VRChat それは満天の星空のように


VRChatを始めてからもうすぐ1年になるので、ここで自分のプレイ経歴をまとめつつ、その過程でVRChatの歴史を編纂してみたいと思う。

English Version


出会い

プログラマとしてIT業界の末席を汚す身であるからにはVRくらいは体験しておかないと、という考えからViveを購入したのが去年の6月。最初にいろいろ試したゲームの中にVRChatも入っていた。

このころはまったく人がおらず、オンラインユーザー数は常に10~20人くらい。ワールドの数も少なく、しかもみんなHub(ログイン直後のワールド)から動かないので、実質、Hubでダベるだけのゲームでしかなかった。

この時点でコンスタントにプレイしていた人たちは、もともとUnityや3Dモデリングをやっていて、このゲームの可能性にすでに気づいていた人たちだったのだと思う。少なくとも僕のような畑違いの人間にはこの時点ではVRChatのおもしろさはまったくわからず、6~8月にかけてはほとんどプレイしていなかった。

The Old Hubの鏡の間。アニメ系のカスタムアバターでいちゃこらしているユーザーがこの時点ですでに存在していたことは特筆しておきたい。

興隆の兆し

僕はVR関連情報の定点観測地点としてRedditのVive板を利用しているのだけど、9月くらいからRec Roomの話題がよくあがるようになった。

Rec Roomはミニゲーム主体のソーシャル系VRゲームだ。どのミニゲームも完成度が高く、コミュニティも活発で、しばらくの間よくプレイした。

そこで改めてソーシャル系VRのおもしろさに気づき、久しぶりにVRChatを起動してみた。そしてすぐに以前と様子が違うことに気づいた。まず人が増えているし、新しいワールドもたくさんできていて、どこも賑わっている。まだオンラインユーザー数は100~200人程度だったけど、このときはとても盛り上がっているように感じられた。

日本人はほとんどいなかったけど、日本のアニメ・漫画好きの海外ユーザーがたくさんいた。これにはいくつか理由が考えられるが、僕の仮説はこうだ。

ご存知のようにVRChatではカスタムアバターを利用可能である。海外にも良質な3Dモデルを配布している場所はたくさんあるが、高品質なものはたいてい有料だ。ひるがえって、日本にはMMDという他に類を見ない文化があり、MMD界隈では高品質な3Dモデルが大量に無料配布されている。それをカスタムアバターとして使うVRChatユーザーが多かった。そしてそのほとんどはアニメ系のキャラクターで、それに惹かれてアニメ好きが集まってくる。そのユーザーがまたアニメ系のカスタムアバターを使う。徐々にアニメフリークが増えていく……というようなスパイラルの結果だったのではないか。

ただ、そうしたMMDモデルの転用・乱用が後にMMD界隈との軋轢を生んでいくのだが、僕はこのあたりの確執については詳しくないので語る術を持たない。

VRChatやVTuberでの利用状況を踏まえて先日利用規約が改定された櫻歌ミコ。この黒髪赤マフラーのカスタムモデルは一時期、非常に人気があった。

黎明期

2017年10月~12月は、僕にとってのVRChat黄金時代だ。いまだって十分過ぎるほどに楽しいけど、このころのVRChatには、黎明期特有の混沌と、むせかえるほどの濃密な空気があった。

ユーザーの総数が少なく、基本的にみんなPublicにいたので、いろんな国の人が一堂に会した。飛び交う多種多様な言語。飛び交う片言の日本語。「お前はもう死んでいる」「なに」は誰もが一度は聞いたことがあるはずだ。Void ClubやMMD Nightclubで一晩中踊り明かし、Penthouse at Nightではテラスでギター演奏する人にサムズアップのEmojiを送り、The Great Pugではまわりの人から出されたお題すべて使って即興ラップをしていた人に称賛の拍手を送った。Gaia Nightで誰かがアニソンを口ずさみ始めたので僕もなんとなく口ずさんでいたら、いつのまにか人が集まってきて、アニソン大合唱大会になっていたこともある。Presentation roomは完全同期するペンが使えるので当時から人気のワールドで、いろんな言語圏の人と会話した。口頭、筆談、ボディランゲージ、あらゆる手段を使って。中国語、スペイン語、ドイツ語、アラビア語、いろんな言語を教えてもらったし、代わりにこちらからは日本語を教えた。凝ったアバターを使っている人はまだ少なくて、パーティクルやシェーダーを駆使したアバター芸をやっている人のまわりにはすぐ人が集まった。自然な流れの中でそこかしこに人の輪が生まれ、会話が生まれる。みんなそれぞれ好き勝手に行動しているはずなのに、混沌の中に調和がある。

たいていはアニメの話かアホな話しかしなかったけど、たまに知的な会話をすることもあった。特によく覚えているのが中国内陸部に住む人とお互いの持てる言語能力(英語・日本語・中国語)をフル回転させて、お互いの国の政治・経済、そして世界情勢について話した日のことだ。違う立場の人の違う考え方を知るのはいつだっておもしろい。シナプスがガンガンつながっていく感覚。いままで使われていなかった回路に電流が流れて、脳がスパークを繰り返す感覚。それがとても刺激的で、この日は深夜から朝方までずっと話し込んでしまった。

本当に毎日いろんなことが起こった。毎日がお祭り騒ぎだった。目のまわるような日々、狂騒と喧騒の中で意識が飛びそうになりながら、ああなんて楽しいんだろうと思った。どんな国のどんな街に住んでいようと、すぐそこにいるかのような感覚で会話ができる。遠く離れた人たちが一堂に会し、国籍も人種も言語も超えて、これほど濃密なコミュニケーションが取れる。これはすごいことになると思った。これはきっと世界を変えると思った。

ユーザー作成のワールドには同期が不完全なペンしか設置できないが、VRChat公式ワールドPresentation roomに設置されたペンは完全同期する。

前述したように、去年まではPublicにいるのがあたりまえで、プライベートインスタンスは特別なときに使うオプション的な扱いだった。イベントも普通にPublicで開催されていたので、イベントの開催に偶然出くわすなんてこともよくあった。Open Mic NightとStorytime with Magnanixはそうして出会ったイベントだ。

前者はVRChat立ち上げメンバーのひとりであるGunter主催のイベント。ギター弾き語りやピアノ演奏なんかを持ち回りで披露しつつみんなでわいわいやる感じのイベントだ。サマータイムで1時間早まってしまったので最近まったく行けてないが……。

後者はオーストラリアのMgnanixさんという人が毎週開催しているラノベの朗読会。渋い声で感情表現豊かに日本のラノベの英訳を読み上げてくれる。こちらはずっと皆勤賞。ちなみにこのイベントに出会ったときの感動は去年末、増田に書いている

多くのイベントはもともとオープンなものだったのだけど、荒らし被害がひどくなってからプライベートインスタンスで開催されるようになった。どのコミュニティも最初から閉鎖的だったわけではないということは心に留めておきたい。

Magnanixさんによる「転生したらスライムだった件(英訳版)」の朗読会の様子。

さて、12月に入ると一気にプレイ人口が増加し、12月9日にオンラインユーザー数が1000人を超えて大騒ぎしたと思ったら、大晦日31日には6000人に達した。

この急激な人口増加は有名なYoutuberやTwitchの有名生主といったインフルエンサーの影響が大きい。

青がオンラインユーザー数。赤がTwitch閲覧者数。12月に入ってから後者が急激に増加しているのが見て取れる。SteamDBより。
12月16日のTwitchトップ画面のスクリーンショット。PUBGやOverwatchに並んでVRChatの名前があるのが信じられなくて二度見した。

時を同じくして日本でも、ねこますさんやミライアカリの紹介動画によってVRChatの知名度が上がり、日本人プレイヤーが徐々に増えてきた。

2017年の年越しはVRChat内のTimes Square New Yorkで過ごしたけど、そこでかなりの数の日本人に会ったことを覚えている。

そう、たしかにユーザー数は増えた。それ自体は喜ばしいことだ。だけど光が強くなれば影もまた濃くなるもので、年明け早々から、VRChatは動乱の時代へ突入することになる。


動乱期

2018年1月13日、VRChatのオンラインユーザーは2万人に達した。これはサービス開始から2018年6月現在に至るまでの全期間中でも最大の値である。つい先日まで数十人、数百人レベルだったサービスが、ここまで急激な人口爆発を起こしたのは、インフルエンサーによる知名度上昇だけが原因ではない。もうひとつ起爆剤となったものがある。そしてそれは、その爆発力によって、文字通りVRChatの世界を焦土に変えてしまった。

2018年1月初旬、VRChat内でとあるミームが萌芽した。ウガンダナックルというキャラクターである。VRChatユーザーならおそらく誰もが一度は目にしたことがあるであろう、あの赤くて小さいヤツだ。このキャラにはいくつか決まり文句があるが、いちばん象徴的なのが、"Do you know the way?” というセリフである。

Theという冠詞は、お互いに共通了解があるときに「あの○○」という感じで用いられる。文脈もなしにいきなり ”The way” といわれても、意味がわからない。ウガンダナックルから上記のセリフをいわれた人が「何の話?」と聞き返すと、”I’ll show you the way.” というセリフとともにポータルが開かれ、ウガンダナックルのアバターがあるワールドに連れて行かれる。来訪者は「ああこれが ”The way” ね」というある種の無限ループ構造を感じながら、自身もまたウガンダナックルとなり、”Do you know the way?” と見知らぬ人に声をかけ始めるのだ。

このようなことがあらゆるワールドで繰り返され、ウガンダナックルはすさまじい勢いで増殖を始めた。

12月~1月のオンラインユーザー数推移。1月5日~7日の上昇率は特にすさまじいが、これはまさしくウガンダナックル祭りと呼んで差し支えないものであった。

ウガンダナックルというキャラクターはそれ自体がレイシズムを含んでいる(Know Your Meme当該記事Racism Accusationsの項を参照)が、このミームの拡散のされ方()のせいもあってか、無頼な輩を大量に呼び込み、このアバターをまとったユーザーもまた強烈なレイシズムと悪意を撒き散らした。

このころはどのワールドに行ってもウガンダナックルの荒らし集団に遭遇し、彼らに人種差別的な罵声を浴びせられ、彼らをどれだけブロックしてもあとからあとからわいてきて追いつかず、Presentation roomなどはブロックしたところでペンの描写や消去は有効なので機能不全に陥っており、Publicはまともにコミュニケーションを取れる場ではなくなっていた。

状況は完全にアンコントローラブルになっており、諦めモードに入っている人も多かった。VRChatを去る人、プライベートインスタンスに籠もる人、いろいろだ。運営もこの状況に対して危機感を覚えたのか、1月10日、コミュニティ全体に対して公開書簡を出した。

しかし追い打ちをかけるかのようにさらなる問題が発生する。ハックツール問題だ。「なんだかおかしいぞ」という話題がちらほら出始めたのは15日頃だが、ツール自体は12日にアップロードされていたようだ。これは誰でもダウンロード可能だったのですぐさま悪意あるユーザーに普及し、1月後半以降はウガンダナックルとともにスクリプトキディたちが跋扈することになった。

このハックツールにはいろいろな機能があったが、他プレイヤーの描画処理に負荷をかけてクラッシュさせるなんてのはプログラムを再起動すれば済む話なのでたいしたことはなかった。最も問題だったのはアバター盗難である。このときの機能は単にアバターIDを取得してそれを(台座アバターのように)流用するものでしかなかったが、アバター自作勢にとっては死活問題だった。彼らにとってアバターとは自分の分身であり、この仮想世界における自身のアイデンティティそのものだ。それを悪意あるユーザーに勝手に使われるというのは耐え難いものがあった。

さらにこのハックツールでは自分のネームタグを書き換えることが可能だったので、前述のアバター盗難と組み合わせて、完全に別人になりすますことができた(メニューから確認すれば本当の名前がわかるが)。その状態で暴言を吐いてまわり、対象ユーザーの評判を落とそうとしていた悪質なスクリプトキディもいたようである。

このような状況の上、オンラインユーザーの増加にともなってサーバーの不調も頻発しており、2018年1月はVRChatにとって混迷を極めた時期だった。運営チームも奮闘してはいたが焼け石に水で、少しマシになったかと思えばまた新しく悪質なユーザーが流入し、また場が荒れ……の繰り返しだった。

2月に入っても状況は好転せず、ハックツール問題も完全には解決されないまま、時間だけが過ぎていった。

こうして、誰もがPublicにいるのが「あたりまえ(ノーマル)」であった黎明期から、1月~2月の動乱期を経て、非Publicが「ニューノーマル」になったのである。

全期間のオンラインユーザー数の遷移。2018年1月がいかに異常な状況だったかがわかる。

悪い話が続いたのでいちおう補足しておくと、いまはPublicもだいぶマシになっている。The Great PugやPresentation roomといった人気ワールドもさほど荒れておらず、普通にコミュニケーション可能だ。しかしもう時すでに遅しで、ほとんどの古参ユーザーはプライベートインスタンスで過ごしているのが現状である。これは日本に限らず海外勢も同様で、以前は気軽にPublicで会えていた人たちに最近は非常に会いにくくなってしまった。

このような事情もあり、ニューノーマルの時代に入ってからのVRChatを俯瞰で語るのは不可能だと思われる。そうするにはあまりにもコミュニティが大きくなりすぎてしまったし、その中の細分化されたコミュニティはそれぞれ独自の発展を続けているので、とうてい個人で追いきれるものではない。

以前はVRChatの御旗のもとに小さな国としてまとまっていたのが、現在はそれぞれに自治権を持った国、州、市、村となり、それらがゆるくつながる「VRChat連邦」となっている、というのが僕の認識だ。

だからここからの記述は、あくまで僕の個人的な体験記でしかない。


世界の創造

僕にとってのVRChatはあくまでコミュニケーションツールだ。だからカスタムアバターやワールド製作にはあまり興味がなかったのだけど、フレンドの人たちに触発されて、3月末からワールド製作を始めた。

最初はねこますさんのチュートリアル動画の通りにやってみた。10分でワールド作成→アップロード→VRChatにログインして自分のワールドに入ってみる、というところまでいけた。

なんだ意外と簡単じゃないか、とは思ったものの、Unityの基礎をまったくわかっていなかったので、ドットインストールのUnity入門を全部やった。後半はスクリプトの話になるので、カスタムスクリプトが許可されていないVRChatにはあまり関係なくなってくるけど、シーン、マテリアル、プレハブといったUnityの基本的な概念はここですべて学べた。

そのあとVRChat SDKの公式ドキュメントをパラパラと読んでいたら、VRC_WebPanelという項目が目に入った。どうもこれはVRChat内でブラウザを使うためのコンポーネントらしい。ウェブ系言語なら自分の得意分野だし、これを利用して何かできないだろうかと思った。

そしてプロトタイプとして作ってみたのが以下の仮想キーボードである。

これでテキストチャットを作れるんじゃないか? と思った。いままでいろんなワールドに行ったけど、仮想キーボードを用いたチャットなんてものは、どこにもなかったはずだ。けっこう需要はあるのになんでまだ誰も作ってないんだろうと思ってたけど、ないなら自分で作ってしまえばいい。

そしてこの日からUnity(とBlender)との戦いが始まった。BackSpaceキーとEnterキーを実装し、コライダーでのタイピングを実装し、タイピング時のアニメーションを実装し、リアルキーボードでの入力を実装し、キーボードの3Dモデルを作成し、さらにいろいろブラッシュアップを重ねて3週間ほどかけて完成したのが以下のテキストチャットシステムである。

このテキストチャットシステムの技術的な要点はQiitaにまとめている

実のところ、これは僕自身が無言勢のフレンドと会話するために作ったワールドなので、自分が使えればそれでいいやと思っていたのだけど、けっこう他の人にも活用してもらっているようだ。Discordで海外の人から深い感謝の言葉をもらったときは、このワールドを作って本当によかったと思った。

それから、もうひとつ小さな変化があった。ワールド製作者たちとのつながりができたことだ。僕はUnityに関してはまだ初心者もいいところだけど、会話の内容はかなりわかるようになったし、WebPanelについてならアドバイスだってできる。

VR空間の中で実際にオブジェクトをさわったりしてテストしつつ、TwitchでストリーミングしているUnityのプロジェクト画面をWebPanelに表示させ、みんなでああでもないこうでもないと議論しながら、VR空間内でリアルタイムに開発を進める。いまVRChatの中で普通にそういうことをやっているけど、これってものすごい光景だよなと思う。指をトラッキングできるデバイスが実用的になれば、VR開発はVR空間内で完結するんじゃないだろうか。その未来がもう垣間見えている。

VR内で開発が完結する日も遠くない。

拡張される現実

ワールド製作者たちを見ていてよく思うのは、彼らの「動機」は何なのだろう、ということだ。誰に命令されたわけでもない。報酬があるわけでもない。ただ楽しいから、というのも少し違う気がする。何かに突き動かされるように彼らは開発を続け、日々新しい技術を発見し、新しい世界を生み出し続けている。

僕はこの感じに覚えがある。

たとえば90年代末のインターネット。SNSもGoogleもなかった時代、手打ちのHTMLをFTPでアップロードして「ホームページ」を作り、「リンク集」で有機的につながっていた、あのころのインターネットユーザーは、どこか熱に浮かされたように、この新しい空間に自分たちの居場所を作ろうとしていた。当時は異質で不気味なものでしかなかったその仮想空間は、いまでは現実の一部となった。いや、その仮想空間を取り込む形で、現実の方が変容した。

たとえばベータ版のころのニコニコ動画。最初にみんながやっていたのは本当にくだらない「おふざけ」でしかなかった。”Ievan Polkka” を初音ミクに歌わせていたころ、このキャラクターが世界的なバーチャルシンガーになるだなんて、誰が考えただろうか。ここから数多くのクリエイターが商業デビューすることになるだなんて、誰が予想しただろうか。

僕は数年前、自著の中で以下のように書いたことがある。

きっと彼らは世界を拡張したかったのだ。既知の世界の果ての、その先に行きたかったのだ。そして現実とは異なる仮想空間を創りあげた。開拓者は冒険心からそうするわけじゃない。革新者は探究心からそうするわけじゃない。社会不適合な人間は、既存の社会の外側に居場所を求めるしかないのだ。きっとこれまでもずっとそんなはぐれ者たちによって世界は拡張されてきたのだ。歪な歯車はどこにもはまることができない、そのことにこそ、意味があるのかもしれない。
ハッピーエンドは欲しくない」位置No.1771

新しい世界を切り拓くのはいつだって、はぐれ者で、はみだし者で、つまはじき者だ。僕は誰よりもそのことをよく知っている。だからわかる。いまVRChatにいる人たちもそうなのだと。

かつて異質で不気味なものでしかなかったインターネットが、現在ではなくてはならないインフラと化したように、VRもまた普遍的なものへと変わっていくだろう。その未来はすぐそこにある。

ニコ動でやっていた「おふざけ」が商業ベースに乗ったように、いまVRChatでUnityや3Dモデリングをやっている人がプロとして活躍する日が来る。いやもうすでに来ている。

僕にとってのプログラミングは、かつては空虚な現実から目を背けるための逃避行動でしかなかったけど、いまはそれで日々の糧を得ている。それでどうにか今日まで生きてこれた。

やり場のない想いが折り重なって、他にどうしようもなくて、僕らは現実を拡張し、自分たちの居場所を作ってきたのではなかったか。そうして世界は変化してきたのではなかったか。

それは決して特別なことではなく、何千年、何億年も前から続いてきた営み。生命に組み込まれた、たったひとつの、とても単純なプログラム。

そのプログラムに突き動かされて、僕らは世界を広げていく。

何も存在しなかった暗闇に、たくさんの光が灯っていく。

いろんな人の、想いの光。

それはまるで、満天の星空のようで。

僕はその輝きを、どうしようもなく、愛おしく思わずにいられないのだ。