メディアでのキャリアを通じて学んだ15のこと

キャリアの旅を導いたのは双眼鏡を手に岸壁に立っていた8才の自分の姿だった


この記事は現在にいたる私のキャリアを通して学んだ15のことをまとめたものだ。2015年2月10日にイースト·ロンドン大学でメディアを学ぶ学生におこなった講義を編集したものである

#1 プランをもつことよりもゴールをもつことが大事

どんな人生をおくるか、計画することはできる。 あなたは家から事務所までの毎日の旅を計画することはできる。どの電車に乗って、何駅通過して、どれほどの時間で到着するかを。

しかし、あなたがキャリアを計画することができると、私は思わない。ほとんどのキャリアには、ランダムに左に曲がったり、たまたま出会ったチャンスを拾ったりすることが含まれる(私にはそうだったように)。それをあなたのキャリアの中に予定することはできない。

「キャリア」という言葉が意味するものを思い出してみよう。丘を下に向かって疾走する(career)車があると聞けば、その車が注意深くルートをたどっているなどとは誰も思わないだろう。車は制御不能になって突き進んでいるはずだ。 その感覚こそ、私が自分のキャリアに感じることだ。

計画は不要だ。だけど、ゴールが必要だ。

#2 あなたのゴールにNOと言う人を無視しよう

私は12才か13才のころ自分のゴール(目標)をつくった。テレビかラジオなどのメディアで働きたかった。それが私の夢の仕事だった。

それは私がテレビのない家で育ったことに起因しているかもしれない。8才のころはじめてテレビを見るために外に出かけたとき、私はテレビに魅了されそんな仕事がしたいと思った。ラジオにも同じような憧れをもった。ベッドカバーの下のポケットに入れたラジオからラジオ・ルクセンブルクの放送をはじめて聞いたとき、ラジオでも働きたいなと思った。

私はメディアの学位のとれる大学に進学することを決め、それが放送の仕事につくためにはベストな道だと考えたのである。

しかし、校長先生は協力的ではなかった。メディアコースは競争が激しすぎるというのである。彼はまったく違うこと、ビジネス実務を学ぶように勧めた。今では彼がなぜそうしたのかわからないが、彼は入学案内を渡してこちらにするようにと言った。

私は彼を無視した。

もし彼のアドバイスを聞いていたら、私のキャリアの軌跡はまったく違ったものになっていただろう。しかし、私は無視することに決めたのである。

#3 組織に加わるベストなタイミングとはそれが始まったときである

仕事を探すとなれば、アプローチする会社は大きな場合もあれば小さな場合もある。私の経験では、小さな会社は-ほとんど給与もでないけれど-少人数のチームなため、新しく入ってきたメンバーにさまざまな仕事をするチャンスを与えてくれる。.

始まったときに、その組織や会社に加わるのがベストタイミングであるということは真実だ。

私がまだ学生だった頃、地元に新しいBBCの局ができることを知った。私は土曜の夜に行われていた若い人向けのボランティアプログラムに参加することができた。その局はまだオンエアされていていなかったけれど、スタッフを教育する必要があった。私は貧しかったがそこにいて、喜々としていた。彼らはスタジオ機器の扱いを教えてくれ、ラジオ放送カーの扱い方まで教えてくれた。私はまだ学生だったのに、ラジオ局での豊富な経験を得ることになった-ミュージシャンをインタビューしたり、プログラムの放送を助けたりして、放送の背後で行われていることをやらせてもらった。

ごく若いころに、私はたくさんの経験をさせてもらうことができたのである。

#4 コピーにうまくなる

最初の仕事についたら、あなたはつまらない仕事を頼まれるだろう。

お茶を淹れてくれとか、コピーをとってくれとか。そして、そんなことのために3年間大学で勉強してきたのではないと思うだろう。

でも、絶望する必要はない-それは単なるテストだ。あなたはそのテストに合格するように頑張る必要がある。

大学を出てから、私はテレビ制作会社で使い走り(AD)をした。つまり、電話に出たり、お茶を淹れたり、コピーをとったりというようなことをした。そういう仕事にむきあうあなたの態度に問題がなければ、テスト合格である。

ちゃんとコピーをとることができれば、あなたに任せて大丈夫という評判を得ることができる。そういう評判はあなたのそれ以降のキャリアについてまわるだろう。しばらくして、私も使い走りから昇進することになった。周囲の人たちが、イアンに任せておけば大丈夫と思ってくれるようになったからだ。

#5 ‘クリエィティブ’ 対 ‘ノン・クリエィティブ’は迷信

メディアでの仕事は「クリエィティブ」と「ノン・クリエィティブ」に分けられると言う人がいる。そのことは多くの環境でまだ正しい。

しかし、その伝統的な分類は意味のないものになってきていると私は思う。私たちはみんな自分の仕事にクリエィティビィティを持ち込む必要がある。それは上手い絵を描ける必要があるという意味ではない。

あるメディア・グループで働いていた時、私は選択をしなくてはならないと上司に言われた。ラジオのプロデューサー(クリエイティブ)になりたいのか、制作マネージャー(ノン・クリエィティブ)になりたいのか。それはまるで分かれ道のように説明された。どちらかを選んで、二度と引き返せない分岐点であるかのように。

私は実際にはマネジメントの方を選んだのだが、それは私が「クリエィティブ」であり続けることができないという意味ではなかった。クリエィティブな会社でクリエィティブな人たちをマネジメントするには、私も「クリエィティブ」であることが必要だったのである。

クリエィティビティをイカした連中だけのエリートクラブのように考える必要はない。私たちはみんな、そのクリエィティビティを仕事に持ち込むことができるのである。

#6 ゼネラリストは過小評価されている

私はキャリアの中で選択をした。私はラジオやテレビのなかでスペシャリストとして仕事がしたかっただろうか、それともマルチな分野にわたって仕事がしたかったのだろうか?

私はゼネラリストになる道を選んだ。私はさまざまな分野-テレビ、ラジオ、イベント、放送、制作、オンライン、ジャーナリズム -でキャリアを積んできた。

あなたも様々な分野でスキルを磨くこともできるし、ひとつの分野にとどまることもできる。それはあなた次第だが、さまざまな分野でクロスボーダー的に働くことはより多くのチャンスをあなたにもたらすだろう。

ときに、「広さ」は「深さ」を凌駕するのである。

#7 ‘ワーク’ とは心の状態であなたがいる場所のことではない

2000年に私は大きな決断をした。ディレクターの仕事を辞めてプロジェクトマネージャー、コンサルタントとしてフリーランスになった。

フリーランスになったことで多くのことを学んだ。私が学んだもっとも大きなことは、「work」(ワーク・仕事)という4文字の短い言葉との関係が変わったことだ。

「ワーク」は すでに自分が通う建物のことではなく、私の頭の中で起きているなにかである。

スマホとwifiでそれができる。地下鉄でもスターバックスでもそれができることを私たち知っている。

しかし、2000年にはそれはかなりパイオニア的なことだった。仕事をするためにどこかに行く必要もオフィスもいらないなどということは。 1990年代、友人の才能にあふれたラジオディレクターがショーのアイディアを練るために湖畔で座って考えてみたいと上司に頼んだことがある。馬鹿なことは言っていないで机に帰れ、が上司の返答であった。これからの20年も大きく変わってほしいものだと思う。

未来の「ワーク」にはパンチカードはなく、9時から5時までの拘束を意味しない。いかにすれば、どこにいれば、もっとも生産的であるかということが重要になる。

#8 あなたの‘おがくず’はなに?

キャリアのなかでひとつの仕事をしていると、予期せぬ副産物も生まれる。

それは Jason Fried と David Heinemeier Hansson が REWORK という本のなかで ‘sawdust(おがくず)’と呼んだものだ。 「何かを作っているとき、あなたは何かほかのものも必ず作っていることになる」と彼らは言う。

もし、床のおがくずを全部掃き集めたら、何ができるだろう? 8年前、私は自分の「おがくず」がなにかを学ぶことになった。

私の「おがくず」とは、フリーランスになるときに学んだこと、ビジネスの中で学んだことだった。

そこで、私はそれをノウハウにまとめてシリーズ本 にした。 フリーランスになること についての本と、複数の仕事をもって生活することについての本だ。

私は書くことはいつも好きだったがそれまで食べるために書いたことはなかった。その本を書いてからは自分の弓にあらたな弦が加わった-私はいまやライターになった(2,3年後にそれがとても役に立つことになった)。

#9 なぜ私がTwitterを好きなのか

みんな Twitterを様々な方法で使っている。ある人たちはスポーツのスター選手をフォローし、ある人たちは話題を拾うためのニュースソースにしている。私はTwitterをドアを開けるために使っている。

この写真の女性は Melissa Pierce さんだ。2008年12月、Leigh-on-Seaの自分のキッチンに座って呟いた時、私は翌年テキサスのオースティンで開かれるSouth By South West フェスティバルに参加するべきかどうか迷っていた。シカゴにいたMelissaさんから返信があった。彼女はSXSWのプレゼンターであり、私に共同プレゼンテーターとして加わってくれないかと提案してくれたのである。

私のふとした呟きが、2009年のSXSW にこうしてつながったのである。

Twitterには多くのドアが開いている。本の出版もできたし、有料の記事を書くこともできたし、新しいお客様も紹介してくれた。

さあ、考える前に、呟いてみようSo think before you Tweet…!

#10 すべてのことを学校で学ぶ必要はない

2012年から2014年にかけて、定期的に フィナンシャル・タイムズに記事を書かせていただいた。担当の編集者は (Twitterで知り合った)、私自身の好奇心を満たす人やトレンドについて書かせてくれた。彼の信頼は驚くべきものだった。

しかし、告白しなければならない。私はジャーナリズムで訓練を受けたわけではなく、ジャーナリズムの学校に通ったこともない。

FTに最初の記事を書くことは、急勾配のラーニングカーブを描く体験であった。40,000語の本を書いていたが、1,100語の記事を新聞に書く方法は知らなかった。しかし、私は急速に学んだ。編集者が月曜の夜に最初の記事の校正を送ってきた時、それを手直して完璧なものに仕上げるのに12時間しかかからなかった。

新しいことそするために、学校で学ぶ必要があると思わなくてもよいのである。必要なのはガッツと月曜の夜の一杯のたっぷりした赤ワインだけである。

#11 あなたのキャリアは遊び場だ!

キャリアというのは、ひとつのことをしなければならないということでも、あなたののこりの人生すべてをかけるものであるということでもない。

遊び場のように考えよう。そこで実験したり、自分自身を再発見したり、なにかをためしたりするところ。

友達のデザイナーのひとりがInstagramに写真を投稿しはじめた。今では 750,000人のフォロアーがいて、それで生計を立てている。彼はインスタグラムに写真を投稿して生活しようとは思っていなかった。ただ、遊び場で新しいツールを試していただけなのだ。

#12 こどもの頃変に思われていたことが明日のあなたをビッグにする

この写真は私の少年時代のものだ。8才頃かと思う。エセックスのどこかの岸壁に立っている。私はひとりで双眼鏡をもって観察している。

なんだかおかしい。2015年バージョンのイアンとはまったく違う。

私はこの言葉が好きだ。 「こどもの頃変に思われていたことが明日あなたをビッグにする。The things that make you weird as a kid will make you great tomorrow」 これは、アメリカ人アーティスト・デザイナーの James Victore の言葉だ。

はいはい、たしかにこの写真の私はめちゃくちゃ変というわけじゃない。でも、私は観察者で、崖の端に立って、イマジネーションをふくらませて、物語をつくり、上の空でいたに違いない。

そこには、私が今の自分 「ビジネス・ストーリーテラー」としてしているすべてのスキルをみることができる。

もしあなたがキャリアで悩み道を見失ったと思ったら、Jamesの質問を自分にしてみよう: あなたはどんな子供だっただろうか、それは今のあなたをどうやって助けることができるだろうか?

#13 すべてのビジネスはストーリーテラーを必要としている

2015年の今では、私はさまざまなことをしており、自分のことを「ビジネス・ストーリーテラー」と呼んでいる。

一般的には、ライター、写真家、映像製作者として働きたいと思ったら、ニュースの会社に就職したいと思うかもしれない。

今日、デジタルの出現は、どんな会社であれ、どんな規模であれ、組織はそのストーリーをオンラインで語ることを必須にした。そしてそのことが、よいストリーテーラーにチャンスをもたらすことになった。

私は上の写真を1月の終わりに撮った。スイス、ダボスで行われたWorld Economic Forum 2015 に参加して6日間を過ごしたオフィスの窓から見た光景である。

私はWEFのデジタルメディアチーム ‘コンテンツ ファクトリー’ のメンバーで、彼らのブログやソーシャルメディアにコンテンツをつくっている。

ダボスでは過去に広報に問題があったが、WEFはみずからのストーリーをダイレクトに発信することに投資し、中間に入るひとをカットした。それは‘disintermediation(仲介排除)’と呼ばれている。

Disintermediation(仲介排除)’ は興味深いトレンドであるだけでなく、キャリアのチャンスでもある。

#14 デジタルバンザイ!

私はあなたにドキドキして欲しい。

デジタルにワクワクして欲しい。

上の写真は、南アフリカのアパルトヘイトに抗議してクラッパム・コモンへのデモ行進している80年代のもので、私が撮った。

その時代に戻れば、あなたが何かに怒りそれを表明したければ、新聞に書くか、嘆願書に署名するか、デモに参加するしか方法がなかった。今では、自分の意見をブログやTwitterやFacebookに簡単に表明することができる。

私はデモに参加する人を止めたいわけではなく、このデジタル時代の幸運にワクワクして欲しいのだ。

かつて、私は地元のラジオ局で働きたくて苦労した。

しかし、2015年の今、ラジオで働きたいと思ったら、BBCに応募する必要はない。ポッドキャストを始めたり、インターネットラジオを始めたり、スマホでなにか録音することもできる。聴衆をつくり、うまくいけば、BBCがあなたのところにやってくるかもしれないのである。

「デジタル」は伝統的な門番に取って代わった。あなたのクリエィティブなタレントを表現できるデジタルツールはすでにあなたの手の中にあるのである。

#15 あなたのコンパスはなに?

私は 「キャリア・プラン(計画)」はすでに時代遅れであるということからこの記事をスタートした。

それでもなお、私たちのキャリアを導くなにかが必要だ。

私には コンパス(羅針盤) が必要だった。そして、それはあなたにも必要かもしれない。

あなたのコンパスとは、「あなた自身」に従うことだ。あなたのすべての決断は、あなたのためになされるもの、あなたの価値、あなたがそのために生きているもの、あなたが最大限に活かされる場所と方法のためになされるもののはずである。

陳腐に聞こえるかもしれないけれど、私のコンパスは、私という人間はどんな人間だったのかということ - 岸壁で双眼鏡を手にしていた少年こそ、ほんとうの自分であったということであった。その少年こそ、わたしが真になろうとしていたものの姿なのである。

Ian Sanders(イアン・サンダース) is a creative consultant, business storyteller & writer. He helps organisations better nail & communicate what they do. Follow Ian on Twitter:@iansanders

[Thanks to Daniel Kulinski for use of the ‘Ignore’ image, Chris Campbell for the photocopier and Kris Krüg for the wonderful photograph of Melissa (all via Creative Commons).]