SaaSの重要指標における9つの悪しき慣習

どうも!シリコンバレー発、データサイエンスの民主化を行なうためのツールを作っているExploratoryという会社で働いているIkuyaです。

これまでのブログではSaaS(Software-as-a-Service)のビジネスは売り切りのビジネスとはビジネスモデルが異なるため、ビジネスの状況を適切に認識するための指標も異なるという話を何度かに渡ってしてきました。

今回はSaasS領域に特化したベンチャー・キャピタルとして知られるポイントナインキャピタルから、このSaaSの重要指標に関するよくある勘違いについて、良くまとめられているスライドが出ていたので、ここで紹介したいと思います。

以下、要訳。

9. MRR(月間定期収益)とキャッシュ・イン・フローを混同してしまう

MRRは新規顧客の獲得・アップグレードやダウングレード・チャーンがなかった前提で、翌月見込むことができる収益の指標です。

発注金額やキャッシュ・イン・フローより、MRRの方がよっぽど重要なのです。(キャッシュ・イン・フローが支払いの源泉ではありますが 笑)

8. 年間購読者を含めることでチャーン率を過小評価してしまう

チャーン率は以下にて算出されますが、ここで重要なのは例えばそもそもチャーンすることができないユーザーを分母に含めてしまうと、チャーン率がめちゃくちゃになってしまうということです。

ある一定期間内にチャーンをした顧客の数 ÷ チャーンしうる顧客数

もしチャーンすることができないユーザーを分母に含めてチャーン率をモニターしていた場合、それらのユーザーがチャーンできるようになった瞬間に悪い意味で大きく驚くことになるでしょう。

7. コホート分析をしない

コホート分析のみが顧客のリテンションや顧客生涯を正しく理解する方法なのです。

6. コンバージョン・ファネル毎にパフォーマンスをモニターしない

下記のように主要なコンバージョン・ファネル毎のパフォーマンスをモニターすることはとても重要です。

  • Webサイトへの訪問者の無料トライアルへのコンバージョン率
  • 無料トライアルから有料顧客へのコンバージョン率
  • 有料顧客のリテンション率や、エクスパンジョン
  • 有料顧客からの紹介数

5. 既存ユーザーのアクセスと見込み顧客のアクセスを同質に扱ってしまう

サインアップしたユーザーやコンバージョンしたユーザーの増加とともにサービスやソフトウエアへのアクセス数は増加することになりますが、例えば、一度サインアップしたユーザーが再度サインアップすることはあまりありません。にも関わらず、例えばウェブサイトの訪問者の無料トライアルへのサインアップ率を既存のユーザーを含めて算出していた場合、アクセス数は増加するものの、サインアップ率が悪化しているように見えてしまうのです。

4. CAC(Customer Aquisiton Cost / 顧客獲得単価)を計算する際、オーガニックつまりはコストをかけずに獲得した顧客とマーケティング等の費用を払って獲得した顧客の獲得コストを合わせて計算してしまう

CACはいくらの費用を払えば顧客を獲得できるかを計る指標として意味があるのです。簡単に獲得できるオーガニックがスケールすることには期待ができません。

3. 全てのコンバージョンを営業の成果として評価してしまう

重要なのは営業の力抜きでトライアルユーザーがどれだけコンバージョンするかをまず理解することです。続いてA/Bテスト利用して、営業が介在することによるコンバージョンの上昇幅を元にROIを算出し、営業によるコンバージョンのへ貢献を理解することが重要です。

2. 自分達のビジネスがもの凄い速度で成長するものと期待してしまう

SaaSの世界では、急激な成長というものは本当に稀なものです。なぜなら、多くの場合そういった成長は口コミやネットの評判によるところが大きく、多くのSaaSのプロダクトではそういったものを持ち合わせていないからです。

実際ほとんどのSaaS企業は(指数的ではなく)直線的に成長していくものですし、長期間に渡って、10%の成長ですら継続していくことは非常に困難です。しかるに自分達がもの凄いスピードと成長する前提でいると良い結果にはつながりません。

1. 投資家にリクエストされるまで、KPIをモニターすることを始めない

投資家目線で言うと、彼らはある瞬間を切り取ったビジネスの数字にだけ興味があるのではなく、過去にさかのぼってこれらのビジネスの数字を求めています。

またそれだけでなくSaaS特有のKPIをモニターすることで、ビジネスをより良くするために何に集中すべきかを学ぶことができ、アクションをおこすことができます。

以上、要訳終わり。

あとがき

SaaSのビジネスが今までの売り切りのビジネスと異なる指標をもって適切に把握されるべきという話はこれまで何度かしてきましたが、ただそれらの指標を盲目的に追えば良いかというと、そうではありません。

本文でも言われているように例えばチャーン率をモニターする際は年間購読者等、そもそもチャーン率の計算から外すべき母集団を外して計算する必要があるなど、ひと手間加えることでビジネスはより適切に把握できるようになるというのは、見落としがちですが、重要なポイントだとつくづく思います。

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