マルクスの資本論はお呼びでは無い

マルクスが気付いた時にはレーニンは彼の資本を咥えていた、から始まるこの本は、独特の用語を用いた耽美小説だ。モノを資本といい、射精、並びにSEXに至る過程を革命のための闘争、コンドームに精液を貯めて捨てることを粛清と書き換えて表記してある奇妙な本だ。目次を見れば分かるが、この本は前書きより先に用語集が配置され、前書きの扉には用語集を確認した上で読むようにと注意書きが書かれている。

主な登場人物はマルクス、レーニン、スターリン、クレムリンの四人。四人とも24歳の学生で、それぞれの事情から4人で2つの部屋を借り、共同生活をしている。冒頭の情事はスターリンとクレムリンがいない夏の朝の出来事で、これ以後たびたびレーニンはマルクスに断り無く眠る彼の資本を咥え、マルクスはレーニンの成すがままに粛清を繰り返し、次第にその先の革命のための闘争に興味を抱いていく。マルクスとレーニンの関係性が決定的に変わるのは、スターリン、クレムリンが隣部屋に居るのに、初めて革命のための闘争に到る場面だ。季節は既に秋に差し掛かっていて、粛清の回数は二十回を越えていた。

革命のための闘争の味を知ったマルクスは、以後レーニンと二人きりになるたびに催促を重ねる。最初は誘いに応じていたレーニンだったが、マルクスのプレイの過激さが増していくにつれ二人きりになる事自体を避けていき、マルクスは悶々としたまま日々を過ごす。我慢が出来なくなったマルクスはスターリンと二人きりになった時に彼の寝込みを襲う事を決意する。

決行の朝、スターリンの資本を咥えたマルクスは、粛清に到る前にスターリンの涙を見ることになる。スターリンは既にクレムリンから同様の被害を受けていて、今回はマルクスにこのことを話そうと決意していたのだと。深く傷ついたスターリンはこの共同生活から離脱し、残されたのは同意無しに寝込みを襲う三人の男たちだった。

ここから作品の色がガラッと変わる。それまでは随所に情事と、それを臭わせる描写が全体の大部分を占めていたが、これ以後は誰が寝込みを襲うのか、誰が粛清されるのかが主眼となり、寝込みを襲い粛清を行うバトルロワイヤルものへと変貌する。

使えるか使えないのかよく分からないが、革命への闘争をしたいマルクス、ただ粛清したいだけのクレムリン、逃げるタイミングを逃したレーニン、三者三様のどうしようもない状況自体は読んでいて非常に面白いものだった。

最後は何故か三人とも妊娠して、何故か帰ってきたスターリンを夫として一夫多夫エンドを迎えたところは納得はいかなかったが、作者の趣味がモロに出ていて、勢いで全てをなぎ倒すその心意気には創作者の魂を感じた。

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