOS 11のApp Storeの一新も「メディアとしての発進力を持つ」ことが目標となっている。
ゆっくりとした口コミも大事だが、自身がインフルエンサーとなって情報を拡散する力を持つこともこれからの企業にとっては重要で、ようやくAppleも取り組み出している。
その彼女が重要な言葉として選んでいるのは、2011年3月2日にスティーブ・ジョブズがiPad 2を発表した時に言った「アップルのDNAには、技術だけでは不十分だと刻まれている。我々の心をふるわせるような成果をもたらすのは人間性と結びついた技術だと、我々は信じている」だ。
AppleのDNAはこれまでと変わらないが、人間と結びつく手段としてiPhoneを世に送り出し、生活を一辺させたApple自身が、その変化を追いかける立場にある状況なのだと言える。