Rethinking Japan・私が危ぶむ日本の突然変異を起こす時刻


鳥渡長くなりますが、みなさんの分かることばで日本の社会への警笛を述べられている一文がありますので、引用させていただきます。現下の日本社会の危機がなぜ起こったのか───を当事者の発言で示すことは有効であるとおもいます。


「テレビでわれわれの芸能は、やりにくくなってくるんです。なんで芸人になったか言いましょうか。みんなといっしょのことをやるのが嫌いなんです。そういう人間はいるんです。できるだけラクしたい。目立ちたい。ちやほやして欲しい。だいたいこういう事なんです。芸人になっている奴の根の考えというものは。暴力団もいっしょなんです。同じ考えでしょ。芸人と暴力団が癒着するような、というのがおかしい話で。根はいっしょのタイプなんですから。ちょっと子供の頃から口が達者だったか、腕が達者だったかで、木の枝が分かれただけです。テレビに出る以上は、芸能人といえども一般人として良識を持たなくてはいけない───と。こう仰る御仁がおられます。良識なんかあったら、こんな仕事してませんからね、私たちは。良識がないから芸人やっているんであって。『そうしたらお前、ラクしてだな、ちやほやして貰って、目だって、お金もたくさん儲けて、いいことばっかりじゃないか』と云うけれども、その代り末路の哀れは覚悟の上だというのがあります。売れればこんないい商売ないですけど、売れなかったらこんな惨めな商売はない、という奴ですからね。ですから、我々は棚からボタ餅、濡れ手で泡、一攫千金、それが取れたときはいいですが、取れなかったら末路は哀れ窮まりません。もう、後は野垂れ死にすることの覚悟の上、ダメだったら見事にどこで死んだか判らないような、そんな死に方をする。その代り、良かったときは、もう一攫千金、夢見るような。それが我々の世界です。その代り、一般の人はコツコツコツコツやって、我々のことを『あんな人間になってはいけない』と後ろ指差しながら、最後には、『ほら、努力する者が勝ちでしょ』と謂う世の中のきちっとしたピラミッドを作らなきゃいけないのに、これを崩してしまったから、一般人までがみんな一攫千金、濡れ手に泡、棚からボタ餅、全員がいまや芸人志向に働いているんですから。テレビに出る我々が、『がんばりましょう。一生懸命やりましょう。マジメにやりましょう』ってこんなバカなことはないですよ。テレビは我々お笑いの芸能界までも無残に変えてしまった」


2011年のお話です。お述べになられているのは上岡龍太郎さんです。これは約束された今日のニッポンとその社会がどのような堕落と魚爛に塗れるかの必ずを言い当てている。私たちGaijinが私摘しても、日本人にとっては安心感がある、愉快感があるんですね、日本を分析する私たちGaijinの文書であれ論評は、うっちゃり方法で第三者化、他者にさせて関係のない自分を瞬時に作成して読む見る。こういう安心感が作動します。ですから当事者である日本人に語ってもらうのがいちばんよい。だがこれも気をつけなきゃいけませんのは、日本社会の一人一人の人間関係、社会との関係範囲が、自身から1メートルもないでしょうから、日本人自身の警告もうっちゃっるのかも察れない。またそれが濃厚だとおもうのですが。

「世の中のきちっとしたピラミッドを作らなきゃいけないのに、これを崩してしまったから、一般人までがみんな一攫千金、濡れ手に泡、棚からボタ餅、全員がいまや芸人志向に働いている」

漫才を見たことのない芸人たちが、テレビに登場する各界各人までが、競って芸能界という内輪ネタで、人びとの歪な憧れを煽り、また一般人がそれに染まっていくという過程(もう当たり前のことになってしまっていますね)でも、それまで決して社会の表には登場できなかったような闇紳士たちが、世の中の表に、その発想と手法を持ち込み、社会と人びとは染まってしまってゆく───。気づかないあいだに染まっていったのです。そしてやはりピラミッドは崩れてしまった。その崩せるを育てた土壌は1980年代の土層ということになるとおもいます。これらのすべてですね、派生しさらに歪化した単純さが亢進するところまで亢進し続ける2016年の到達している、ニッポンがある。そのような社会が健常なかたちを保てる訳がありません。我が家へ帰る我が家の自らの部屋に戻ったとしても、コンピュータを開けば逃げ場がない。以上に染められ放ちで逃げる場所も隠れる場所もないニッポンと人びとがいる。その結果なのです。
 私が社会を再建する声が日本から聞こえてこない、これっぽちも聞こえず、届くのは個別の題材でしかない。ほんとうの病巣がいまや怖くて見ない、触れない、語らない───それとも単純な動物───になってしまったからかもある。
 この社会が進む帰結は、ボロボロになり、内戦が激しくなり、相い食むしかない。未だ一定の体裁を保つかのように見える、ただ人びとの反応によって辛うじて保たれている日本は、これから或る風穴がもたらされると、急激な細胞分裂に突然変異を起こすでしょう。
 私はその時を危ぶむのです。