リモートワーク・テレワークの始め方(1)

見えない・遅れる・表現しきれないリモート

Rie KAWANO
3 min readApr 6, 2020

弊社コグニティは2013年から、完全在宅で働ける会社としてやってきた。現在約180人のメンバーは、その多くが社員誰ともリアルには顔を合わせたことがないし、半数は子育て・介護・持病を理由として他の職場を選べなかった人たちとなる。

今でこそ、オフィスに出社“できる(距離的にも・条件的にも)”従業員が増えたものの、基本的には出社しない社員にとって損のないルールを前提に進めている。

リモートワークがベースの職場を作るにあたって、3段階の進化・工夫が必要だったと振り返って思う。
1.ツール・ルールに慣れる
2-1.怠惰を排除する(当事者の立場として)
2-2.怠惰を排除する(管理者の立場として)
3.リアルの有利性を補正する
これを順に書いていこうと思う。

1.ツール・ルールに慣れる

まずはツール・ルールに慣れる環境づくりだった。我々の場合は極端で、始めの頃は音声やテレビ会議すら行わず、「テキストチャット」の会議が多かった。つまり、
・相手を知らない・顔色が見えない
・リアルタイムでないことがある・発言したいのに遅れる
・表現しきれない・制限がある
というリモートの極地からスタートした。

ここで起こった問題とその解決策は、私が数々の記事や講演で話しているので省くとして、ここで得た「良いツール・ルール」として今も残り続けていることを書こう。それは
全員書き込みリアルタイム議事録
というものだ。

我々の会議は必ず、会議スタート時に(まっ白の状態でもいいので)、Google Docs(もしくはSpreadsheet)で「議事録ページ」を設定する。会議主催者はページを用意し、議事録を取る もしくは議事録係を用意する。が、実際に書き込むのはその参加している全員が書き込む。
補足がある場合や、言い足りない場合、誰かが書き忘れている場合や、もう少し整頓しておいたほうが後で助かると思った場合、躊躇なく編集・追記する。

営業系会議での議事録(左)、開発系会議での議事録(中)、研究系会議での議事録(右)

少し例としてお見せするのが、上記の議事録の写真だ。それぞれ職種の違う定例会議の議事録にマスクをかけたものだが、
・報告された事実
・それに対して出たコメント
・使われた資料・参考となる情報のリンク
・その場・手元で書かれた図や写真
・次回のToDo

なども一緒に書き込んでいく。

これは、もともとテキストチャット会議をしていた際も、「その場にリアルタイムで居られなかった人のため(子育て中の人は、急に泣き出した子供を見に行くことがあり、音声会議だと「その間」が抜けてしまう)」の配慮であったが、現在はそれだけでなく「合意形成の証拠」のためにも使われている。
そのため、基本的には 定期開催会議や連続した議題の会議については「前回議事録」と同じドキュメントに、日記のように追加されていく。

上の議事録については、リモートワークを円滑に行うための一つのTipsでしか無いが、基本的な考え方はどれも同じになる。
リモートワークは、リアルよりも「見えない・遅れる・表現しきれない」もの。その前提で、「見える・遅れてもいい・表現しきれるようにする」ためのツールやルールを定義する必要がある。

(2-1)に続く

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Rie KAWANO

www.cognitee.com コグニティ株式会社 代表取締役 :ここは「抽象化した河野理愛Blog4」です・・・会社のテーマである「思考バイアス」に関する話や、会社を作っていく上での話題を書いていきます