ロックとヒップホップ

ヒップホップに馴染めない人は、ロックこそが普遍的な音楽だと無意識に考えている人が多いので比較することでヒップホップの理解が深まります。

まずロックとは「資本主義社会の中核を担う中流階級からのドロップアウト」つまりは定職を持って働くことを通常の状態とする資本主義の世界から抜け出だそうぜといった思想です。

思春期特有の反抗精神を社会や制度全体に向ける、ある意味セカイ系。

ヒップホップは正反対で、資本主義から締め出されている人が、資本主義に参入していくためのドロップインの手段として始める音楽、つまりはドロップアウトではなく「イン」です。

そのため80年代にヒップホップが勃興しました。

背景にはレーガノミクスの影響で中流階級が少なくなっている中で「満ち足りているけどつまらない日常」という前提が白人にとっても説得力を持たなくなってしまったからです。
実際に数字をあげると、レーガン政権の2期目(85~89年)にアフリカ系家族の3分の1以上がいわゆる貧困線以下の収入しかなかったと言われています。
しかも黒人ティーンエージャーの失業率は全米平均で43.6%まで跳ね上がり、五大湖周辺の都市では50~70%にも上がっていました。それに対して白人ティーンエージャーの失業率は13%でした。
とはいえ13%も相当なもので、現在の日本の失業率は現在で年次4%切る程度です。

またロックで「ドロップアウト」を歌うことに矛盾があります。

所詮は商業音楽であるため、「ドロップアウト」を歌って人気者になると、打破しようとしている資本主義社会の成功者になってしまいます
その矛盾を真面目に考えすぎると自己破壊に向かってしまうということです。
内省的だとも言えます。

逆にヒップホップは、人気者になると彼らが夢見ていた資本主義での成功者になるわけです。
成功したラッパーはこれみよがしに高級車や宝石を買う、成金趣味ですがそこに自己矛盾は一切ありません。
「金が欲しい」とラップして願いが叶ったので内面的な葛藤はありません。ただそれへのジェラシーを持った人間から殺される可能性が出てきますが。笑
ロックの自殺とは違い、他殺の恐怖があります。

ジャズサックス奏者の菊池成孔さんがロックとフォークは自殺のことばかり考えていて、ラテンは他殺のことばかり考えていると言っていて、その図式でいるとヒップホップは完全にラテンです。

またヒップホップのほうが世界に貢献していると思います。

ヒップホップは売れっ子になると、地元への還元としてチャリティーを行うのですが、内容が具体的で現実的であることも好感が持てます。
アパレル会社やレストランを作って、幼馴染のドラックの売人しか仕事がなかった人などゲットーの雇用を促進しています。
ハイチ出身のワイクリフ・ジョンやセネガル出身のエイコンは、地元に小学校の校舎をバンバン建てたりしています。

オバマの当選は明らかに、ヒップホップが白人にとっての黒人のイメージをクールなものに変えたからで、30台以下の白人の3分の2はオバマに投票したと言われています。
『ディープインパクト』のモーガンフリーマンや、『24』のデニスヘイスバートが演じた黒人大統領などによって「黒人大統領」に慣れていたのかもしれません。

ちなみに先述のワイクリフもハイチの大統領になりかけていました。
そんなことからもラッパー出身の大統領が出てくるのは時間の問題かもしれません。

ウィルスミスやアイスキューブの時代からそうですが、ラッパーの多くは売れるとすぐに映画俳優に転向したりして、基本的に音楽にあまりこだわりがありません。
彼らにとってヒップホップは資本主義に参入するための手段ですから、もしバスケが上手だったらバスケの選手になります。
Jay-Zや50セントみたいな大スターですら、収入の割合はアパレルのほうが遥かに多いです。笑

書いていたら長くなってしまったので次回以降に分けてアップします。笑

最後に一曲。コロンバイン銃乱射事件という、いじめの対象になっていた高校生二人が逆襲する以下の事件を題材に、スクール・カーストとそこへの放棄と蜂起をテーマにしたCreepy Nuts(R-指定&DJ松永)の『トレンチコートマフィア』という曲を貼っておきます。

トレンチコート・マフィアと自称する同校の生徒、エリック・ハリス(Eric David Harris)とディラン・クレボルド(Dylan Bennet Klebold)が銃を乱射、12名の生徒および1名の教師を射殺し、両名は自殺した。重軽傷者は24名。アメリカの学校における銃乱射事件としては、犠牲者数において1966年に起きたテキサスタワー乱射事件に次いで大規模なものであった

※参考
コロンバイン銃乱射事件(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%B3%E9%AB%98%E6%A0%A1%E9%8A%83%E4%B9%B1%E5%B0%84%E4%BA%8B%E4%BB%B6

歌詞:http://kashisearch.jp/lyrics/844884

アーティスト:Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)

「イケてなさ」もモチベーションに Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)が「ヒップホップで人生を変えた」理由とは

http://news.aol.jp/2015/10/24/hwz_creepynuts/

One clap, two clap, three clap, forty?

By clapping more or less, you can signal to us which stories really stand out.