K-POPというか韓国R&B/HIPHOPとかの話(中編)

イシケン
4 min readJan 3, 2018

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で、続き。

2015年以降に、グローバル展開と中国市場の攻略という新たなキーワードが出てきた。

2000年代のK-POPにとって海外展開=日本進出だったが、2015年頃から変化が生まれた。

なぜそのタイミングだったのかについては、

  • 日本市場の停滞とアジアの経済発展
  • アジア市場を獲るという悲願のため、既定路線
  • PSYのヒット

などの要因があると思う。どれが決定打だったのかは分からないが、少なくともPSYの江南スタイルが2012年にヒットして、K-POP全体に「世界に行けるかもしれない」という雰囲気が漂ったのはあると思うし、それとタイミングを同じくして、アジア市場が伸びはじめ、日本がそれほど魅力的なマーケットではなくなったのがあると思う。

EXOによる中国進出

グローバル展開と中国市場の攻略を象徴するのが、王者SMエンターテイメントによる男性グループ、EXOの登場だ。

彼らは当初からEXO-KとEXO-M(MはマンダリンのM)とグループを分け、楽曲も韓国語と中国語で出してきた。この戦略は当初成功を収め、EXOは韓国で大ヒット、中国でも高い知名度を得ることになった。

EXO単体の功績というよりも、SMエンタがそれまでBoA、東方神起、Super Junior、SHINeeなどで積み上げてきた人気は、2015年頃から花開いていく。

アジア市場全体でEXOは受け入れられ、SMエンタの楽曲はまさにグローバルで受け入れられはじめた。

YGの予想外の成功

2015年前後で注目すべきは、ライバルのYGエンターテイメントはSMほど緻密なグローバル戦略を練っていなかったにも関わらず、PSYが突如爆発的に成功した点だ。

事務所の雰囲気としては、SMエンタはまさにTHE・ビジネスという感じで、アイドルに厳しい訓練をほどこし、歌唱・ダンス・言語・振る舞いなどを完璧にして、中国市場への参入も綿密に行っていた。

対して、YGエンタはアーティストの自主性を重んじ、BIG BANG以外にもEpik Highのように韓国HIPHOP界に幅広い影響を与えたアイドル以外の歌手を有していることから、SMエンタほどビジネス色はない。

YGに所属するPSYが、バキバキにダンスを踊り若いティーンから歓声を浴びるSMのアイドルよりも先に、国際的な人気を得たことに、SMエンタも衝撃を受けただろう。

もちろんYGにはBIG BANGがおり、彼らもまた日本以外のグローバルな人気を集めるようになっていたため、2大事務所がともに国際展開を進めていった。

中国市場の挫折

しかし突如として、SMエンタの中国市場の野望はくじかれる。それはEXO華人メンバーの脱退だ。

そもそもSMは東方神起の問題を始めとして、アーティストの待遇の悪さや殺人的スケジュールから、トラブルが絶えなかった。こうした中で、EXOの華人メンバーであったクリス・タオ・ルハンが、人気絶頂の中で続々脱退を表明。

SMエンタは、EXO-Mの活動を続行することができなくなり、Mのメンバーも韓国を中心に活動することとなる。

そして2015年から2016年にかけて、今度は中国政府による韓国コンテンツの締め付けが始まった。

K-POPアーティストが中国で活動することが厳しく制限され、これによって2015年以降のキーワード、グローバル化と中国進出のうち、片方が潰え始めたのだ。

では、2015年以降のK-POPは行き詰まりを見せているのだろうか?そんなことはない。むしろ彼らは、グローバル化を新しい形として提示することで、予想だにしなかった発展を遂げているのだ。

それは韓国アングラ・インディーズにおけるR&B/HIPHOPの興隆と、それを取り入れたスタイリッシュなアイドル像の提示だ。

(続く)

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イシケン

マイナースタジオという会社をやってます。