探訪DAY〜三重、アズワン鈴鹿で過ごす2泊3日

2017年12月28日、東京駅発の夜行バスに乗り三重県鈴鹿市を訪れました。

三重県鈴鹿市にはアズワン・ネットワークという少し変わったコミュニティがあります。

鈴鹿カルチャーステーション、通称SCS内にある張り紙

アズワン・ネットワークは「争いのない、平和な社会」を志向するコミュニティです。争いのない、平和な社会を築き上げるためにアズワン・ネットワークが行っているのは研究と実験、そして普及のための施策です。アズワンは鈴鹿市の一区域を中心に畑やお弁当屋さん、コミュニティ・ハブなどを利用しながら人がその人らしくあるためには何を提供すればよいかを愚直に実践しています。

僕が参加したのは一泊二日の「探訪DAY」というイベントで、アズワンの日常を体験することができます。畑(ファーム)を見学したり、変わった働き方をしているお弁当屋さん(おふくろさん弁当)の社長係さんのお話を聞けたり、自分の内面を見つめるミーティングを体験することができます。

探訪DAYのスケジュール。スケジュールは決まったものでなく、順番も内容も都度変化しているらしい

僕は、アズワン留学生として滞在している友人の根津に会うために、そして彼が興味を持っているアズワンの在り方を観察するためにこの度三重県を訪れました。

名古屋までは夜行バス。名古屋からは近鉄名古屋線と近鉄鈴鹿線で最寄り駅の平田町駅まで入った。電車がかわいい。

アズワンの魅力はたくさんあるのですが、ここでは特に僕が魅力を感じた3つの観点からアズワンを紹介したいと思います。

家庭の味をみんなで届ける「おふくろさん弁当」

お店の前。外装はふつう。

おふくろさん弁当はお弁当屋さんです。従業員はコミュニティに属する人々で、注文をとり、お弁当を作り、配達しています。

最初からお弁当屋として始まった訳ではなく、当初は人材派遣会社として始まったそうです。派遣先でお昼ごはんに困っている人々に手作りのお弁当を届け始めたことから少しずつ今の形態に変わっていった、と。

おふくろさん弁当はNHKにも取り上げられたそうで、少しずつ有名にもなっているらしい。従業員を拘束せずに自由意志を尊重しながら働いてもらう少し変わった職場というのもすごいですが、僕が気に入ったのは職場の雰囲気。まるで祖父母の家で親戚同士が集まって料理を作るような飾らない素朴な雰囲気がとても懐かしく、心地良かったです。

コミュニティから最も近い「街のはたけ公園」を案内してもらう。

おふくろさん弁当で使っている食材はコミュニティの畑で作ったものが使われます。畑で取れた野菜は直売店へと運ばれ、残った野菜がお弁当の材料として使われます。畑は鈴鹿コミュニティ近辺にいくつかあるそうです。三重県の農家の多くは水田を営んでいるらしく、野菜を作っているのは珍しく人気があるそうです。

野菜だけでなく、ミカンやブドウも作っている(売り物ではない)。
廃材を真っ白のペンキで塗り直して絵を描いたもの。なんとなく気に入った。コミュニティ内には芸術にあかるい人もいるらしい。僕もピアノを何度か弾かせてもらった。

コミュニティで分け合う無料の雑貨屋「JOY」

JOYはおばあちゃん家の棚みたいな素朴なかんじ

JOYはコミュニティに属する人々が共用で使う冷蔵庫、食品置き場のようなものです。おふくろさん弁当で余ったお弁当や、畑で採れた野菜、そして日常生活で必要となる雑多なものが並んでいます。JOYは鈴鹿カルチャーステーション、通称SCSの中にあります。

アズワンに所属する人々はそこにあるものを自由に手に入れることができます。並んでいる食品や日用品は係の人が随時調達します。

JOYの素晴らしさを何と表現したら良いのか…。一人暮らしをしていると、何を買うにも一人用のものを買わなくてはならない。しかし、ほとんどのものは家族などの複数人で消費されることを前提に売られています。ここ数年で一人用の小分け食品なども広まってきましたが、そもそもそのようなジャンル自体が、「多くの食品は分け合うようにできている」ことを示しています。

じゃあどうするのがシンプルかと言えば、たくさん買って分け合えばいい。それを実践しているのがJOYです。食品や日用品を買うための費用はおふくろさん弁当や畑で栽培した野菜を売った収入などから来ており、コミュニティに属する人々は無償でそれらを手に入れることことができます。

置いてある野菜はコミュニティのメンバが自作している野菜
ジャムとかおやつもある
日用品もご覧の通り
アイスクリームも置いてあったりするみたいだけれど、個人では消費しきれない量で置いてあったりもする。分け合うことが前提なのかも。

コミュニティのメンバーに渡った食品などが個々人ですべて消費されるのか?という問いに対する答えはNOです。持ち帰られた食材は調理され、そして、コミュニティの人々にシェアされます。僕が滞在した2日間の間でも、およそ5回ほどJOY経由の食事をしました。

夜行バスに乗って鈴鹿に着いたのは朝9時。友人の根津がぶり鍋を用意して歓迎してくれた。料理が丁寧でうまい。
探訪DAY一日目の夜の晩ご飯。やっぱり友達との鍋はいい。餃子と鶏肉が特に美味かった。
探訪DAY2日目のお昼ご飯。ふだんはおふくろさん弁当のランチが出たりするのだけれど、僕が行った年末はおせち作りでふだんのランチは休業。コミュニティの方がお昼ご飯を作ってくれた。写真右下のおかずが美味かった。
3日目のブランチ。JOYにあった1kgの牛肉を携えて即席バーベキュー。朝から食べる肉は美味い。

コミュニティの考えを学び、外部へと伝える留学生

探訪DAYが終わった2日目の夜、アズワン留学生12人のうち5人が集まり、そこに僕も混ざってプチ飲み会が開かれました。

集まったのは7人ほどでそれぞれが一年を振り返り、静かに聴いて、フィードバックを少し返す、穏やかな時間を過ごしました。僕はふだんから根津と一緒にこのような内観や分析の時間を過ごすことが多かったのですが、これだけの大人数でやったのは初めてでとても緊張した。

プチ飲み会は22時から始まり、お喋りの後は歌って踊っての大騒ぎで、終わったのは27時半。残念ながら僕は24時くらいに寝落ちしてしまったので残りの3時間の様子を知らない。でも平和な時間でとても羨ましかった。

探訪DAYに参加して観察する限り、コミュニティに参加しているメンバの平均年齢は高く若く見積もっても50代前後。留学生は学生や20代が来ているものの人数は多くない。

「このままではコミュニティは存続しないのでは?」と尋ねると「留学生はコミュニティの担い手として育成されている訳ではなく、コミュニティの思想を外に伝える」ことを目的としているとの返答。なるほどな、って思った。散り際に固執しない感じも良い。

こちらは探訪DAY一日目の夜。根津とサシ飲みで久方ぶりの人生の定例ミーティング。
探訪DAYに一緒に参加した寺田くん

探訪DAYでは随所に「ミーティング」という時間があります。「なぜ探訪に来たのか」「探訪に来た目的は何で、実際に探訪した後にどのような変化があったのか」などといった問いに対して各自静かに自分の心を見つめ、探訪メンバ同士で意見を言い合います。

実はこのように自分の心を静かに見つめ、話し合う行為はふだんから根津と行っており、最近は「人生の定例ミーティング」とふざけて呼んでいます。ところが根津が昨今インドや三重に行ってしまったので人生の定例ミーティングの開催数が減っています。ピンチ!人生の定例ミーティングをもっとしたい!会員募集中!今なら年会費無料です!

ミーティングの問答の例
確か「争いのない平和な世界を築くために何を大切にするか」みたいな問いに対する僕の答え。「人と生きていく上で、言いたいことを相手にちゃんと言えること。相手が言いたいことをちゃんと聴けること」が大事だ、みたいなことを話した。

まとめ

写真をふんだんに使ってアズワンのことを丁寧に書いてきましたが、僕が今回探訪DAYに参加した理由は最近会っていない根津に会うことが目的でその他はついでだったりします。

ところが、探訪DAYに参加してみるとアズワンの生活に懐かしさを覚える機会が多かったです。協力して生きやすい暮らしを作っていく思想。親戚同士が集まって調理するようなおふくろさん弁当。おばあちゃん家の冷蔵庫のように誰もがアクセスできる食料庫、日用品置き場のJOY。

アズワンは設立後15年ほどですが、前身となる組織もあったみたいで3、40年ほど続く変化を続けるコミュニティには感動を覚えました。そのうち留学してみたい。

ちなみに今回探訪DAYに参加するにあたり、伊勢神宮が三重県にあるということを初めて知りました笑。今度行くときはちゃんと伊勢神宮に行くことも計画して三重県に行こう。意外と東京から近い。

アズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ

おふくろさん弁当

【映像】NHK「おはよう東海」でおふくろさん弁当を特集

探訪DAY2日目の朝
探訪DAY終了後のアンケート
探訪DAY2日目が終わったあとに3人で猪の倉温泉へ。久しぶりにサウナに入った。
Like what you read? Give Hiroshi JO a round of applause.

From a quick cheer to a standing ovation, clap to show how much you enjoyed this story.