CanCam 2017年2月号のiPhoneカメラ大特集「We Love Kawaii PHOTO」から分かる女性読者に向けた編集の仕方

DANBO
5 min readDec 28, 2016

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日本におけるiPhoneの所有者は「Yahoo!JAPAN マーケティングソリューション」公開情報から、男性よりも女性ユーザーの方が多く、Androidと比べても、20代の所有率は圧倒的に女性ユーザーの方が多いことが分かります。

backspace.fm「Danbo-side #016」で、大西結花さんが話していたように、女性読者が、iPhone情報を目的として専門サイトなどを積極的に探してみることはありません。

ファッション誌の数を比べると、男性誌よりも女性誌の数の方が圧倒的に多く、その理由として「ファッション」というジャンルに対する多様性の幅が、男性と比べて、女性の方が圧倒的に広いことが考えられます。

Instagramや自撮りという言葉が当たり前に言われるようになり、「Instagramで検索」という男性には馴染みが少ない使われ方も女性の中では生活の一部となっている気がします。

お姉系 / 赤文字系のCanCam 2017年2月号にiPhoneカメラ大特集「We Love Kawaii PHOTO」が掲載されています。

iPhoneを手にもつユーザーの半数は女性で、その女性に向けた「iPhoneのカメラ」の紹介の仕方とはどういった物なのかじっくり検証してみることにしました。

まず、この大特集で撮影を行っているカメラマンは、第一線で活躍するファッションカメラマンやフードカメラマンの方々で、敢えてiPhoneだけで撮影することを頼まれたことが明かされており、どのカメラマンも「初めての試み」だと感想が述べられています。

大特集は95ページもあり(全ページの約4割)、そのほどんどは「自撮り写真」で埋め尽くされています。

iPhoneの説明に関しては、撮影風景の裏舞台から見たオフショットとフィルターの説明がされた2ページ分しかありません。

写真の撮り方は、ほとんどが「構図」に集約されていて、良い例/悪い例とを比べながら説明されています。

登場するアプリは「VSCO」「Instagram」などですが、具体的な使用方法の説明はありません。

しかし、写真を見れば分かるのですが、ソニーが2012年に女子カメユーザーの好むフィルターとして見出した「ソフトハイキー」「ソフトフォーカス」「ミニチュア」「リッチトーンモノクロ」などが多く使われていることが分かります。

こうしたフィルターは、おそらく「見れば分かる」範囲なのだと考えられます。

やはり女性のSNSにおける人気は「Instagram」であり、そこで人気を得ているインスタグラマーにテクニックを聞いたり、ライトアートや溶けてる撮影といったInstagramで流行している撮り方などが解説されています。

「女性を美しく撮影する」とか「鉄道写真」「風景」といった男性目線の説明は一切無く「日常の風景の中にある色に注目する」「料理の正面の顔を映す」といった抽象的な表現を写真に添えて説明する方法で解説がされています。

通常の写真入門書籍でも同じだと思いますが、実際に本を見ながら撮影の練習をすることは少ないでしょうから「テクニックを記憶してもらう」方法論として「イメージさせる」ことが大事だと考えた場合、CanCamは「部分的に焦点を当てた抽象的表現」を用いていると思います。

男性の私には、ピンときませんが、おそらく、この書き方が20代女性には記憶されるのでしょう。

もう1つの特徴として「Instagram」に投稿され、結構イイネをされている写真を地図上に並べて、その場所近くに行けば同じような「風景」を撮影することが出来ることを紹介していることです。

これは、一見情報の渦のように見えますが、多数の選択肢を提案することが「コーディネート」を得意とするファッション誌の要であり、多く提案して、その中で1つでも選択されたらOKとする考えたは、ガジェット中心雑誌では考えられない編集方法じゃないかと思います。

ところで、この大特集で紹介されている写真の多くは、実際に撮影しようと思っても、簡単に真似できるようなレベルではありません。

ただ、ファッション誌を「カンコピ」することが目的で読んでる方は皆無で「夢を与えてくれる」読み物として読んでる人が大半であることから、このiPhoneカメラ特集も「iPhoneのカメラでもここまでできるんだ!」ということが伝われば編集部的には目的を果たしたことになるのだと思います。

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