これからのHERPという会社

Ichiro Shoda
10 min readJan 16, 2019

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これまでのHERPという会社というブログでビジョンの言語化、最適解を考える努力が必要だと書きました。庄田の解として、今後の目指すべきところについてまとめてみたいと思います。

2017年3月24日に登記をし、もうすぐ丸2年が経とうとしているこの会社経営を通じて、多くのことを学びました。そしてそれは自分が作った学びではなく、会社のメンバーはもちろん、関わっていただいた皆様にお教えいただいたことを元に得られた学びです。

<サマリ>- 採用活動は色々な条件に従属している
- 全社員が自律的かつ主体的に採用活動に参加する体制構築が理想
- 採用担当は採用プロジェクトを管理する『リクルーティングマネージャー』であるべき
- 我々は上記のような採用活動を支援する集団でありたい

採用活動はまだまだ従属的である

自分が採用担当をしていた時代の経験、創業してから色々な企業様の採用活動を支援させていただく中で、採用活動はいろんな条件下にあることが多く、変えられないことも多いなぁと感じることがあります。なぜそのように感じるのか言語化してみたいと思います。

  1. 採用人数というKPI
    採用担当は、採用の担当者の方々なので、主な業務は社員になり得る候補者との接点を確保し、採用することです。だからこそ、採用人数というKPIを持っていることが多い。インターネット企業は特にですが、最近は人材不足、有効求人倍率の高騰という状況で、なおさら人を採用することに必死です。短期間で多くの人を採用したという事実だけで大きく評価されることだってあります。この風潮は、採用担当はなるべく早く多く人を採用すべきだという認識の固定化を生んでいる気がします。
    人を採用するのが難しいからこそ、多く採用できている企業の施策をコピーしたりという本末転倒な思考が生まれたりします。人数が本当に大事なんでしょうか。
  2. データベース依存
    これまで日本の正社員採用は求人媒体を利用するか、転職エージェントの方々に依頼することが主流でした。そしてここ数年リファラルをはじめとして色々な採用手法が生まれていますが、未だ主流は求人媒体と転職エージェントです。主流である背景は、圧倒的にデータベースが大きいからです。だからこそ、採用担当は盲目的に求人媒体やエージェントを採用に活用します。採用の経路としてもこの二つの経路が主流である企業が多いと思います。これは逆に言うと契約しているデータベースに依存した採用活動だと言えます。採用担当はデータベースからいかに効率的にエントリーを獲得するかという思考をせざるを得ません。
  3. 採用に関する意思決定プロセス
    そもそも、組織戦略から採用ターゲット、人数、予算といった上流の意思決定をするのは経営陣であることが多い。データベース依存状態において採用のアウトプットに一番レバレッジが効く戦略は予算を大きくすることですから、アウトプットを規定する重要な意思決定は経営陣が行なっていることになります。採用担当は実務としての選考プロセス管理・選考ファネル数値の改善を担うという構図。頭と体が分離していることが多いです。
  4. プロセスに従属的な業務
    意思決定プロセスを背景として、採用担当者の業務は、エントリーというイベントをフックに発生する採用プロセスの管理であることが多いです。ベルトコンベアーを円滑に回す類の仕事に多くの時間を費やしています。

こういった背景が採用担当者の業務を窮屈なものにしていると感じています。それでは、採用担当がこういった限定条件下で孤軍奮闘することが理想的な役割分担なのでしょうか。

採用2.0=採用が全社員の自律的思考に基づいた主体的活動である状態

詳細は上記の弊社徳永のブログに記載のある通りです。
状態として定義するのであれば、以下のように定義できると思います。

<目標設定>
経営陣は状態としての組織目標を定義する。〜〜ができる状態、〇〇個×〇〇のサイズのイシューが〇〇で消化できる状態、セールスマーケ〜CSの数値目標が無理なく達成できる状態など。そして採用担当がこの目標を最も理解している人物である。

<人材要件・人数目標>
上記の組織目標を前提に、必要な人物像、人数等は担当部署が意思決定する。採用担当は情報提供等を通じてこの意思決定をサポートし、最終承認を経営陣との会話を通して意思決定する。決定した内容をもとに意味のある単位で採用プロジェクトを組成する。

<手法の見える化>
メディアを用いた企業認知向上手法、多種多様な集客手法、候補者とのコミュニケーション手法、その他さまざまなプロジェクト達成に繋がる手法を採用担当が見える化する。プロジェクト達成のための手法選定、優先順位、納期の設定は、プロジェクトリーダー(担当部署社員)との合議で決定する。

<結果の数値化>
プロジェクトそれぞれのゴールと進捗は計測可能な指標を伴って設定される。プロジェクトの推進を通じて各手法の客観的評価が可能となり、プロジェクトの目標達成の確度が向上していく。

リクルーティングマネージャーという黒子の存在こそが理想

上記のような状況において、従来の採用担当は『リクルーティングマネージャー』と呼ぶべきだと考えています。採用専任の担当者ではなく、全社員の意思をベースとした採用成功を管轄するマネージャーであるという定義です。リクルーティングマネージャーは採用のメインプレーヤーではなく全社の採用活動自体を円滑にするための黒子です。

このような役割を担う人材には多種多様なスキル・知識が要求されます。自社事業への理解、転職マーケットへの理解、採用広報施策に関する知識、プロジェクトマネジメントスキル、ファシリテーションスキル、などなど、とても高度なスキルを持つ人材であると思います。自分ができているかは甚だ疑問ですが、リクルートの採用担当ってある意味プロジェクトマネージャーだったなーと振り返ってみると感じています。

採用担当の定義がリクルーティングマネージャーになることで、採用担当自体も自律的な採用活動の主体者となることができると思います。初期のスタートアップなどでは、この役職は経営陣が担うというケースも多いかなと思います。

採用2.0における役割分担

<経営陣>
どんなことができる会社にしたいか、どんな人が集まる会社にしたいか、社員に何を提供したいかを決定し、同時に許せないもの、譲れないことを明確に共有する。それをベースに、期間を区切った上で実現したい組織の状態を定義する。

<リクルーティングマネージャー>
経営陣、社員、全当事者が必要な人材を考え、主張できる土台を作る。最終的な意思決定プロセスに責任を持つ。全社での意思決定を前提として採用施策へのアイデアを最も所有していて、社員とともにプロジェクトのスコープ・目的・納期の設計を行い、実働のサポートをする。また、プロジェクト成果の可視化の仕組みを導入し、プロジェクト毎のPDCAを回す。成果指標に関してはプロジェクトの達成度合いで定義する。

<社員全員(経営陣含む)>
経営陣のさだめたあるべき姿、企業としてのミッションを達成する上で必要とされる人材とその確保戦略を思考する。担当している採用プロジェクトの実働に責任を持つ。

HERPが企業として果たしたい役割

“採用2.0”の実現を目指す企業として我々が果たしたい役割はリクルーティングマネージャーを中心とした企業の採用活動のサポーターになることです。

これまでは弊社の採用コンサルティング事業HERP ATS事業は独立して存在するものでした。採用2.0の定義に基づいて、今後は独立の事業ではなく、採用2.0促進事業として一つの事業体として運営をしていきたいと思います。

上述した、自律的なプロジェクト型採用活動の実現はそう簡単にできることではありません。考え方のインストールと、プロジェクト管理体制を整える必要があります。弊社のコンサルタントがソフト(思想)をインストールするサポートをし、HERP ATSがハード(プロジェクト管理)となればいいと考えています。そしてリクルーティングマネージャーが増えることが弊社のKPIになればいいと思います。

逆に、ATSだけで我々の考える理想の採用活動を実現することは非常に難しいことです。コンサルティング事業だけでももちろん無理です。一つのビジョンに対して共通の価値提供を行う、一枚岩な集団になることが今後のHERPの目標です。

具体的にソフトとハードそれぞれどんな状態を目指すのか、記載しておきます。

<ソフト(採用コンサルティング事業)>

  • 現状の採用活動において従属的な部分、効率的ではない部分を洗い出すサポート
  • 採用戦略のプロジェクト化のサポート
  • リクルーティングマネージャーの壁打ち相手、実働のサポート

<ハード(HERP ATS)>

  • 全社的な採用目標への進捗の可視化
  • 施策毎の成果の見える化、成果に基づいた施策レコメンド
  • 基本的な採用プロセスの管理
  • 社員が採用に携わる上でのアクションのハードルを下げる(求人票作成がしやすい、募集職種がリアルタイムに確認できる、社員紹介プロセスが簡易、評価基準を深める機会が受動的に得られる)
  • ログインすれば採用に関する情報が見つかると感じられる

上記で記載した自律的プロジェクト型採用の支援を企業としてどんどん提供していきたいと考えています。うちの会社で取り入れたい、試してみたいという経営者のみなさま、リクルーティングマネージャーとして活躍したい人事のみなさまからのお問い合わせ、ご連絡をお待ちしております。

以上を踏まえて2019年注力するポイントについて

最後に、弊社として今年度注力していきたいポイントについて記載をしたいと思います。まず、現状の採用コンサルティング事業と、HERP ATS事業において提供できている価値について記載し、理想の状態との差分を明確にしてみます。

<採用コンサルティング事業>

(現在)

  • スカウティング・エージェントコミュニケーションの代行
  • エンジニア・デザイナー採用の戦略立案支援
  • 新卒採用における集客戦略〜フォロー戦略立案支援

(理想との差分)

  • 自律駆動型採用活動の思想伝達と浸透支援

<HERP ATS>

(現在)

  • 基本的な選考プロセスの管理
  • 採用進捗の簡単な可視化
  • 評価の見える化による社内の評価基準のすり合わせ補助

(理想との差分)

  • サービスの導入によって全社員の採用への意識が向上し、アクションしやすくするような仕組み
  • 全社的な採用目標への進捗の可視化
  • 施策毎の成果の見える化、成果に基づいた施策レコメンド

太字にしている部分は今年度注力していきたい提供価値です。引き続きこの思想の進化はもちろん、コンパクトな仮説検証プロセスを一緒に楽しんでいただける方からのご連絡もお待ちしています。

以上。

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Ichiro Shoda

株式会社HERP 代表取締役CEO/採用の事務作業を自動化するツール HERP の開発・提供/採用コンサルティング/https://herp.co.jp/