Jun Kawaguchi
3 min readJul 14, 2019

楽観-悲観の両輪をもつこと

この1年は自分の中で満足いく結果が出せておらず、忸怩たる思いが残る年となった。然しながら、今の自分のフェーズにおける唯一最大の武器は、限られた時間から最大限の学びを取得し確実に次に活かすこと。

主に2018年後期に得た主たる学びについて。

当初、自分が抱いていた”起業家”は完全なプロダクトアウト(提供側からの発想で商品開発・生産・販売といった活動を行うこと)で世の中にサービスを提供する人であると思っていた。世界的なサービスの創業物語を見渡しても着想はどれもFounder自身の生活の中にある。Facebookのマーク・ザッカーバーグの場合、恋人に振られた腹いせに開発したFACEMASHが今やMAU23億人規模の世界的サービスの原型であるし、Airbnbのブライアン・チェスキーも生活資金が底をつきかけ、何とか日銭を稼ごうと部屋のマットレスを他人に貸そうとしたことに端を発している。

自分の中での”起業家”とは、ここから一ミリもぶれることなく周りに楽観壮大な世界観を語り実現する人だと思っていた。
事実、この説明に誤りはない。いまでもそう思っているしだからこそ挑戦に胸躍らされるこの生き方を一生したいとも思っている。

しかしながら、自分には致命的な視点が欠けていた。今思えば当たり前過ぎるし笑える話かもしれないが、極めて地に足ついた計画が抜け落ちていた。

世界トップVC Sequoia CapitalのPartner | Doug Leone

ここでDoug Leoneは断言する。

「計画のないただの希望とは、ビジネスにおいて最悪の言葉である」

この動画は30回は観たと思う。今でも時折うまくことが進んでいるときに限って、浮き足立たないよう文鎮代わりにこの動画をみかえしている。

市場において利害関係者にリターンを出し続けている起業家は楽観-悲観のバランス感覚に優れている。
時に声あげ旗掲げヒト・モノ・カネを集約しつつも、プランはケースに対応できるようBest ~ Worstまで複数持ち合わせ、意思決定に必要な情報を死ぬ気で集め避けられたであろう間違えを恐れる。一度決めれば実行は速く大胆に。

冒頭で示した画像のような
①楽観的な構想 → ②悲観的な計画 → ③楽観的な実行
これらの振れ幅が大きく、楽観状態の際は青天井的に理想を抱くし悲観状態の際は過度に確認、シミュレーションを反復する。

何かを実現させるためには、実現された状態までの筋道を具にたて実行可能な行動計画まで落とし込むべきだ。決して自分本位にならずセンスを過信しすぎず、鳥の目虫の目魚の目で世の中を、市場を観察し正しい解釈をする必要がある。バイアスや思考の悪癖に意識的になり自分の弱みと向き合い、絶えず現実世界で実験を繰り返し真実の反応を受け止めることが必要だ。

失敗経験に裏打ちされ、2018年後期でサービスを3つほど潰してやっと自分の中にこの図の意味を腹落ちさせることができた。
どちらか一方に寄り過ぎず、楽観-悲観の両輪を駆動させながら今後も事業に向き合いたい。