ドキュメンタリー映画『祈りの果てに』

Katsuya Shimbata
3 min readMar 25, 2018

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ドキュメンタリー映画監督、久保田 徹さんの最新作『祈りの果てに』を観た。

在日ビルマ・ロヒンギャ協会で難民問題を担当し、私財でバングラデシュのクトゥパロン難民キャンプに学校も建設しているアウンティンさんをフィーチャーした本作品。

ミャンマー西部ラカイン州マウンドー出身のロヒンギャであり日本国籍を取得しているアウンティンさんは群馬県館林市で自身のビジネスもしながら家族を養い同胞を助け、協会のスポークスマンとしても多忙な日々を送っている。そんな彼を生活拠点の館林と支援で訪れたバングラデシュに同行し、彼自身や他のロヒンギャたちの想いとラカイン州で起きている現状、難民キャンプで暮らす子供たちの抱えるトラウマと彼らの将来に対する危惧の念を久保田さん独自の目線で伝える渾身の作品だった。

難民キャンプを訪れるアウンティンさん

在日ロヒンギャや彼らのような様々な事情を抱えた外国人を受け入れる館林市の職員の方の声を伝えていることに細やかな気遣いを感じ、バングラデシュ最南端の島、セントマーティン島近くを船で航行しアウンティンさんの生まれ故郷マウンドーを望むシーンは特に胸に響いた。

久保田さん曰く編集を終えたばかりでまだ本人に見せてないとのことだったので、上映後にアウンティンさんに電話をして作品の素晴らしさを伝えると、本人もとても楽しみにしていた。

私も彼や彼の友人たちに助けてもらい、2月にバングラデシュの同じ難民キャンプをフォトグラファーとして訪問した。ミャンマー軍の残虐過ぎる弾圧を被害者の方々から実際に見聞きして、情けないことに正直私自身が酷く混乱し途方に暮れてしまっていた。しかし今回の作品に触れて、私も「伝えなくてはならない」という気持ちが弱気から確固たるものに変わった。

これからこの作品が様々な場所で上映されて多くの人たちの目に触れることを願います。

久保田徹さん(写真右)

今回のイベントでの上映に先立ち企画された戦場カメラマン、渡部陽一さんと久保田さんの対談。凄いです!「戦場カメラマン渡部陽一×久保田徹 なぜ現場での報道を選ぶのか?」
https://www.cinra.net/interview/201803-kumafoundation2

先日私も取材して頂いたAya Ishiiさんの久保田さんへのインタビュー。久保田徹さん(21)【向き合う人③ミャンマー・ロヒンギャ問題に向き合う。】
https://aya-story.themedia.jp/posts/3709109

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Katsuya Shimbata

Photographer based in Tokyo & Myanmar. ミャンマーでの人々との出逢い、光の当たらない矛盾や気がかりにも焦点を当てて伝えたい。