イケてるしヤバい海外のFintechプロダクト vol.2 simple

今回はUS発の比較的老舗？のインターネット銀行、simpleについて取り上げます。

ちょっとアートな雰囲気も感じるLP

目次

1. simpleについて
2. どうやってやっているのか
3. つかい方
4. こんなことができる
5. カスタマーからの評価

simpleについて

要はオンライン銀行なのですが、サービス名称の通りシンプルに良いサービスを提供しよう、というところが起点にあるようです。
彼らのサイトには以下の記述があります。

Simple was started out of frustration with banks. We’re positive, passionate people who are serious about creating an experience for our customers that’s unlike any personal finance product you’ve ever used. We hope it shows.

銀行への苛立ちから始まった・・・とはなんともストレートですね。
別のサイトにも立ち上げの経緯があったので記載しておきます。

Simpleは、創業者の一人であるJoshua Reichが自分の預金を預けていた銀行で “ムカついた”体験をしたことから作られた銀行です。米国の銀行では、顧客に対して様々な手数料を徴収することが一般的であり、中には、預金残高が最低金額を下回った場合に高額の手数料を徴収する場合があります。Joshua Reichも預金残高が維持できずに高額の手数料を徴収された体験をしており、こうした体験がSimpleを開業する契機となっています。

"ムカつかない銀行サービス"Simpleの開業 : 富士通総研

彼らのサイトを見ると、「UX/UIが親しみやすいこと」「きちんと貯蓄ができる／そのための仕組みがある」ことが、特徴と言えそうです。

Simple | Bank Online With Automatic Budgeting & Savings

どうやってやっているのか

Moven同様、彼らが独自でシステムを立ち上げているわけではありません。simpleの場合、システム自体はBancorp Bankというところのものを使っているようです。

Home

Movenもsimpleも銀行そのものではなく、いわば「銀行代理業」なんですよね。
日本だと同様のスキームでやっているのはじぶん銀行が有名どころです。ハードルの高い低いはさておき、特に日本だからできないという話ではないので、今後欧米の先行事例を参照した同様のケースが増えていくかもしれません。

金融庁発行の銀行代理業者一覧。ニッキンの記事で取り上げたiBankマーケティングの名前も見受けられる

つかい方

これもMoven同様、18歳以上のUS居住者でないと口座開設はできません。

FAQs

PCからの登録画面。UXのファンシーさが印象的

登録方法もほとんど同じようです。

1. アカウント取得
2. AppをDL
3. サインインして利用開始

こんなことができる

基本的には支払いや貯蓄など、日常のお金にまつわる部分の機能が備わっています。それ以外のローンや運用などの機能はありません。

装填されている機能そのものは決して珍しいものではなさそうですが、とにかくシンプルさを重視していること、プロセスを盛り上げるようなUX/UIがふんだんに織り込まれているように思いました。

前者で言えば、写メで送金？できたり、simpleのアカウント同士でのインスタント送金が一発でできるようです。日本で言うとLINE Payのそれにちょっと近い印象です。

この手の送金はマジで楽ですよね

後者で言うと、Safe-to-Spend（これ商標取ってるのかな？）という、貯蓄額も踏まえた可処分所得をはじき出し、そこに対して今いくら使っているかなどが簡単に把握できるようです。

絵文字使えたり、親しみやすい印象

更に彼らが面白いのは、よくある使い方などをストーリー化して自分たちのメディアで特集していることです。

Simple Blog | Money Tips, Budgeting Advice, and Personal Finance Inspiration

世界一周旅行の仕方やフリーランス向け記事など、比較的若年層をターゲットとしている

日本の金融機関の場合この手の発信が非常に下手くそな印象があります。
いざSNSとかやらせても、誰のためかよくわからない支店紹介などに終始してしまい、肝心の銀行それ自体の使い方とか、tipsとかそういうのは1mmもないんですよね。かつ、（コンプライアンスの問題もあるんでしょうが）記事も非常につまらない。

オウンドメディアを使った親しみやすい情報発信とかは、私自身一人の金融マーケターとしてきちんとトライしていきたいところです・・・

カスタマーからの評価

google Playからスコアを拾ってきましたが、高評価ですね。日本の銀行アプリで4点台の平均スコアは見たことがないです・・・

5のレビューが圧倒的に多い

直近のレビューを見ると1や2のスコアが散見され、思ったほど評価が高くない印象も受けました。しかしそれでも機能のシンプルさなどに高い評価が集まっています。

手数料がかからないこと、CS対応が良いこと、体験が楽しいことがキーになっている

Moven同様、CS対応の良さもポイントになっています。

simpleについてのまとめ

・決済や貯蓄に特化したモバイル銀行
・UX/UIのシンプルさ、体験の楽しさに徹底的にこだわっている
・google Playでの高評価は異業種と比べても遜色ないレベル、こだわりがカスタマーに受けている

Bye Bye BanksでもUXやUIに徹底的にこだわらないと勝っていけないという記述がありますが、それを実績で証明している好事例と言えそうです。