2016年デジタルマーケティング予測トレンド5選
2015年も色々ありました。なにがありましたかと言われると、もはやなにがあったのかは大して覚えておりませんのでみなさん聞くのはやめておきましょう。とりあえず、私が身を置くPRやネット広告界隈では、やれステマだやれネイティブアドだと声高に叫ばれておりました、懐かしいですね。
さて、今年も恒例の(?)デジタルマーケティングにおける5つの予測トレンドを紹介したいと思います。そこらへんに生息する一介の若造の意見にはなりますが、年明けの情報が枯渇する際のお供にでもしてもらえればと幸いです。さて、来年の今頃、どれだけ現実のものとなっているでしょうか、全部合ってなかったらそれはそれでおもしろいですけどね←
ではいきましょう。
1. Viewable Impression
アメリカなど世界各国では標準的に使われている概念であり、日本ではなぜか浸透していなかったもの、それがViewable Impressionです。簡単に説明すると、「バナー面積のうち50%以上が1秒間以上表示されたもの」となっております。動画に関して言及しますと、こちらは「50%以上の面積が2秒間以上表示されたもの」となっております
私個人的にはですが、たとえ規定されている面積や秒数が表示されたからといって、画面の先のユーザーが本当に「見た」かどうかまでは分からないだろうと思います。しかし、viewableと書いてある通り、「見ることはできる」のであり、今まで表示されただけでカウントされていた、ただのimpressionの基準と比較すると、ユーザーの目に入っている可能性は格段に高いのではないかと思っております。なんせ現状の日本におけるImpressionの考え方は、ユーザーに見られているかどうかは一切考慮されておらず、ただそのページに表示されれば1Impressionというカウントでしたからね。たとえ、それがページの一番下に表示され、ユーザーが見ていなかったとしても。
そういった意味合いでは、ユーザーの視認性があったと格段に高い判断ができるViewable Impressionという考え方は、こと広告主や代理店、媒体社の三方にとって非常に有効な概念になるのではないかと思います。
2. アトリビューション分析
「アトリビューション分析…?そんなもんがなぜ2016年のトレンドに…?」
そう思った方も多いのではないかと思います。アトリビューション分析自体は4,5年くらい前から活用されており、それがなぜいまさらトレンド化するのかというところは、多くのデジタルマーケターにとって甚だ疑問に思われるところでしょう。その理由を一言で言えば、前述のViewable Impressionの導入が大きな要因です。このViewable Impressionの導入とともに、爆発的に普及および浸透していくのがアトリビューション分析ではないかと筆者は考えております。
Viewable Impressionがスタンダードになると、従来よりも高確率で「見られている」ことが前提となるため、ディスプレイ広告における寄与度がより顕著に数値化することができます。第三者配信サービスであるアドエビスやdigitaliceを活用してコンバージョンパスを見れば、ユーザーがどの経路を辿って最終的なコンバージョンに行き着いたのかが判明します。その際、DSPやアドネットワークなど、各種ディスプレイ広告によるユーザーのクリエイティブ視認における態度変容効果がより評価されるのではないでしょうか。
準潜在層や顕在層にアプローチするSEMだけでは到達し得ず、認知させることができなかったはずの層にアプローチし獲得できていた理由がここでより明確になります。Viewable Impressionの導入により、従来よりも「見られている」可能性の高いディスプレイ広告をユーザーは視認し、それをアトリビューション分析を実施することにより、最適経路の把握や各施策における最適の予算配分まで実施が可能になります。数値で測れることがネットの強みであり、数値を元にPDCAを回せることが他の広告手法よりもネット広告が優れている点です。そのパフォーマンスがより最大化されるという観点からも、Viewable Impressionの導入によりアトリビューション分析がトレンド化するのではないかと考えるのです。
ちなみに、おさらいがてら簡単にアトリビューション分析について解説しておきますと、「成果(CV)に至るまでの経路を把握し貢献度合いを測定する手法」であると言えます。参考までに。
3. レコメンドウィジェット
2015年がネイティブアド元年だとすれば、2016年はその中でもレコメンドウィジェットウィジェットがトレンド化すると思っております。みなさんが普段見ているWebメディアや各コンテンツの下の方に出てくる「あなたにオススメの記事」などが当てはまりますね。サービスでいえばLoglyが提供するLogly Lift、Outbrainが提供するOutbrain Amplify、Yahoo!が提供するYahoo!コンテンツディスカバリーなど、各社それぞれ提携しているメディアへの誘導枠としてネットワークを形成しています。Yahoo!コンテンツディスカバリーは2015年10月にリリースをされたばかりということもあり、まだ接続媒体には偏りがあったり露出先の数という点ではまだまだ発展途上だなと思います。しかし、それは言い換えれば伸びる余地があるということです。実際、Yahoo!コンテンツディスカバリーの配信先一例には非常に質の良い媒体がずらっと並んでおり、表記されている媒体のレコメンド枠として(しかも低価格で)露出していくことができるのは非常に有望株なのではないかと思います。
レコメンドウィジェットはその特性柄、獲得効率というよりも認知の部分を担っていると考えられます。ユーザーが記事型コンテンツを読んでいる際にあなたにオススメの記事だよと、いま読んでる記事に親和性がある記事だよと提示してきます。となると、レコメンドウィジェットをより有効活用できる対象としては既存のWebメディアはもちろん、作ったは良いもののサイト流入数の少ないオウンドメディアなどが対象になるのではないかと思います。届ける手法としては、既存のバナーではなく、(モノによっては小さな写真付きの)20文字前後の記事タイトル。なんだか今読んでる記事に似てる感じがするぞとなるわけです。ユーザーにとって実利性があり良質なコンテンツを作り続けていく、それをより自然な形で届けていく手法として、レコメンドウィジェットは非常に有効ではないかと思うのです。
4. 位置データ
さて、ここからの以下2つに関しては少し毛並みが変わってきます。数年にわたり議論のネタとなっているテーマ、それがO2Oでありオムニチャネルではないでしょうか。各社ともいかにしてオンラインのデータをリアル店舗や消費者の消費行動に活かしたり、店舗から得られるデータをオンラインにも活用してエンゲージメントを高めていくのか、部署やセクションをまたぐということもありなかなか難しいものがあるのではないでしょうか。プライベートDMP導入とかその最たる例ではないかと思います。
これは個人的な意見にはなりますが、メディアも代理店も実際には寄与しきれていない点が2つあると思っています。1つは店舗への送客、もう1つはブランディングではないでしょうか。企業はすでに色んな施策を講じてきており、かつそれらを同時並行に実施しています。ともすると、とある店舗への来客数が○%(○○人)増加したからといって、一概に1つの施策のためであるとは言い切れなくなります。企業が複数の代理店を使っており、1つの代理店が携われる範囲が一部分である場合と、1つの代理店が統括はしているが態度変容まで加味した統合的な施策を企画立案出来ていない場合、代理店は企業の本質的な課題解決までは辿りつけないこととなります。そうなってくると、最終的なKGIからブレイクダウンして考えれば、店舗への送客や企業の認知向上や生活者の態度変容を目的としたブランディングに貢献できない施策やメディア・代理店が多いのではないかと思っております。
そこで、店舗への送客に実際貢献できそうな手法としてあげられるのが、この位置データとなります。いま特定の地域や場所にいる人への広告配信、または過去特定の場所へ訪れていた人への広告配信、クーポンや電子チケットを利用してもらいアプリやバーコードを活用した施策、特定の場所に訪れたときのみインセンティブが付与されたり昨今流行りのアプリゲームへの特典となったり、様々な活用方法が考えられます。そして、これはただ広告を配信するだけでなく、LPを作って告知して終わりなだけでもなく、それらの情報発信を元に実際に訪れた特定の場所に訪れてもらったり訪れるトリガーの1つとするために、過去や現在の位置データを元にしたターゲティングが非常に有効です。そういった観点からも、今年は位置データを活用したソリューションがトレンド化していくのではないでしょうか。
5. 縦型動画
今までみなさんのスマホにおける動画体験というものは、基本的に2パターンだったと思います。1つはスマホを通常通り縦に持って横に細長い画面で見る、もう1つはスマホを横に持って全画面表示で見る、この2パターンです。しかし、2016年からはもう1パターンが追加されそれが主流になるのではないかと思っています。それが縦型動画です。スマホを横にすることなく、今までの動画より大きめの画面で視聴が可能というのはおもしろいのではないかと思います。持ち替えるのって人によっては結構めんどうな動作だったりしますしね。それに、画面の自動回転をオフにしている人にとっては、全画面でなにかを視聴したい場合はイチイチそれを解除する必要が出てきます。それをなくせるということは、ユーザーのことを考えれば体験価値の向上にはつながるのではないでしょうか。
スマホそのものの形状を考えればもう少し早く出てきても良かったのではとも思いますが、スマホにおける動画での有用性や活用が叫ばれだしたのもつい最近だったため、それも加味すればまだ早い方なのかなとも思えます。今までテレビやPCで見ることを前提とされていたため、あらゆる映像作品の画面比率は横に伸びているのがスタンダードではありましたが、スマホの普及に伴う情報接触の頻度や、スマホを主軸としたデジタルマーケティング施策が縦型動画のスタンダード化を後押ししているのではないかと思います。
おわりに:2016年のデジタルマーケティングのテーマは「ベース」
つらつら書いているとだいぶ長くなってしまいました。むしろ半分くらい余計だったなとも思っています(だったら削ろ?)。しかし、上記の5つの予測トレンドより私が導き出したもの、それは「2016年のデジタルマーケティングのテーマはベースだ!」というものです。
Viewable Impressionもアトリビューション分析も、今後のネット広告の基盤というか基礎的な部分になっていくと思いますし、2015年がネイティブアド元年なら2016年はさらに進んでレコメンドウィジェット元年となると思います。さらに、O2Oやオムニチャネルの真の実現に向けて、ユーザーの位置データというのは非常に魅力的ではないでしょうか。そして、スマホの形に合わせた最適な見せ方である縦型動画…どれもこれも今後の更なる発展に向けたベースとなる部分を構築・実装していくものにとても重要なものだと思います。基盤作りや再構築、新たな創造という意味合いも含めまして、2016年のデジタルマーケティングのテーマは「ベース」となるのではないでしょうか。自身の期待も込めて。では、ここらへんで〆させていただければと思います。今年もよろしくお願いいたします。
おまけ:代理店の死
先ほど2のパートにおいて、アトリビューション分析がトレンド化すると記載しました。そこに紐づく形にはなりますが、アトリビューション分析がスタンダードなものとなった場合、これができない代理店は死滅していく可能性が出てきます。ただ新しい広告手法の情報を入手したり試したりすることは広告主でも出来ることであり、代理店が提供する価値とは効率的な運用はもちろんのこと、より費用対効果の高い施策の実施に他なりません。
現状投下している以上の予算をかけれない広告主にとって、予算内でパフォーマンスを最大化することが代理店に求められることではないでしょうか。すると、現状の施策を分析し経路と予算配分を最適化し、パフォーマンスの最大化を図れる代理店というのは非常に心強い味方となってきます。反対に、それが出来ない代理店には、今後いま以上の価値を広告主に提供することができるのでしょうか。とりあえず適当に数媒体回してみて、「思ったよりCPA高かったっす!理由わかんないっす!」みたいな代理店など、もしかしたらみなさんの苦い経験の中にもあるかもしれません。
ちなみに、なにもツールを入れてアトリビューション分析を必ずしなければいけないというわけではありません。実施している施策が2,3程度であれば、それぞれのキャンペーンにパラメータを振ってやって流入経路を把握すれば済むからです。それに、効果の高い媒体や露出先、クリエイティブに寄せていけば自ずと効果は向上します。しかし、4つも5つも施策を同時並行で実施している場合、それぞれを正しい指標できちんと把握することが不可欠となってきます。
流入と刈り取りで最高のパフォーマンスを出す媒体が異なってきたり、また、(継続率の高い)最適なコンバージョン経路を割り出して、そこにターゲットの階層ごとに分けたクリエイティブを当てていくことが費用対効果の改善を加速度的に向上させていきます。そのデータを元にきちんと現状を把握し、広告主に次回以降の施策に役立てられる示唆を提示することができ、クリエイティブの部分まで踏み込んだPDCAを回していける代理店こそ、広告主にとっては納得してもらえる価値を提供しているといえるのではないでしょうか。そういった意味も含めて、今後はアトリビューション分析がトレンド化し、それが出来ない代理店は徐々に死滅していくのではないかと私は考えます。さぁ、大変な時代になっていきそうですね☆