Don’t You Worry ‘bout A Thing

お客様のクレームをまともにくらう時がある。

たいていは「お怒りはごもっとも」だと反省するのだが、たまに「理不尽な」と感じる時もある。

たとえば、お客様がトマトを買おうと思って来たのに当方がトマトを販売していなかった場合、品揃えが悪いとお叱りを受ける。

が、露地栽培の完熟トマトを扱っている以上、収穫時期を過ぎれば、代わりのトマトを仕入れることはない。

ところが、その旨を説明すると、お客様は十中八九、「ちゃんと書いておけ」とおっしゃる。どこに?インターネットのホームページに。入口の看板や通路の掲示板に。店先や陳列棚に。

じつはちゃんと書いてあるのだが。「今季トマトの販売は終了しました」と。

見落とし、というより読んではいないのだ。周知徹底を図り、注意を喚起しようとも、気づかれなければまったく意味をなさない。かれかの女らの目に入らないかぎり、文字による呼びかけは無効であり、説明不足でしかないのである。

だから当方としては、余計な説明をせずに深々と頭を垂れるほかない。丁寧に事情を伝えれば伝えるほど、お客さまの気分を害すケースがままあるからだ。

〈……しかしなあ、それ二ヶ月前の新聞の「地域生活情報コーナー」に掲載された記事だぞ。「現在は販売しておりません」と訂正をうてと言うのか?どうして「商品はいつでもあるもの」だと思うんだろうか……〉

と内心で思いつつも口にはできない、まことに接客業はツライよ、である。


そういう出来事は決まって繁忙期に重なる。これしきの些細なことでへこたれるなんてオレは打たれ弱いなとも思う。けれどもダメージは刻一刻と蓄積される。厄介ごとが次から次へと襲ってくるので、疲れがとれない毎日である。

そんなときによく口にする歌が、スティーヴィー・ワンダーの「くよくよするなよ」である。

Don’t You Worry ‘bout A Thing

と口ずさみながら、私はどうにかこうにか日々をやり過ごしている。歌うことで少しだけ元気を取り戻せる。(8月1日)

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