ピッチ資料作成の心得

一戸将未
Sep 8 · 6 min read

こんにちは、ジェネシア・ベンチャーズ(以下GV)の一戸です!

起業家の皆さん、突然ですがピッチ資料は何のために作っていますか?

多くの方がその問いに対して下記のような回答をするかと思います。

「投資家から投資を受けるため」

この回答は全く間違っていませんし、それも1つの目的だと思います。ですが個人的には、もう1つ上のレイヤーの目的があると思っています。正直な話、それらを意識できれば、ピッチ資料の作成はそんなに難しくないんです。

はじめに

僕はベンチャーキャピタリストとして、普段多くの起業家の方にお会いしています。そして実際にお会いする前には、可能な限りピッチ資料を事前に共有してもらうようにしていて、予め事業の理解、また、自分なりの事業戦略を構築した状態で起業家とのミーティングに臨むようにしています。なので日々一つ一つのピッチ資料をじっくり読み込んでいます。

VCの方であれば、日々たくさんのピッチ資料に目を通しているので、自分なりのピッチ資料の構成などが頭に入っているかと思いますが、起業家の方は必ずしもそうではないはずです。実際に「ピッチ資料」とググってみると、検索候補にはこのようなキーワードが表示されます。

検索結果に出てくる記事をいくつか見てみましたが、どれも素晴らしく、参考にした方が良いピッチ資料を数多く紹介していたり、また、実際に盛り込むべき内容などをまとめているものもありました。

一方で、「そもそもどうしてピッチ資料を作成するのか?」「何を意識してピッチ資料を作成したら良いのか?」ということを適切に説明しているものが見当たらなかったので、今回はそれらを簡単にまとめてみました。

ピッチ資料作成の目的

結論から話すと、これら3つがピッチ資料を作る目的かと思います。

①自らの思考を整理するため
②投資家に仲間になってもらうため
③投資家に投資の意思決定を促すため

それでは一つ一つ簡単に説明していきます。

目的①:自らの思考を整理するため

普段、ピッチ資料を作成する以外に、自社の戦略について体系的、かつ網羅的にまとめる機会ってあまり無いと思います。それらを資料に落とし込むことができれば、自分の頭の中にあるものがスッキリするだけでなく、明確に言語化することで戦略の見直しができたり、また、何よりも社員がその資料に目を通すことで会社の状態を即座に、かつ正しく把握することができるはずです。

ファイナンスは基本的には事業のステージが切り替わる段階で行われるものですが、これを上手く活用できれば、事業にとってとても良いタイミングでビジョン・ミッション、中長期戦略、短期戦略などを体系的、かつ網羅的に見直し、まとめることができます。実際にGVの支援先の起業家の中にも、ピッチ資料を作るためではなく、自社の戦略を体系的、かつ網羅的にまとめるためにピッチ資料のようなものを作成している方もいます。

また、社員がその資料を見ることで、会社の方向性、全体的な戦略、自分の部署の戦略を理解し、それらを踏まえた上で自らの戦略を自分で思考できる程の資料の解像度の高さになっていると良いのではないかと思います。

なので理想としては、ファイナンスの際にだけ作成、見直すというよりは、定期的に全体を振り返るためのものとして扱った方が良いでしょう。

目的②:投資家に仲間になってもらうため

恐らく、多くの起業家の方は、ピッチ資料は投資家に事業を説明するためのものと考えているかと思いますが、僕はそうではなく、投資家に仲間になってもらうためのもの、具体的には、投資家に事業を理解してもらった上で、起業家と同じ船に乗って企業価値向上に向けて伴走してもらうためのものだと考えています。

とりわけ投資家の中でもVCというのは、ただお金を投資するだけではなく、本来であれば(程度の差こそあれ)自分自身も当事者として事業戦略について考えるものです。

なので、例えば「このVC、キャピタリストは事業を解像度高く理解し、本当に我々と同じように当事者として事業戦略について考え、伴走してくれるのか」ということを確認するためにも、その時点で自らが持ち得ているもの(業界へのインサイト、事業戦略、経営指標、組織状態など)は惜しみなく伝え、自分たちが気付いていないようなインサイトを与えてくれるのかどうか、つまり、質の高いディスカッションができるのかどうかを確認した方が良いです。

目的③:投資家に投資の意思決定を促すため

これを最後に持ってきたのは、基本的には①と②の重要度が高く、③の重要度は低いからです。ただ、ファイナンスというのは事業フェーズの問題(PSFが完了しているか、PMFが完了しているか、等)もあるので、現在の事業がどういう状態にあるのかということだけではなく、なぜ今調達するのかということも記載する必要があります。つまり、これまで何を行ってきたから現在何が達成されて、さらに調達した資金を使って今後再現性を持たせてどうスケールさせていくのかといったことを記載する必要があります。

ピッチ資料は投資家に投資の意思決定を促すためのものでもあるので、①と②で基本的な内容はおさえ、プラスして、「なぜ今なのか」、「いくらの資金が必要なのか」、「その資金を使ってどういう状態を達成するのか」ということも記載できると、満足度の高いピッチ資料が完成すると思います。

おわりに

以上が、ピッチ資料作成の心得になります。もしこれを読んで、ピッチ資料に対する意識が変わり、前よりも満足度の高いものを作れるようになった方がいればとても嬉しいです。

上記を読んだ上で、「では具体的には何を記載すれば良いの?」という疑問を持たれる方もいるかと思いますので、そのような方は、GVで「Founders Gate」という事業の壁打ちができる場を設けていますので、ぜひ応募してみてください。

Founders Gateの申し込みリンク:https://forms.gle/AVN6S7dK4FXmjDWF6

最後まで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!

●一戸のTwitter:
https://twitter.com/ichinohe_GV

●Founders Gateに関して:
https://medium.com/@ichinohe/25歳以下の起業家を対象として事業の壁打ちを行う-founders-gate-の募集を開始しました-650a531c4a23

●GVのHP:
https://www.genesiaventures.com

    一戸将未

    Written by

    ジェネシア・ベンチャーズ/アソシエイト

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