「UX JAM 15」に参加しました。 #uxjam_jp

Kohei Kadowaki (@kadoppe)
Kadoppe’s Blog
Published in
9 min readMar 5, 2017

2017年3月1日に開催された「UX JAM 15」というイベントに参加しました。

参加したきっかけは、dots. の新着イベント通知でたまたま目にしたから。

自分はソフトウェアエンジニアだけど、専門領域にとらわれず、視野はできるだけ広くしておいたほうが良いと思っている。たとえ付け焼き刃の知識だったとしても、有ると無いとで行動やアウトプットの質が変わることがあるから。

だから、エンジニアリング以外のテーマを扱うイベント・勉強会にも一応アンテナは張っていて、そこに偶然引っかかった感じ。

イベントの主旨としてはLT(ライトニングトーク)会半分、交流会半分といった感じ。5分程度のLT×3本 → 交流会10分強 → 5分程度の LT × 交流会10分強 → ・・・という流れで会は進行していった。交流会では誰とも話さなかった(話せなかった)。

LTを聴いて自分が気づいたことや考えたことを書いてみる。ダラダラ書くので長文注意。

アプリ開発時に必要な価値創造とは?古代ローマに学ぶ、価値を生むUX

株式会社リブセンス 金子 剛さんによるLT。主題としては「既存の何かで代替できるものを作るな」という話だったと理解。

例えば、仮にあるアプリの価値が「ニュースをユーザに伝える」ことだった場合を考える。でも、それって古代ローマで使われた石版でも提供できる価値だから、わざわざアプリで作る意味はない。こんな感じのお話が展開されていた。

昔、スタートアップで働いていたころ、今よりも多少は意識していた気がする言葉に「バリュープロポジション」というのがある。

ユーザやクライアントは、自分たちのプロダクトを「なぜ使ってくれるのか?」「なぜ選んでくれるのか?」「なぜお金を払ってくれるのか?」。それらの質問に対して、サービスが提供する価値の観点から考えたときの回答がバリュープロポジション。

話は飛ぶけど、個人的には、プロダクト開発に関わるすべての人が、自分たちのプロダクトのバリュープロポジションについての共通認識を持っていて、かつそれについて納得した上で仕事をしているような環境で働きたい。

  • 作っているものにどういった価値があるのか知らない。
  • 作っているものの価値が本当に意味があるものなのかわからない。
  • 価値がないものを作っていることは認識しているが、我慢して黙っている。

こんな環境は嫌だし、自分自身もこんな風に仕事したくない。LTを聴いたあと、そんなことを考えた。

なお、スライド中に歓声と拍手の音声ファイルを仕込んでおくのは、いいやり方だと思った。いただきます。

みぢかなものから学ぶUXのつくりかた

株式会社ビズリーチ 五十嵐未夏さんによるLT。題名があっているか怪しい。ごめんなさい。

複雑な仕様で使いづらかった管理画面を、ヒアリング・仮説立案・プロトタイプ構築で使いやすくした、という話。

最近自分が仕事で学んだのは、複雑な要件・仕様に直面したときは、その複雑さは本当に必要なものなのか、まず疑ってかかるべきだということ。

複雑な要件を仕様・設計・実装・UIにどのようにして華麗に落とし込むか、というのはプロとしての腕の見せ場だと思う。けど、前提となる要件の複雑さは最終的な成果物で吸収できない場合もあるだろうし、仮に表向きは吸収できていたとしても、実際は見えないところで無茶をしているケースが多いんじゃないか。

例えば、無茶によって設計/実装上技術的負債を生んでしまい、今後の保守性/拡張性が非常に低くなってしまっているケースなど。

「本当にその複雑な要件必要ですか」「システムとして実現できなくはないけど、今後こんなデメリットも発生しますよ」といったリスクをきちんと伝えることは、ものづくりを担当する人が果たすべき責任だと思う。

そのあたり、もう少し発信できるようになりたいと、個人的には課題を感じてる。

UXデザイナーが本質的に目指すべき姿(仮)

株式会社オハコ 鈴木 拓実さんによるLT。題名があっているか怪しい。ごめんなさい。

サービスの価値に考えるときの観点として、大きく以下の2つがあるらしい。

  • サービスの価値を判断できるかどうか(例:このチャーハンは美味しいかどうか)
  • サービスの価値に値段がつけられるかどうか(例:このチャーハンには800円払う価値があるかどうか)

上記2つの観点をベン図として表した際に、その共通部分こそがUXの本質である、という話だと理解した。ユーザのことだけを見ていてもUXとしては成立しない。ビジネス的な側面もちゃんと見ようね、ということ。

この話を聞いて、リクルートのリボン図におけるカスタマー(右側)とクライアント(左側)が頭の中に浮かんだ。こちらも、片側だけじゃなくて、両側を一緒に考えようね、ということだと思う。

使いづらいと言われて20年。楽天のUI/UXの遍歴

楽天株式会社 黒木 亮輔さんによるLT。

ユーザーテストによる定性評価と、A/Bテストの定量評価が食い違う事例。定性評価によって行ったUI改善が、実際にA/Bテストで効果が出なかった、という話だった。

話を聴いていて、昔、Optimizelyのセミナーに参加したときのことを思い出した。ファウンダーの方が会場の参加者に数パターンのWebページのデザインを見せながら「どのボタンが一番コンバージョンレート高かったと思います?挙手してください。」というアンケートを取った。

結果、大多数が手を上げたデザインではなく、少しの人しか手を挙げなかったデザインが実はCVRが高かったというオチ。その時にファウンダーの方が「事実はしばしば人間の直感に反するものである」みたいなことを言っていて、それが個人的に非常に印象に残ったセミナーだった。

まあ、それはそうなんだけど、その事実を唯一無二の普遍のものだと捉えるのは違うと思う。

ユーザーテストによって出てきた課題は、実際に「その人」が抱えていた課題。単純に考えると、その人が多数派なのか、少数派なのかによって、その課題の解決パターンがA/Bテストで勝つか負けるか変わってくる。

仮にその人が少数派だった場合、その人が抱えていた課題は解決されることなく、その人にとっての困った状況はずっと続くことになる。単純に考え過ぎかもしれないけど、多数派だけが勝ち続けていく。それは個人的にはあんまり好きじゃない世界。

その人がうまく浮かび上がるようなユーザのセグメントをつくることができて、かつそれをシステムが検知できるような仕組みがあれば、その人の課題を解決する専用のUIが提供できる。それをもっと先にすすめると、ひとりひとりの課題に自動的に最適化されたUI/UX、みたいなものも実現できる。

最近、そんな仕事がしたいと思っていたので、個人的にわりとタイムリーな内容のLTだった。

サービスに適したユーザー体験とコミュニケーションについて考える IT×音楽編

EDOCODE株式会社 田村 鷹正さんによるLT。

Web Pushを以下の理由で自社サービスに採用した、という話。

  • 表現力が高い。
  • ターゲットユーザのアーティストは主にPCを利用している。

「Web Pushの表現力が高い」の詳細が知りたかったけど、そこまでは聞けなかった。

子持ちじゃない男が、母子手帳アプリを作った話

株式会社ZIZO 葛巻 大輔さんによるLT。

自分がつくっていたサービスのターゲットユーザ(妊婦さん/ママ)ではなかったので、人間中心設計のプロセスを採用したという話。

人間中心設計のプロセスの中で、怒りやすく排他的であるというママの特性を想定することができておらず、結果としてサービスの中でママ同士の縄張り争いが発生し、1000人規模でのユーザの離脱が起こったとのこと。

(ママさんには悪いけど)シンプルに事例としては面白かったし、ユーザの特性に気づけないことが、サービスにとって重大なトラブル引き起こすこともある、というのは自分にとって気づきだった。

Hololensを中心に初心者ユーザからみたVRMR体験について

ネットパイロティング株式会社 湯口 りささんによる、Hololensを装着しながらのLT。

MR=Mixed Realityという言葉を初めて知った。複合現実。現実世界のものと、仮想世界のものが相互に影響し合うような概念で、Hololensはこれに該当する機能を提供するデバイス。

デモ見て、Hololensが欲しくなった。料理する時、レシピを見るのに便利そうだよね。でも高い。

ちなみに、自分が昔見て感動したHololensのデモはこちら。

ゲームから考えるUI/UX

株式会社サイバーエージェント UIUXLab 今村 優太さんによるLT。

ゲームのUIには以下のような特徴があり、

  • 圧倒的に酷使される。ユーザが触れる時間も長い。
  • 圧倒的なインタラクティブ性。1フレームの違いでさえも認知される。

こうしたエクストリームな環境の中で、ユーザにとっての障壁をいかに排除するかがゲームUIのキモだよ、という話だった。

勉強になったのが、ひとつひとつの些細なことにも、戦略的な狙いをもって取り組もう、という内容。例えばモンハンみたいなゲームを考えたときに、ボスが強力な攻撃をする直前の一瞬の予備動作(例えば体の一部が光るなど)があったとする。

実はこの小さな予備動作には大きな意味があって、強力な攻撃によってプレイヤーが死んでしまった場合も、予備動作によってプレイヤーに勝利への手がかりを伝えることができ、結果的にユーザの離脱を防ぐことができる。そういった小さな達成を積み重ねることで、延々とプレイしてもらえるような状況を作る。

自分はゲームが大好きなので、プレイヤーとして話を聞いていても面白いないようだったし、同じソフトウェアでもゲームとそれ以外とで全然違う観点があるんだなぁ、とソフトウェアエンジニアとしても感心して話を聞くことができた。

おわりに

LTの内容と関係のないことも書いてしまったけど、このイベントに参加して、自分が気づいたり考えたりしたことはこんな感じ。

あと、交流会で色んな人と名刺を交換して知り合いを増やすなら、登壇した方が効率良さそうだと思った。どこかでプレゼンしたい。

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