子どもたちの学習する姿勢はゲーミフィケーションで改善するのだろうか
成毛眞さんの刺激的なタイトルの本を読んだ。内容は大人の遊びについてが大部分を占めるのだが、むしろ子育てに関する部分を興味深く読んだ。
受動的から能動的取り組みへ
小学生の息子に勉強を習慣づけさせることに苦労している。子どものやる気スイッチを入れるのはなかなか大変である。特に男の子は、気分が向かないといつまでも自分の好きなことばかりやっている。「勉強しなさい」と言われなくても自ら取り組むように仕向けるにはどうしたらよいか、受動的から能動的取り組みに変えるためには何が必要か考えてみた。
「いつか役立つ」「試験に出る」などという言葉はモチベーションにならないが、勉強するとわかりやすくポイントが貯まり、わかりやすくスキルが上がり、わかりやすく報酬が得られれば、子どもにとって、それはもはやゲームである。黙っていても、どんどん取り組むことは間違いない
報酬の程度・価値はどうであれ、成果が目に見えて分かるゲーム感覚が子どものやる気を促すようだ。漢字を何ページ書いたら、算数のドリルをどれだけ連続で正答出来たらスタンプ1個、といった約束事を決めてスタンプ帳を作成し、スタンプ10個でスイーツ1個とか、ゲーム1時間券を発行するなど、ニンジンをぶら下げる必要がある。スタンプなど成果が目に見える形にしておくと、子どものやる気を促すとともに、継続することが出来るかもしれない。
どういった目標を設定するか、それに対する報酬はどうするかを上手く組み立てないと、簡単過ぎるゲームや、攻略をあきらめたくなるゲームになってしまう。裏を返せば、ある程度ゲームを知っていれば、ゲームをするように勉強する子どもを育てることは、そう難しいことではない。現在、教育界でゲーミフィケーションがブームになっているのには、理由があるのである
一方、課題の難易度を設定するのが難しいようだ。課題は簡単すぎるとかえってモチベーションが上がらないし、難しく設定しすぎるとやる気を削いでしまう。少し努力すれば実現可能な「ちょい難しい」目標を設定することが大切である。また、少しずつ目標に向かって継続出来るような “small step, small goal” を心がけた課題が理想的だろう。そのためには親が子らのレベルを十分把握しておく必要がある。
しかし親の本音は…
親としては、子どものやる気スイッチが入るのであれば、ゲーミフィケーションでも何でも取り入れたい。しかし、あれやこれやで手を尽くしても子どもたちが「笛を吹けども踊らず」の状態ならば、少し距離をおいたほうがよいだろう。トレーニング次第で努力や継続する力は養えるのだろうが、大部分は才能の問題である。子どもたちの人生のどこかのステージで必ずスイッチが入る瞬間がくるだろうし、自分もそのように育ってきたのだから。だから親としてニンジンをぶら下げることばかりに気を取られず、子どもたちが潜在意識下にスイッチを追い求めることが出来る環境を整えてやる方が正解なのかもしれない。