アメリカで新聞が売れない、もう一つの理由

ITとスマホの波だけじゃなかった

ののさん
7 min readJul 9, 2016

アメリカに住んで2週間近くたちます。

ボストンで新聞といえば、

地元紙ボストングローブ!

7/8付の1面は、

警官による黒人射殺事件の余波です。

写真にある赤いネオン看板は

Bank of Americaですね。

ボストンでも街のそこらじゅうに

ATMや支店があるので、

一目でアメリカが舞台の話だと、

アメリカ初心者の私でも分かりました。

次は、6/28付のスポーツ面(下)。

地元の大リーグ野球チーム

レッドソックスの負け雑観がデカデカ。

負けてもスポーツの1面に持ってくる!

これも地元紙ならでは。

阪神タイガースが1面トップの

デイリースポーツと一緒ですね。

ボストングローブは、

今春に公開された映画「スポットライト」から、

日本での知名度もアップしましたね。

地元のカトリック教会が長きにわたり、

子供への性的虐待をもみ消していたーー。

その事実を

グローブ紙の調査報道チームが掘り起こします。

アメリカのジャーナリズム最高名誉、

ピュリッツァー賞を受賞しました。

そのグローブ紙の入手方法は、

宅配かコンビニか路上自販機か。

かなり古いですね、この自販機。

コカコーラの瓶の自販機レベルです。

仲良く並んだお隣の黄色の自販機は、

ボストンヘラルド。

7/5付をみると、

グローブ紙より見出しや写真がデカいです。

日本のスポーツ紙に近いレイアウトです。

どちらも、平日版は1ドル50セント(約150円)。

日本とほぼ相場も一緒ですね。

でも、滞在間もないと、コインないんですよね。

だから買うときはCVSというコンビニにて、

クレジットカードで買ってます。

渡米前は英語の勉強も兼ねて、

「ボストングローブを宅配購読しよう」

と思っていました。

でも、まだ申し込んでいません。

英語力や手続きの手間がネックじゃないです。

今のところ、グローブ紙を読まずとも、

日々の情報を取れているからです。

情報源は、ネットやスマホニュースじゃなく、

グローブ紙より簡単に手に入る無料紙です。

歩道には、さっきのような

専用ボックスが並んでます(コイン不要、タダ)。

またMetro、Brookline TAB、EPOCHの3紙は、

自宅マンションの一階、

郵便受けの横に、最新版がドカっと積まれています。

例えばメトロ紙。

最新の週末版(7/7–10)をめくると、

3 Things you need to know

(知っておくべき3つのこと)

今回は、

  1. 「クリントン氏はFBIから優遇措置を受けた」と下院議長
  2. アメリカ五輪チームのジカ熱研究に出資
  3. 米が北朝鮮指導者らに人権侵害で制裁

というトピックスでした。

3が一番、単語むずい(^◇^;)

英語の勉強にもなりました!

記事のハシっこには、

すべてReuters(ロイター)と書いてます。

通信社と契約して、

大きなニュースをカバーしてるのですね。

通信社の記事は、淡々としていますが、

事実関係をおさえるには過不足ないです。

ほかのページには、

オバマ大統領が発表した

「アフガニスタンで米兵の駐留を続ける」。

これもロイターの転載ですが、

僕は無料紙Metroで知ることができました。

(見出しと写真しか見てませんが)。

大きなニュースの一方で、

  • ボストンの岬ケープコッド近くで、

「今年3番目にデカイ、サメが見つかったよ!」

  • プロバスケNBAの地元チームについて、

「セルティックス、なお絶好調だぜ!」

といった地元ネタもしっかり載っています。

これらはReutersじゃなく、

署名入りなので自前の記事でしょう。

巻末には、クロスワードや占いまで付いています。

ビッグニュースから、地元ローカルネタまで。

おかたいネタも、やわらかネタも。

おまけにバーコード付きのスーパー広告まで。

だいたいMetroを読んでればOKの勢い。

この無料紙Metroは、

ボストン大学の先生もオススメしてました。

今日は夏期講習を受けている

ボストン大学の語学学校の入学レクレーション。

スタンプラリーで大学施設をめぐるゲームを、

台湾人の学生らと組んでやりました。

そのなかの課題の一つが、こちら

Metro紙を探せば、10ポイント。

ポイント集計時、先生いわく

「地下鉄駅などで無料で手に入る」

「記事のクオリティも高く、非常にいい」

そう、記事の質は、

ロイター電を入れつつ、

地元ネタは自前執筆なので、

僕がみたところ、悪くないです。

ちなみに大学周辺でMetroは見当たらず、

ほかのどこのチームも探せず、ポイントなし。

わがチームは、僕がたまたま今朝スクラップして

ノートに貼ったMetroの記事を見せて

「これメトロです、ほんとです!」

と粘ったら、

サービスで5ポイントもらえました。

(結果は3位で映画チケットget)

Metroに限らず、

こうした無料紙はたくさんあります。

無料紙の路上ボックスは、

しばらくすると、中が、カラになる人気ぶり。

読まれている印象があります。

ちなみに、

私がいま住んでいる市で出ている無料紙は、

犯罪というコーナーがあり、

逮捕者一覧まで載っています。

徹底した地元密着ネタ。

これがなんと毎日、無料で届いてます。

毎日、パラパラみるだけでも楽しいので、待ち遠しいです。

アメリカで新聞の経営危機や倒産・買収が相次ぐーー。

そう伝え聞いて久しいです。

てっきりネットや、スマホの利用がひろがって、

無料ニュースが読めるようになったことが、

最大にして、ただ一つの引き金と思っていました。

ただ、質の高い無料紙の存在も大きい。

住んでみて初めて感じました。この機会に感謝です。

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ののさん

絵手紙ルポライター。米ボストンで人生初の留学中。ブログはhttp://nonosan.blog.jp/。毎週木曜は旅ラジオhttp://jobbb.jp/ にレギュラー出演中