2018年10月28日 フジテレビ『ワイドナショー』、安田純平さん解放について、三浦瑠麗氏発言書き起こし

YouTubeにアップされていた動画から国際政治学者・三浦瑠麗氏の発言をできるだけ忠実に書き起こした(句読点の位置や辻褄の合わないところも「ママ」である)そのあいだ私は、胸のムカつきが治らなかった。ひどいなと感じた場面が何箇所かあったが、どこが酷いのかは各自が発見してほしい。

(番組開始後、27分20秒から;)

司会・東野)ご無事で何よりですね。

三浦瑠麗)

そうですね。まず、われわれ(は安田さんが)拘束されていたことをずっと知っていたわけですけど、それがまあついに解放されて、で、お見受けしたところ健康状態も、そこまで深刻ではなさそうだ、ということは喜ばしいことですし、メディアの中、あるいはツイッターなどにですね、さまざまな自己責任論みたいなものが出てきていますけれども、本来政府というのは、それがどんな国民であったとしても、その海外で拘束されたというときにですね、救出する責務があるんですよ。自国民を守るというのは、国家のほんとにベーシックな、あの義務であって、それは自己責任論とは当たらないなとは思ってますね。

ただ、その自己責任論みたいなものの出てきた背景であるところの、ここまで危険な地域に入って行って数時間で捕まってしまったってこととか、あるいは、その彼自身がですね、機内で話した言葉の中で、えー「日本政府が動いて解決したと思われたくない」と、これ、正確にそのままではないですけど、そうした主旨の、発言されてましたよね。

もともとジャーナリストって、政府の邪魔になるようなことをして真実をあばき出したり、政府が来て欲しくない危険地域に入って欲しい情報を取るものなので、政府の邪魔をするのは全然構わないのですよ。

だけれども、そのワイル(?聞きとり不明)な職業をしている人は、助ける価値があるんだけども、やっぱり、その背景で何が行われていたかって、彼は知らないわけでしょ?つまり牢獄にいたわけだから。で、その拘束している人だってペーペーなテロリストですよね?その人たちから聞いた情報しかないわけだから。

この、今の時点での彼の言い分ていうものをですね、まぁものすごく壮大なストーリーにしてしまうのは、ちょっと違うかなという気がするんです。だから自己責任論もおかしいし、安田純平さんが機内で語ったことを指して、ホラ日本政府は何もやんなかったじゃないか、というようなね、あのー彼は別に機密を知っているわけじゃないので、という話も違うんじゃないかなと思うんです。

東野)カタールが身代金を支払ったという報道も、

松本人志)具体的に3億円、みたいなことも言われてますよね?

三浦)あ、はい。

カタールが払ったという情報は、かなり確度が高い情報のようですね。ですから、カタールって、これまでさまざまな人質解放に身代金を払ってきたというところがあって、でも、なんでカタールがそんなに頑張るのか、って皆んな思うじゃないですか。これは親切心ってだけじゃ実はなくて、カタール自身がですね、やっぱりシリアでアサド政権に対して戦っている、テロリスト組織だったり反政府組織だったりする人たちに、援助をしてるんですね。

で今回、安田純平さんを拘束したところは、反政府組織なんですけど、最初はアサド政権を倒すために必要だとアメリカは皆んな思っていたんですよ。けれども、実際にはこの人たちテロリストじゃないの、とテロリスト認定したんですよアメリカも。だから、テロ組織に対してアメリカや、いろんな外国人を拘束して処刑する、ような人たちを支援する、というのは、たとえ彼らが反アサドでも、やっぱり許しがたい、ということになるわけですよね。

ところが、カタールは、彼らを支援したいわけです。すると、テロ組織にはそのままお金は流せない、で今、国際的な報道で言われているのは、やはりカタールが、そのままテロ組織に資金を与えられないから、ま、ある意味捕虜解放のためのお金として払う、という方針をとっているんじゃないかと。

東野)でも、それがテロの資金源に、

三浦)資金源になるんです。

で、それはビジネスとして実際に「捕虜ビジネス」になっていますから、そこらへんを歩いてる欧米のジャーナリストとか、カソリックの修道長さんとか、そういう人たちを次から次へと捕まえればお金になるということを、カタールが下支えしているというふうな指摘もね、けっこう国際的なメディアとしては報道されているという。

東野)シリアの情勢は非常にややこしく、山ちゃんどう思われます?今回の自己責任論とか。

山里)はい。SNSを開いて、その文字通りを受け取ったら、ものすごく攻撃的な意見が多いから、こういうふうにちゃんとした話を聞いてから〜(略)あと、シンプルな質問なんですけど、安田純平さんはいろんな情報を持って帰ってくるわけですよね。その情報を言うことによって、シリアの内戦が収まってくるという、情報は持っているんですかね?

三浦)あの、持ってないと思います。

イドリブ(県)から、出ていないですし、実際に、その最後の牙城と言われている所なんですね。ではその彼らの内情を知ると言っても、じゃ、その実際のテロ資金ネットワークとか、いろんなことを知りたい中で、彼が独自に入って行った、あの本来は後藤健二さんの、情報を取りに行きたいような話を言っていましたけれども、そういうなんて言うんですかね、___(?聞きとり不明)全体的に戦場ジャーナリストは、独立派の人たちから、情報を得ているんですよ。助けにはなってるから必要なんだけど、今回の件によって、じゃあ結局、総合的に見て、安田さんが現地入りしたことで何が起きたかっていうと、結局のところはテロ組織にお金が渡ったという。で、これは悲しいことなんだけども、でもその彼の活動って言うのは、全然否定されるものではないけども、結果として言うと……そういうことですよ。

東野)さ、武田鉄矢さんはどう思われますか?

武田)私は、自己責任論とかあるんですけど、いないと困る種類の人たちではあるな、とは思います。知りうる限りのことで結構ですから、健康を回復されたら、その悲惨さでも語っていただけたら、何かの役には必ず立つとは思いますね。

東野)そして松本さんは?

松本)まあ、いろいろと辛辣な意見は聞きますけれども、たとえばNHKのニュースとかでね、「お帰りなさい、良かった」と言うのは当たり前で、それは絶対大事なことで、それがなかったら日本怖いよね。そこで一人の人をみんなで叩くような、そんなん日本大丈夫かと思いますよ。だから、それは良かったよかったでいいと思います、ぼくは。安田さんと、個人的にたまたま道で会ったら、ちょっと文句は言いたいと思います。個人的にね。あのーだから極端な話、わざと人質になって身代金折半しようや、みたいな奴が出てこないとは限らないですからね、この先。もしくは、何だろ、そういうISの参加をするような奴が出てくるかもしれないですから。もちろん安田さんは絶対違うと思いますよ、でもそういうことを考えたら、もうこれ以上はもうやめようね、って感じにはしてほしい。

東野)今後、安田さんがどういう活動をされるかというのは、ぼくも興味あるわけですよ。それでまた中東に……

松本)うーん、それは。それはちょっと、ぼくは許せないなあ。

三浦)いや、だから、政府としては、たぶん行ってほしくないと思います。これだけの労力をかけなきゃいけないし、しかもテロ組織に資金を渡したくないというのもあるし、というのはあると思います。

ただ、こういう職業の人たちっていうのは、やっぱり自分にしかできないというプライドがおありだと思うんですよね。で、そうするとね、戦争って研究すると癖(くせ)になる人って結構いて。私はそういうタイプではなく血が怖いんですけど、でも、そういう戦争がもたらす興奮みたいなものとか。

東野)戦場ジャーナリストとか、海外の外国人傭兵とか、

三浦)だから、それが、何でそればかり撮るんだというのは、やっぱりそれに興味を惹かれるから、だと思うんですよ。

松本)だから、ジャーナリズムって何なんだろうなと。みんな結局、ジャーナリズムを利用しているみたいなとこがあって。結構ジャーナリズムで何でも行けちゃうなあ、みたいな。われわれ芸人も結構叩かれるけど、われわれも突き詰めれば、ジャーナリズムだからね。

三浦)だから、松本さんがおっしゃる気持ちも、なんとなく分かるところがあって。

つまりジャーナリストって、安田純平さんは、もともと日本が戦争をしない国だから従軍記者ではないけれども、イラク戦争に従軍した記者ってのは、もう大興奮で戦車に乗って行っちゃって、その見たまま聞いたままを、アメリカ軍目線で書いちゃう人いっぱいいるわけですよ。だから、ジャーナリストっていうと、そのやっぱり、戦場に興奮してしまって、お上の言うことを垂れ流したり、逆に真逆のことをやってみたり、でその、テロ組織に同情的なことを書く人もいるし。

東野)マスメディアがなかなか取材に行けないところを、いわば下請け的に行っていただくことによってニュースになる、という側面もある。

三浦)その側面もあるし。

でもジャーナリズムって本来、そういう意味で猥雑なものであって。先程その、政府の邪魔になっていいと申し上げたのは、そういうことなんですよ。政府の邪魔になることを、非難すべきじゃないと。ただ問題として、結果としてジャーナリストである以上は、なんか良いことをしたか、かつ伝えるでもいいし、あるいはそこの難民の子ひとりを助けたとか、何かないと、というのは、まぁこれは私が言うことではないんでしょうけどね、ご本人、みんな考えてると思いますよ。

武田)でも、つまんない意見を言います。俺、まだ行ってほしいですね。はい、もう一回、何回でも。それが、この人が人生で初めて行かれたことの一番辻褄の合う方法じゃないですかね。

東野)犬塚弁護士は、どう思われますか。

犬塚)一応これは犯罪であり、この方は犯罪被害者なんですよね。実は日本国民が海外で誘拐にあって監禁されたら、これは日本の警察は捜査をすることになります。ただもちろん海外のことですから、帰国した本人から事情を訊いた上で海外の調査となる、けれども、権限はかなり限られていると。

(37分55秒、このコーナー終了。)

しかし、国際政治学者を名乗るわりには、シリア情勢を正確に把握できていない。あいまいな印象を撒き散らすばかりで具体的な例示は一つもなし、話す内容は支離滅裂で脈絡がなく、説明は何れもが尻切れトンボである(そのくせ、ジャーナリスト全般を思うさま侮蔑している)。

冷笑的な物言いを、何箇所か太字で強調してみたが、ぜんぶを書き起こしてみると、三浦氏の論調は、

  • 仄めかしが多く、
  • 具体的な説明が少なく、
  • 相対化するように見せかけ、
  • 実は対象を思いっきりこき下ろ、

していることが分かる。また、(武田鉄矢はともかく)他の芸人たちが三浦氏の言説に同調することで、安田純平氏の行動は全くの無駄骨であり、国家にとって迷惑である、との印象を視聴者に植えつけようとしていることも分かる。

フジ『ワイドナショー』以外の、殆どのショー番組も、程度差はあれ、そのような造りになっている。自己責任論を批判しつつも、自己責任論を補完する役割を担っている。いったいテレビ局は誰に忖度しているのか。日本政府か?いいや、テレビから情報を得る大多数の国民に、である。

私は、三浦瑠麗の発言を、冷静だとか論理的だとか言っている連中の気が知れない。終始うわずりっ放しではないですか! 鰯 (Sardine) 2018/10/28

【追記】

ぼうごなつこさんが、この記事をヒントに、今回の三浦発言を漫画化した。

セリフの配置、黒レースのドレスと、なすこさんさすがの出来映えである。

また、4コマめに登場する、三浦瑠麗氏と『正論大賞』を同時に受賞した文藝評論家、小川榮太郎氏に関連する拙記事も参照されたし。

追記;2018/10/30