ちらしはまぁ金輪際諦めた

今年はちらし鮨が食えなかった───。これが残念です。無念かといってもいい。ぢぁ食えばいい ぢぁないかというとまぁそういうはなしでもない。ちらし鮨というのはカウンターでは食べるもんじゃありません。ましてや夜の鮨屋で注文はしようともへばそ れはできるが、鮨やの骨頂には非礼です。ですから午ということになるが、旨いそれはクルマでそうですね、午でしたら三時間かかる───。L.A.の場合で すから食べれないとなる。
先日何年かぶりに知己に再会しました。彼はまだ無名の時代に後援していた。当時からこの料理人は人物としても伎倆からも 大成するとおもっていたからこそ後援していたんです。その彼が無名の見世をミシュランで三ツ星と獲るまで高めた。まぁ私の役割はそこで終わった。その彼が 全農直営のあの店の頭になった。その彼が恩顧を忘れずに挨拶にきてくれた折、「ちらし鮨をなんとかできないかな」と訊ねましたら、「いいです、やらせてい ただきます」と応えてくれた。ですから顔を出さなきゃいけないが、私はやはり注文する気はまぁなくなりました。人は大成して昔を忘れずにいる人、前へ向い て忘れることを使命とする人、人として堕落していく人いろいろだが、恩を忘れずにいてくれる心持ちだけで、まぁお腹はいっぱいだ。というわけで、ちらし鮨 はまぁ金輪際諦めたという2015年です。