
オバマ時間 -変貌の証明書-

オバマ大統領がその任を了する。歴代大統領とおなじく大統領がなにを為し、なにを為し得なかったかという論議から大統領は免れ得ないし、また彼是のそれぞれの立場から語られるであろう。

私はそのどちらも───。なにを為し得て、なにを為し得なかったか(為し得なかったという語りが専らであるが)自体が意味を持たないとおもっている。それは私自身が目撃し体験したオバマ大統領誕生前の動き───若者たちが自らの世代交代に動き出した現実のコミュニティでの動き、あの当選発表前にL.A.の街にあふれた若者たちの熱気のなかに、この意味に於いて、この意味だけに於いて大統領は登壇したのだという一点に(それは十分すぎるほどの、それだけでも十分な意味をU・S・Aの歴史に持つものだと念う)大統領の意味はあったし、それ以外に私はなにを期待をする観点を持たなかったからかも察れない。
チェンジ。

あらゆる時代の壅塞を打破するとき、それを象徴することば、存在は抽象的であり、その抽象さはなにがしらの、膨大な期待感をバキュームし膨れ上がる。チェンジということばも左右であった。人の宿命として膨らまされた期待もまた抽象的であり、その期待感が裏切られるのも期待した人心そのものが抽象的であるがゆえに裏切られるものである。
それをいちばんdiscernmentで解っていたのは大統領自身だと私はおもうが、その点で大統領のViewsと人びとのImageはその政権出帆時点で違っていた。であるからして大統領は公約が実らぬ現実的なPennsylvania Avenueの論理のなかで、変貌のレール───誰がなにを以てしても戻れぬ変貌のレールを敷設するのに彫心鏤骨した。それは世代交代というレールであり、多様性統合───E pluribus Unumを放棄して多様であるがままのUnited of they/them/theirsの初期建設を行うことであった。大統領側近に若者たちを配置することによって、次の世代がその任に登用される既成事実を作った。25〜30の若者たちが大統領特別顧問、机要スタッフ、各省スタッフとして登用し、その能力が任に耐えうるを実証したことによって、これからの政権幹部或いは各州の肯綮ポストに20代30代が登用される(もう登用されている)戻れぬ主役世代を交代させることを可能にした。

40代50代といった世代にその能力がなければすぐさま彼らと取り替えられるという競争原理を用いたことによって変貌の速度を速めることにもなった。うかうかしていれば20代30代にその席を奪われるという状況は、忌が上にも当該世代に圧をかけるものであり、それがフレキシブルさをもたらすという変貌の保障政策は実現したに間違いはない。

大統領はそのために歴史と時代に召喚された───。なにを為したか、なし得なかったはやはり意味のある論議ではなく、その焦点がずれている。つまりずれた焦点それ自体が大統領の着手した変貌の証明書でもあるということだ。