日々改善の日々
takahito iguchi
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音と偶然出会える場

このBallというアプリ、実はダウンロードした後にうまく使いこなせていない状態が続いているですが(汗)、アプリの良し悪しよりもtakahito iguchi さんの試行錯誤をワクワクしながら見守っています。時に一見基本コンセプトと思えるような部分にも大胆にメスを入れており、音によるコミュニケーションで豊かな世界を実現しようとする熱量をひしひしと感じます。


生活音と聞いて、街中の生活音を録音するのが好きな同僚のことを思い出しました。彼と一緒にロンドンに出張したとき「ビッグベンの鐘を撮りたい!」と言い出したので、夕暮れのビッグベンを見渡せる川べりで鐘が鳴るのを待っていました。撮り直す時間がなかったため、ワンチャンスを逃すまいと息を潜めたことを覚えています。現在ビッグベンは4年にわたる修繕期間に入っているので、聴こうと思っても聴けない音もあるんだなと実感しています。

また、生活音というよりは環境音かもしれませんが、私自身は雨音の柔らかな雰囲気が好きです。以前 takram design engineering の Story Weaving というワークショップに参加した際、「雨」というお題に対してチームメンバーと「空模様のラジオ(原題:雨ラジオ)」を制作したことがあります。

最終的にはtakramのクリエイターの方々が私たちのアイデアをもとに素敵なストーリーを紡いでくれました。単に機能を伝えるだけではなく世界観が独り歩きできるような「ものがたり」として言語化することの大切さを実感しました。

空模様のラジオ
ダイヤルを操作するラジオの魅力は、「偶然の出会い」にあります。家で一人きりの夕方、または旅先のホテルについて夜、どんな音楽を聴こうかと、ふとラジオをつけてしまう人は決して少なくないでしょう。少しづつダイヤルを回し進めていくと、突然スコットランドのバグパイプの曲が流れてくるかもしれません。または、アルゼンチンのタンゴが聴こえてくることも。ラジオの楽しみは、新しいものに偶然出会う旅の楽しみにも似ています。
このラジオのダイヤルの周囲には、周波数が書かれていません。その代わりに、世界地図が印刷されており、切り替えると世界中のラジオ局の放送を楽しむことができます。ただ、ダイヤルを回したその地域でもし雨が降っていれば、局と局の間に静かな「雨音」が聴こえてきます。ロンドンのにわか雨。ムンバイのモンスーン。東京の五月雨。プノンペンの驟雨…世界中に置かれたマイクの拾う雨音が、柔らかなノイズ音に紛れて聴こえてきます。運が良ければ、ナミブの砂漠に一年に一度だけ降る雨に出くわすかもしれません。この作品は、雨音という共通のサインを手がかりに、世界中を旅する「水」を追いかけます。
いま、世界の裏側のラジオステーションでは、どのような音楽が流れているだろう。そしていま、その土地の天気はどうだろう。同じように、偶然に任せてダイヤルを回します。
- Takram Design Engineering

私がBallというアプリに新たな可能性を感じているのは、単に楽曲を聴くだけではなく、世界の雑踏、カフェ、ストリート、スタジオなどに溢れる音と偶然出会う場を提供してくれるのではないか、という期待からです。日々の生活のすきまを埋めてくれるサウンドプラットフォームに成長していくさまをこれからも見守っていきたいと思っています。

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