採用2.0の実現に向けて

Ichiro Shoda
9 min readSep 5, 2018

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7/23にmixiリクルートメント様(Find job!)、SCOUTER様(SCOUTER)との事業提携を発表し、我々の提唱している、“Open Recruiting API” 構想を本格的にスタートさせることができたと感じています。そして個人的にも30歳になったタイミングで庄田個人が30代、株式会社HERPを通じて成し遂げたいことについてお伝えできればと思い、採用2.0に込めている思いをしたためてみたいと思います。

採用担当時代に感じていたこと

私の採用担当としての経験はリクルートホールディングス在籍時に新卒採用を2年間、エウレカ在籍時に新卒・中途採用を1年間の合計3年間。この3年間を通じて感じていた違和感・課題感が起業の動機であり、 現状の会社の思想を形作っています。

会社のブランド価値を作る主体は社員であること

リクルートは日本で知らない社会人の方が少ないであろう、知名度はもちろん就職人気企業ランキング上位常連企業。僕が入社した当時のエウレカは、Pairsというサービスは知名度が向上してきていたものの、会社としての知名度はまだまだこれから大幅に向上できるフェーズだったと感じています。そんな2社で仕事をしていて、ブランド価値の重要性を身を以て実感しました。 当時、メルカリさんが急激に発信を増やし、どんどん採用市場において存在感を強めて行くのを傍目に見ながら、今後企業の採用力を規定するのは、企業の健全なブランド価値であると強く感じました。そしてさらに重要なのが、その前提にあるのはやりがいを持って働く個人が自主的に発信する情報であるとも同時に感じました。作られたPRではなく、情報の透明性が向上したこの現代だからこそ、従業員を起点とした企業ブランド価値の向上を意図した施策を展開せねばと思ったことを覚えています。

そしてこの経験は今後の就職先・転職先の意思決定の主導権は働く人たちに大きく変わって行くと感じた端緒でもありました。今後の世の中は企業と仕事と個人の三つの視点で語られるべきであって、企業という箱に個人が入るという仕事選びではなく、機会と個人がマッチングする仕事選びに変わって行くのだと思いました。

採用活動そのものに焦点を当てて価値提供するHR企業が少ない

とはいえ、採用担当が1人しかいなかったエウレカ時代には庄田の業務の大半は求人票の作成・更新、候補者情報の登録、日程調整等、プロセスを管理する仕事でした。魅力的な求人サービスがローンチされたとしても、この固定化された労働が、媒体数分増えるこの状況においてはその判断をするのはとても難しく、悔しい思いをしたことも幾度となくあります。この採用担当の労働自体は現代にあっては考えられないほど非効率的で、非生産的な労働でした。日々日々そんな苛立ちを感じながら、採用に関わるサービスは労働力の提供という根本の価値は提供しているものの、効率化・UXといった観点を本当に企業目線で持っているものは本当に少ないなと感じました。

日本の人材市場のここを変えたい

HRビジネスの構造をユーザー主導に変える

日本の人材市場のビジネスは基本的に労働力の提供に対する対価で成り立っています。ざっくりとした計算式でいうと、

(入社決定時の成功報酬)-(就職・転職希望者の集客コスト)= 利益

という形です(派遣事業ではなく、入社時成果報酬体系の人材系ビジネスについて言及しています)。安く仕入れて高く売ることで大きな利益率を確保することを追及せざるを得ない構造です。だからこそ、大量の広告予算を投じ、サービスのブランドを作り、広告効率を上げ、企業から求められる人材をできるだけ低コストで集客することがとても重要です。

この構造は、インターネットサービスを利用する選択権はユーザーにある、そしてどんどんユーザーの目はシビアになっているからこそ、ユーザー視点がとても重要であるという観点が弱くなってしまうのではないかと感じています。今HRサービスに求められる視点はまさにこの視点だと考えており、我々がそれを率先して追求していきたいです。

ユーザーに選ばれるサービスを作る努力を

これからは、ユーザーに選ばれるサービス開発に重きを置く時代、そしてHR業界もそうなって欲しいです。そしてここでいうユーザーとはHR業界においては職を探している個人と、サービスを利用する企業です。その双方から選ばれる利便性・操作性・情報の質を担保できるサービス開発をすることが重要テーマになって欲しい。逆にいうと、そうではないサービスは淘汰されるべきです。そんな自然な競争環境を作りたい。

情報の流れを健全に

ユーザーにとってより良い体験を考えて行くと、必要な情報が必要なタイミングで得られることというシンプルな価値に落ち着くと思います。意思決定の主導権がユーザーであることを保障するには、必要とされる情報を提供する必要性があります。HR業界におけるユーザーである企業が求めている情報は最も効率的で投資対効果の良い採用手法を判断できる情報だし、候補者からすればそれは納得して就職・転職先を選択できる情報になってきます。Webマーケティングにおいて、ユーザーのターゲティングや、広告露出面の細かいカスタマイズができるように、本来採用においても想定される広告価値、CPA(エントリー・内定)といった情報を元に意思決定ができるべきだし、候補者にとっては、網羅的に自分の能力水準にあった仕事を推し量ることができるべきだと思います。我々はユーザーにとってオープンな情報のあり方を作っていきたい。

そして、蓄積された情報を元に、企業も個人も正しい意思決定ができる、そんな状況を作っていきたいです。

正しいデータを活用するマーケットを作る

ユーザーが持つべき情報を、簡単に所有できる状況を作ることができれば、それを活用するサービスを普及させることができる。その形はBIツールなのかもしれないし、広告におけるDSP/SSP、もしくはCRMツールなのかもしれない。企業にとって何よりも大事なリソースである人的資源の獲得手法も、現代のマーケティングと同様に、進化して行く土台を作っていきたい。

今後のステップ

第三者として情報を正確に取集すること

まず実現すべきは、正確な情報を網羅的に取得できるプラットフォームを形成すること。これに我々は奔走しています。そしてあくまでも人的資源の供給元にはならず、第三者として等しくメリットを提供できる状態を維持した上で、プラットフォームの構築を実践していきます。

企業の採用活動における最適解を導く情報は、セミナーにもブログにも落ちておらず、その企業の中にしかありません。その大切な情報が正確に収取できる状況を作りたい。

※年内には弊社サービスとの情報連携APIを公開予定です。多くの媒体提供企業様からのご連絡をお待ちしております。

採用担当・企業の目線で最高のオペレーション効率化ツールを作る

意思決定の土台を作るだけではなく、企業の採用活動における体験全体を、さらに簡素化・自動化・効率化していきたい。昔の自分のように、オペレーション業務に苦しむ採用担当の皆様を救いたい。ユーザーの利便性、短期的で大きなメリットを我々が率先して作っていきたい。自動化を通じて生まれた時間が、情報を元に意思決定する時間になればいい。

なぜこのタイミングでATSなのか

上記に記載した通りに僕たちはATSを作っているつもりはありません。採用担当の業務を変革する上でベースとなる部分をまず準備しているという認識が強い。ただ、この日本という国を見渡してみると、ATSの導入企業はまだまだ数パーセントに止まっています。アメリカは75%の企業が導入している。この差分は日本独自の形で埋まると思っています。背景として今後、転職自体の一般化、副業・フリーランスの増加、外国労働者の流入もあいまって採用管理の複雑性は向上すると考えています。働き方改革、GDPR等の盛り上がりも合わせて、日本の採用における個人情報への考え方も少しずつ変わって行く、そんなタイミングだからこそ参入する意味があると考えています。今までのATSの認識をこれから変えて行く必要がある。具体的には採用成功に直接的にベネフィットをもたらすものという認識がどんどん強くなるようにプロダクトも磨いていきたい。

何年かかるか分からないですが、今はこの理想を実現することに夢中です。

最後に

株式会社HERPという会社はこんなことを考えて事業運営している会社です。メンバー全員が採用2.0の実現に向けて正しく努力しています。我々に力を貸してくれる人、こんな思いに少しでも共感してくださった方々からのご連絡を世界中どこからでもお待ちしております。

庄田個人:ichiro.shoda@herp.co.jp (@fabichirox)

会社:info@herp.co.jp

Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/herp?aql=gaFxpEhFUlA

30歳の庄田も引き続きよろしくお願いします。

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Ichiro Shoda

株式会社HERP 代表取締役CEO/採用の事務作業を自動化するツール HERP の開発・提供/採用コンサルティング/https://herp.co.jp/