遠隔医療の今後の展望

2015年8月、医療そのものに大きなインパクトを与える行政判断が下された。いわゆる、「遠隔医療」の解禁である。これまで、医療には対面の原則といって、患者が医療者と物理的に対面することで医療は成立されるとされてきた。ただし、これまでも患者が遠方にいて診察や治療が非常に困難、不便な場合にかぎって遠隔医療が認められていたわけだが。それが大幅に緩和されることとなったのだ。具体的には以下の通りである。

・医療の主となる場所:病院→社会全体(ソーシャルホスピタル)

・遠隔診療に対する認識:原則禁止→積極的に活用

・遠隔医療の対象:離島やへき地の患者など→医療のあらゆる対象者

・遠隔診療の手段:テレビや電話などの専用システム→スマートフォンなど身近な機器、クラウドやAI

・遠隔診療の主眼:治療→重症化予防

遠隔による診療が受けられるようになることで、「患者が医療機関を選ぶ」ケースは今後ますます加速していく。遠隔医療の解禁については、厚生労働省から通達されていることからも今後、国をあげての支援体制が整っていくと予想される。

しかし未だ、日本の遠隔医療は諸外国と比較して遅れていると言わざるをえない部分がある。

2013年には既に、米でHealthTap という医療相談開始が発表されていた。月額99ドルで、(追加の家族ごとに10ドルを追加)実際の医師とライブビデオ会議を無制限に利用できるというシステムだ。

HealthTap founder Ron Gutman introduces Health Tap Prime, a new service that provides unlimited videoconferencing with doctors all on your phone or any other mobile electronic device. Screenshot: Facebook: Health Tap

最近では、American Wellの医師向けアプリとして、指先で患者の健康記録を利用できるように、Appleのバイオメトリクス(生体認証)と連携したものも開発された。 American Wellには、2分以内に医者と患者を照合するマッチングアプリもある。 医師が最終的に、仮想と物理的な待合室患者の間をスムーズに通り抜けることによって、医師はこれまで以上に多くの患者を見ることができる。理論的には、より重症な患者のためのスペースの確保にもつながる。

遠隔医療にはもちろん限界がある。実際、2013年からアイオワ州医科大学では、遠隔妊娠中絶は禁止されるべきであるという投票結果が出された。(参照:Iowa Votes To Stop Telemedicine Abortions For Women In Rural Areas; Anti-Abortion Advocates Say Procedure Is Unsafe)理事会メンバーは、理想的な中絶ケアは、ビデオ会議を介さずに、直接医師によって提供されると考えているとしている。(遠隔医療システムにより、医師は中絶薬RU-486を遠隔から処方することができた。この錠剤は、手術や個人内での医療処置を必要とせず、女性は自宅で薬を服用することができるのだが、ほとんどの州では、医師または看護師が薬を投与する前には患者に相談する必要があった。)


僻地や遠方の患者には、未だ、十分なプライマリケア提供者がいないことは明らかだ。 これを解決する一つの方法は遠隔医療によるものだ。リスクを伴うものであるにせよ、その可能性は測り知れないものである。

今後、在宅での診療、療養、地域包括ケアを主体としていきたい日本にとって、遠隔医療がまだまだ欠かせないキーワードであることは間違いないだろう。

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