鬼頭莫宏の『なにかもちがってますか』という漫画を読んで知った言葉に「アンプリファイア」というものがあります。
アンプリファイア(Amplifier)とは、文字通り楽器やオーディオの音を増幅させる、つまり「アンプ」の事。

『なにかもちがってますか』は、ある日超能力に目覚めた少年が、その超能力(ある場所の物体と物体の一部をキューブ状にくり抜いて入れ替える能力)を使って、誰も改善しようとしない世の中の乱れをちょっと歪んだやり方で直していく………という物語なんですが、その超能力少年に付き添ってあれこれアドバイスし、同時にその過程の中で超能力のパワーを徐々に高めてやる友人の役割が「アンプリファイア」でした。

イメージとしては「一流のアスリートを育て上げた監督」「優秀な子供を育て上げた親」といった感じでしょうか。
要するに「誰かを支え続け、その人の持っている長所を引き出し活躍させる」のがアンプリファイアの真髄なわけです。

そう考えると、どちらかといえば自分は「スター」や「リア充」じゃなくて「アンプリファイア」なのかもなぁと最近思うようになりました。

今まで勉強もスポーツもそれなりにやってきましたが、その都度感じていたのは「自分と関わった人がなぜかいつも活躍する」という利他や嫉妬の入り交じった光景でした。
「あげまん」ならぬ「あげちん」といいますか。死んだらどっかの旅館に居着いて座敷わらしになったろかと。

俳優・スポーツ選手・仕事の出来る営業マン……自ら先立ってヒーローになるという人も沢山いますが、陰で誰かを支えながらも大して賞讃される事のない英雄も、目立ってないだけでおそらく世の中には沢山いる。

世界中に出回るiPhoneの部品が下町の町工場でひっそり作られているように、そんな陰のフィクサー的な生き方が自分には合ってるのかな、とこの歳になってだんだん悟ってきました。

むしろ、そういうのが本当の“存在感”だとも感じます。目には見えないけど、人々のあいだで、何か大きなものが誰かを支えている……

そうなると、もう進むべき道はひとつしかありません。「座敷わらし」です。