現場を知らない人工知能

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人工知能は、人間の知性を機械によって置き換えようという試みです。知性の境界は難しい議論がありますが、まずは人間の「学習」や「推論」の置き換えをおこなっています。

さまざまなデータをベースに学習し、推論を行っているわけですが、推論を行うということは、ある種の判断や意思決定もそこに内在する可能性があります。

では皆さん、現場に一度も行ったことのない上司からのアドバイスをどう思いますか?いつも机の上でデータだけを眺め、そこから結論を導き出す同僚のコメントはどうでしょうか?

もちろんそれも有意義な局面はあると思います。しかし、デジタル環境がまだまだ十分でない現在の環境において、データだけで判断することは危険だと感じるのではないでしょうか?

これから人工知能との接点が増えるにつれて、皆さんの中に同じような感情が増えてくると思います。それを解消するのは?

そういった人工知能の扱いに長けていくというのをひとつの方策ですが、人工知能に現場に出向かせるという発想も必要だと思います。

われわれが開発思想で最も重要な項目のひとつが、「Insights from fields(現場からの洞察)の取り込み」です。丁寧な現場の観察、そこでは文化人類学、エスノグラフィーなどの知見が非常に有益です。

われわれはエスノグラフィーにもとづいた観察をベースに、「現場でもっとも重要な価値や行動」を把握し、その支援をおこなう仕組みを構築します。時には、その価値を補足する新しいデータ指標を作成することで、時には、見えない質を大事にする環境整備をすることで。

現場を理解した人工知能を構築するには、まずは我々が現場を理解しなくてはいけません。現場のひとが求めていない価値を最適化することは、むしろを不幸を招くかもしれません。

株式会社IF 代表取締役 CEO
小塩篤史
www.i-f.co.jp
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AI magazine IF Intelligence Frontier

株式会社IFが運営するAI情報メディアIF Intelligence Frontierです。最先端の人工知能の動向や独自の視点でのAI論をお伝えします。