期間限定の体験。

ちょいチャレンジを増やして行く

Katsunori Nishi
Jul 27, 2017 · 5 min read

僕は就活でNHKを受けた。失礼ながら、どうしても行きたかった訳ではないけれど、時々見るNHKスペシャルのような番組を作ってみたいという欲求ならあった。それも学生生活課の募集欄にNHKの文字を見つけて思い出したに過ぎない欲求ではあったが、奇跡的に1次審査に合格した。この頃1次審査に合格するとほぼ合格と言われていて、突然ちっさな夢は膨らんだ。Nスペに自分の名前が載るのかなぁなんて。残るは2次審査に向け毎日9時に渋谷のNHKに出社し8時間程の授業を受ければいい。いわゆる拘束期間をこなすだけだった。


僕はこの拘束期間にNHKへの就職を辞退することになる。理由はNHKでは最初の数年間、東京で働けないことを、先輩であるNHKの社員の方に知らされたからだった。生意気にも僕はこう聞いた覚えがある。

仮に東京で働けないとして、配属される場所を選べないのですか?

答えは当然NO。僕は愕然とした。しかも東京に戻れる保証はないとも言われた。意味がわからなかった。でも地方で頑張ってれば絶対帰ってこれると言われた。突然周りのNHKで働いている人達がエリートに見えて来た。それにしても僕は東京で暮らそうと大学に出てきて、東京で就職しようと東京で採用試験を受けているのに、どこで働くことになるのかわからないとは、どういうことだろう?

でも今ならわかる。それは組織のためだ。会社の都合で僕は働く場所を決められ、そこでの成果によって東京に戻れるかどうかが決まっていく。。。そんなこと僕は耐えられないと思った。

いま自分が小さい会社を経営する立場になり、小さいながら3拠点持って改めて思う。やはりみんな好きな場所で働いたほうがいいんだと。やっぱり自分の人生は自分が責任を持って決めて行く事が基本だ。会社が決めるものではない。転勤をチャンスとするか否かは本人次第だ。嫌な人は嫌なんだからそういう自分の人生を生きればいい。当時のNHKは東京に戻れる保証はなかった。東京に未練を感じながら、いつか戻れる日を夢見ながらどんな成果を出せば東京に帰れるのか考え、そこに暮らすのはさぞ辛かっただろうと思うから、今も後悔はない。

でも一方で成長の為にはいろんな経験をした方がいい事は知っている。これは成長の原則なんだと思う。自分の意図しない偶然を如何にチャンスに変えるか?は永遠のテーマでもある。何かのゴールに向けて計画を立てても、何もかもを想定する事は不可能で、最初の達成手段に固執し過ぎると結局上手くはいかない。計画に柔軟性がなく偶然を取り込めないからだ。偶然を味方にできるか否かはその人の成長に関わる重大なポイントだとも思う。そう言う僕も邱永漢さんに成長するアジアでやってみなさい、と言われるまで自分が海外に会社を作るとは想像すらしていなかった。

もちろん天下のNHKの事情と三十数人のグランドデザインを比べるべくもないが、これは会社は何のためにあるのか?という問いに通ずる問題だ。会社は絶え間なく利潤を追求しなければいけない。利益が出ない会社は続けられないのだから、宿命と言わざるを得ない。しかしその利潤追求の手段が社員を犠牲にすることであってはいけない。会社の目標達成のために個人の人生を犠牲にするのは良い仕組みと言えない。あくまで会社の利益と個人の利益が合致しているのが良い仕組みの大原則なんだと思う。

だから僕は東京にせよ上海にせよ香港にせよ、原則採用された場所が働く場所と決めている。本人の希望があれば別だけど、僕からスタッフに他拠点への移動を命ずることはない。その拠点ごとのリクルートはその拠点で行う。そうやって8年間やってきた。ただ弊社は3拠点を移動しているのは僕と各拠点の代表者であって、スタッフの行き来はまだまだ少ない。そういうことで良いんだろうかとずっと考えていた。空港で飛行機への搭乗を待ちながら。みんなもっと好きに移動して仕事すれば良いのに。

そこで2〜3ヶ月間限定のプチ転勤計画を始めてみようと思う。全員というわけにはいかないが、一定の技術を持って仕事のディレクションが出来るレベルにいるスタッフ限定だ。幸運な事に今我々は、東京ー上海ー香港を跨いだ仕事が増えつつある。みんな所属はそのまま、別拠点で仕事をして帰ってくる。2〜3ヶ月あれば、休日に市内観光もし尽くせるし、市内に飽きれば一泊程度の旅行だって行ける。日用品だって買わなければいけないし、食事程度は一人で行けるようにならなければいけない。きっと次に誰かと来た時は市内を紹介できる程度になるだろう。ならば期間限定なら別の街で暮らすのも面白いと思った。あの頃の僕もやってみたかったに違いない。

昨年フィリピンのセブ島に1ヶ月英語留学してみて、長いかと思ったけど1ヶ月はあっという間で、やっぱり2〜3ヶ月居ないと腰を据えて住んだ感じがしないなぁと思ったのを思い出した。僕にとってはセブ島留学もいい経験だった。「2〜3ヶ月の転勤制度」面白いと思う。

Katsunori Nishi

Written by

Grand Design Tokyo,Shanghai,Hong kong CEO & Creative Director. I walk around Asia every month. 考えを整理したり、深めたり。色々アドバイスをもらえたらありがたいです。www.grand-design-tokyo.jp

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