道具としてのコワーキングマガジン。

ito tomio
cahootz
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7 min readDec 22, 2014

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コワーキングマガジン公開編集会議で見えたこと。

※このブログは、コワーキング Advent Calendar 2014に参加して書いています。その22日目です。ついでに、ブログジェリーVol.20で書いています。昨日は、7F山下さんのブログでした。

去る13日に東京下北沢、17日に神戸で、『コワーキングマガジン』の創刊記念イベントを開催しました。題して、「コワーキングマガジンJelly〜参加型公開編集会議」。実はこの後に、東西それぞれに「in EAST」「in WEST」とくっついて、やたら長かったわけですが。

2時間の演目は、

intro:コワーキングマガジン創刊について(伊藤)
1:トークセッション(登壇者数名)「東京発または地方発、これからのコワーキングの楽しみ方」
2:公開編集会議(次号でやってほしい特集を参加者全員でフューチャーセッション風にディスカッション)

というもので、できるだけ参加いただいたコワーカー(でなくとも)全員が発言できるイベントにすることを意図しました。

『コワーキングマガジン』創刊号は、そもそも予算も時間も限られていたので、ほぼ制作側の企画と都合のままに、自力でできる範囲内での取材と原稿執筆、編集、デザイン、その他もろもろを強引に進めました。しかし、これはこれでとりあえずカタチにして出すことで、「はは〜ん、そういう感じ」と分かっていただけたのではないかと思っています。自画自賛。

しかし、次号の『コワーキングマガジン』がどういう内容が望ましいのかは、編集部が独善的に考えるのではなく、読者となるべきコワーキングしている方、あるいはその予備軍的な人たちから、生の声を収集することで、よりコワーカー寄りのリアルな情報誌として成立することが望ましいと考えました。

つまり、読者とともに次号を作る。まさに、コワーキングの精神で皆さんの知恵と能力をお借りして、もっとよい、コワーカーに役に立つマガジンを作っていきたいと考え、「公開編集会議」というイベントにしたわけです。

そして、当日、次々とあげられるアイデアの数々には、本当に感心してしまいました。

今日、ここですべてを書き出すことは控えますが、一部を挙げれば例えば、こうです。

「何がきっかけでコワーキングするようになったか」(インタビュー)
「何がコワーキングなのか?」(アンケート)
「面白いコワーカーさん紹介」
「コワーキングのワクワクポイント」
「コワーキング・スタンプラリー」(パスポート的な)
「コワーキングアンバサダー制度」(スタンプラリーと関連?)
「コワーキングスペース一覧」
「コワーキングミシュラン」
「イベント情報入りのコワーカー手帳」(付録?)
「コワーキング開設パック」(これがあればコワーキングはできる)
「一日コワーキング店長やってみました」
「こんなイベントしました」
「こんなジェリーしました」
「おしかけコワーキング」
「となりのコワーキング」
「コワーキングあるある」
「こんなコワーキングいやだ」
「女性の求めるコワーキング」
「コワーキングMAP」
「目的別コワーキングの選び方」(訪問リポート付き)
「コワーキングスペース・チャート図」(上記と同じ趣旨)
「コワーカーによるコワーキングスペース自慢」
「コワーキングを漢字一文字で」
「あるコワーカーの一日(一週間)」
「A5版」「A6版」

…etc.

どれもこれも、なるほど、とても興味をそそりますが、要はいま、コワーキングって何やってるの?どうなってるの?誰が使ってるの?ぼく(わたし)も入ってっていいの?ということなんですね。中には、「騎馬戦」とか「運動会」とか、よくわからないのもありましたけれど。

その中でもとりわけ、目を引いたのは、やはりと言うべきなんでしょう、表現の違いはありますが、まとめれば「各地のコワーキングスペースの詳細な情報」を求める声です。

実際のところ、慣れない土地でコワーキングを探そうにも、結構、モバイルで検索するのも面倒だったり、Facebookページもわかりづらかったり、やっと見つけたサイトには営業時間やドロップインができるのどうかなど、案外、肝心な情報が不足してたりします。

2〜3、全国のコワーキングスペースをまとめ的に紹介しているサイトもあるようですが、そんな時、マガジンをパラパラとめくって見れば話が早いんじゃないの?というわけです。もちろん、紙の媒体ですから情報が古くなっていることも考えられます。しかし、電話番号がわかれば、尋ねることはできます。

なので、ハンディなサイズがウレシイわけで、A5かA6であればベストかなと。はい、創刊号はA4版ですが、使いやすいのなら別にサイズは変わっても構わないわけで。

こういう実に当たり前でカンタンな機能がマガジンには必要で、それはつまり、このマガジンは、本であると同時に「道具」として利用してもらえるものでなければならないと思い至りました。読むだけではなく、使う、本です。

と、ここで話が少し飛びます。実はコワーキング協同組合のサイトでも、全国のコワーキングスペースを一覧にして検索機能もつけていますが、一部更新されていない情報もあり、かねがね改修を検討していました。

改修の方法はここでくどくど書きませんが、スペースさんからの自己申告型のフォームを用意して、そこから登録された情報を元にデータベースを作り、その内容をサイトに反映する方向で、本日から着手しました。追って、全国のスペース運営者の皆さんにご案内をお送りすることになります。

ついては、そこで収集される情報をマガジンで一覧として掲載しようと思います。

また、ミシュランのような覆面調査は感心しませんが、コワーカー自身が実際に使ってみての「生情報」を共有することも、健全なコワーキングを普及させるためには必要かと思います。ランキングはその根拠が曖昧になることが想像されますが、個性を持ったコワーキングをチャート式にして目的別に紹介するのも、コワーカーに益するのではないかと考えています。

そして、もう一点、アンバサダーと大層な称号ですが、移動するコワーカーはコワーキングスペース同士、また、そこで活動するコワーカー同士をつなぐカタリストでもあります。彼らの流動性をもってして、コワーキングが徐々に日本中に広がっていることも見逃せません。称号はともかく、その存在を目に見えるモノしておくのも有益かと思います。コワーキングスペースに、彼らの色紙がたくさんあったら楽しいね、という話も出ましたが、それはそれとして。

とまぁ、書き出したら(いつものように)きりがないので、このへんにしておきますが、この公開編集会議は実はこれで終わりではありません。近日中に、Facebookのグループ機能を使って、マガジンの公開編集会議室を開き、そこで継続的にディスカッションしていきます。

リアルタイムに繰り広げられるコワーキング界隈のさまざまなモノゴトを、そこで共有しながら、半年に一回、紙にインクで定着させた刊行物を世に出していく、そういう継続的な活動の足跡を残していくつもりです。

ところで、東京会場で地藏さんのつぶやいた、というか、あ、今気づいた!という感じで発した「もう、カンファレンスの時代じゃないんだ」という言葉には、ハッとさせられました。年に一回、ドカンとぶちあげるイベントは、少なくとも日本のコワーキングにとっては過ぎ去ったことかもしれません。

それよりも、小さくても、密な関係を育みながら、全国各地で継続的にコワーキングを実践していく。そういうフェイズにすでに入っている、そういう気がしています。マガジンはその実体をより鮮明に浮き立たせるメディアを目指したいと思います。

すみません、風邪で意識薄弱なので、いや、そうでなくとも脈絡乱れがちなので、申し訳ありませんが、ここらへんでバトンを渡したいと思います。

明日は、姫路のロバストなかやすさんです。よろしくです!

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ito tomio
cahootz

コワーキング・プロデューサー。メディア企画、執筆、翻訳、編集。2010年、日本で最初のコワーキングスペース「カフーツ」を神戸に開設。2012年、経産省認可法人コワーキング協同組合設立、代表理事就任。2014年、コワーキングマガジン発行。2016年、コワーキングツアー開始。訳書に『グレイトフルデッドのビジネスレッスン』他