中国ユニコーン解説
平安好医生” AI×医療platform

邱 開洲
Code Republic Blog
Published in
11 min readJan 14, 2018

はじめに

近年、Technologyで医療業界を変革しようとするプラヤーが増えており、医療サービスの効率化や医療質の向上などに取り組んでいる様々な企業が現れ、中にもM3さん、SMSさんのような大手会社となったプレヤーがいます。
しかし、未だに3分間の受診を受ける、処方箋の薬をもらうために何時間の待ち時間に悩んでいませんか?仕事が忙しく病院に行くことを諦めたことがありませんか?
昔中国に在住していた時代に、上記を含め、医者さんを信頼せず、高額な処方薬が出されても買わないというような、医療業界の課題を日々感じており、インターネットでの革新を昔から期待されていました。
しかし実は、看病自体は高頻度な行為ではなく、ただの医者さんと何分間の交流は、インターネットでマネタイズすることが難しいという特徴があります。
インターネット業界が急速に伸びた今は、医療領域ではどのような変化をもたらしたか調査してみました。
ここで注目したのが、最短でUnicornとなった“平安好医生”です。
最初は、登録とログインに苦労して、ユーザーフェスを見た瞬間、ただの情報屋さんではないかと否定しつつ、掘り下げていたところ、“やっぱすごい”と感動しながらブログを書き始めました。

目次

・参考ポイント
・概要
・背景
・沿革
・ビジネスモデル
・事業戦略
・サービスイメージ
・現状
・競合
・今後の予測

参考ポイント:

・O2O2Oモデルの構築戦略
・AIの活用によって課題解決軸
・ユーザー入り口の獲得戦略
・マネタイズポイントのヒント
・インターネット事業だからこそ決済を抑えるべき

概要

“平安好医生”は02Oの総合健康プラットフォームであり、2016年5月にAシリーズ、バリエーション30億ドルで5億ドルの資金調達完了し、中国投資業界の様々な記録を刷新した。現時点で既に1000名以上のフルタイム医者さんを抱え、オンラインで予約可能な病院が2000棟、検診が300社、260の都市をカバーし、一日45万人の問診、受診を受けている。
提供サービス
7×24時間の医療コンサル、遠隔診療、病院予約、検診予約などの医療サービス、そしてオンラインで保健品&保健器具の購入、薬品デリバリ、さらに健康情報メディア、健康Live配信、カスタマイズ健康管理、歩数計などを提供している。

背景

欧米では、HMO(健康維持機関)のシステムが主流であり、健康管理は予防を中心に行い、そして病気が引っかかる際は、まず家庭医者、次が小型クリニック、最後に大型医療機関に行かれるという“段階診療”の文化がある。
中国では、患者と医者の信頼不足で“医闹”(医療事故で患者家族による喧嘩)がよく発生していた。 その中、一番最初に信頼性の高い大型医療機関に行かれることが多い。
現在、中国では280万の医者が資格登録され、毎日2000万人の診査を受けている。ただし、3500万人は薬局にて直接医薬品を購買し、さらに1500万人は健康問題を無視している。つまり、280万の供給と7000万のニーズに対し、従来の大型病院だけでは、如何に効率を上げようとしても回さないのが実情だ。
効率を図るには、オンラインで健康管理&家庭医者の部分を完結し、オフラインの診療に回すというO2Oの考え方は、ありそうで成功しなかった。
様々な原因を考えられるが、その一つとして、医療サービスシステムは政府の医療保険によって支払され、商業保険との関係が薄い。そのため、医療費用に関するコントロールが難しい。インターネットで受診した場合、お金の流れが問題となる。
2016年8月に国が発表した通知で複数拠点での医療ラインセンスが認められ、部分的な都市では、インターネット医療を医療保険範囲に収まるよう、変革しつつある。

沿革

2015年4月 医療、薬、情報の統合をする狙いで“平安好医生”APPがリリース
2016年7月 大量クリニックをチェン店とする“万家医疗”がリリース
2016年10月 PF上の提携診療所が10000を超え
2016年11月 登録ユーザー数が1.3億に達す
2016年年間 売上10億元超
2016年12月 オンラインの診療所が1.6万超
2017年6月 登録ユーザー数が1.5億、MAU2000万人、DAU45万人
2017年9月 累積登録ユーザーが1.7億超、会社員1000人超

ビジネスモデル

ビジネスモデル

事業戦略:ビジネスモデルの実現

ファーストステージでは、
健康管理+モバイル医療を実現
・オンラインの問診では初期ユーザー獲得

そして、医療+薬品の融合を実現
・“合肥快易捷”と“江西纳百特”のM&Aにより、B2BとB2Cの医薬流通ライセンスを取得
・ “上海华氏大药房”、“北京国药”などの第三者と提携し、薬品ECの機能強化と8都市の薬品デリバリをテスト実現

更にO2O2Oの健全化
・得意分野である医療保険を取扱、大型検診センターと提携
・大量な医者、外部専門家、診療所、病院との提携を加速度
→Onlineの検診予約、Offline検診→Onlineレポート確認&簡単問診
→Offlineの医療機関→Onlineで長期的なカスタマイズ健康サービス
という流れを循環させる
・プラットフォームのトラフィックを増大させるには、Toutiao記事、Live配信というメディアが始まる

プラットフォームの健全化
・業界内の保険会社、銀行など様々な提携を拡大

マネタイズのポイントは、コンテンツ消費、医薬EC、健康サービスのパッケージ、O2O商品、広告、保険、そしてビッグデータを多くのプラヤーへの提供など多いにある。

サービスイメージ

各提携先による記事提供メディア
Live配信メディア
問診、受診PF
医薬保健品EC

現状

全体:1.7億ユーザー登録
コンテンツ入り口:
最初、歩数計として使われていたものが、Live配信が始まってから、オンラインの“養生堂”(健康類TV番組)となった。
毎日数百万人がオンラインコンテンツ(Live配信)を閲覧
ダイエット、婦人幼児保健、著名医者インタービューは健康Live配信の最も人気なコンテンツである。
例えば、某著名外科主任が専門メディアで記事を書いて2ヶ月で閲覧数400しかなかった。平安APPでLiveコンテンツをリリースし、最初からプロモーションなしで8万閲覧、その後毎回10万人以上、さらに平均4,5千人からの質問があった。
2016年、計1800時間のLive配信を行い、1200倍の“養生堂”時間に等しい。面白いのが、20から35歳の男性にも意外と見られている。
問診:
毎日45万回の受診を受けている。
登録医者は一人あたり、年間9.1万回の問診を受け、平均一回あたり15分。
小児科、婦人科、皮膚科が最も人気。
2016年1万人以上に対して、 0時~6時の深夜問診を受け、全体の10%以上を占めている。50%の問診は午後7時から朝7時の医療機関営業時間外に発生。
医薬EC
2016年年間で320万人がAPPで医薬品を購買、中に、北京のような都市では、1時間で薬品デリバリもある。
“健康商城”の月間売上が1.5億元を超え、うち、医療機器が60%、サプリメントが20%を占めているそうだ。

競合

医療分野は難しいとはいえ、“春雨医生” “ 好大夫在线” “微医生” “ 杏仁医生” “企鹅医生”など多数の競合他社が存在する。
スタートからユニコーンまでの道に、 “春雨医生”は4年間、“微医生” は5年間、 “ 好大夫在线”は9年間がそれぞれかかった。
しかし、“平安好医生”はただの2年間で実現できた。
この理由は、おそらく“平安”はもともと保険大手であり、決済を抑えられたからだと思われる。
中国の医療保険決済はかなり複雑なシステムによって構成され、一般決済と同時に対応できることがなかなか難しく、多くのBと提携することによって、医療機関のAPPに繋いて決済も実現し、支払金額は医療保険と一般決済を分けて決められることを実現すること、早い成長が図れたと考えられる。
そのような強みを活かして、高頻度のメディア事業で入り口を獲得し、低頻度の看病や検診で利益を出すという明確な戦略により、事業を伸ばして来られた。

今後の予測

今後は、医療政策の改革により、多くのイノベーションが期待される。いずれにしろ、ユーザーがより便利となる方向へ改善されると予測できる。既に始まっているトレンドとしては以下を挙げられる。

・AI医療
数千万の15分問診対話データ、億単位の診療ケース、処方箋の蓄積したことによって、
効率化を図る:単一病気の知識グラフを構築し、ユーザー属性と病気前後のデータを把握した上で、医者問診に投げるというシステム構築可能。
医療質の向上:
・3ヶ月の出血が続ける、お腹が痛いといった異なるケースのリスク判定システムで1.5億万患者に0ミスで医療サービスを提供。
・高リスクのケースを複数専門委員会で共同診査を行い、医者による再診査依頼、緊急対応の判定などはAIによる実現。

・AI×中医
中医診査のコンサル依頼は毎日トラフィックの10%を占め、こちらを研究の基礎とすることが可能だ。病気を元に分析される方法である西洋医に対し、中医は“望闻问切”(“望”は患者の発育状態・顔色・表情・舌苔などを診ること.“闻”は患者の話し声・咳・喘息の音を聞き,口臭や体臭をかぐこと.“问”は患者に自分の病症に対する感じや以前の病歴を尋ねること.“切”は脈をみたり腹部をもんで固まりがあるかどうかを調べること)によって診療される。こちらはよりAIに適することがわかった。現時点での困難は、判定スタンダードが欠けた“切”という脈搏の分析である。

AI家庭医者
AIスピーカー会社と合弁会社を設立し、平安が提供しているすべての健康サービスを24時間で家庭に入り込むサービスを提供。

・AI薬局
福州市某病院の薬局では、毎日3000処方箋を対応し、13万単位の薬を作って、ずっと並んでいる印象だった。
AI調剤機の導入によって、患者は決済を済ませた後に、処方箋の情報が自動で薬品調剤システムに反映され、自動調剤をしその後に薬を受け取る窓口に配布する。現在、患者が決済完了から薬の受け取るまで、待ち時間1分間以内、最短で15秒という恐ろしい改善結果となった。

このようなAI、医療ビッグデータを活用できる事業は社会的な貢献ができ、政府からの支援を受け、さらなる発展が期待られる。こちらの事例を研究することによって、O2O2Oという閉鎖的な生態圏の構築ノウハウを学び、提携のスピートと情報量から質に変化させ、巨大なビジネスを作るには少し参考できるかもしれない。

参考記事

などを始め、多くの報道記事+サービス運営者、ユーザーへのヒヤリングによって作成し、多くの方に感謝致します。

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邱 開洲
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