デザイナーが陥ってしまいがちな10のこと

鳥越 康平
5 min readMar 27, 2018

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自分自身がデザイナーとして起業してから13年間の間に陥ってしまったこと。意識が足りなかったことをまとめてみました。

きっともっと多くのことがあるし、必ずしもこういう風にまとめるのが良いとは思わないけれど、文章にまとめることで再認識できるかもしれない。

1:ビジネス視点から考えられない

デザイナーの役割は手を動かすことだけではない。この社会の理りを解き明かし、よりよく再設計することこそがデザイナーの役割ではないだろうか。現代社会においては、その理りがビジネスに紐づいてくる。私たちの生活の半分以上はビジネス環境によって動いている。

デザイナーがつくるものは自分自身のエゴを見せつけるものではなく、社会に新しい流れを生み出すことではないか?

時にモノを生み出すことに囚われ、より大きな視点から考えることを忘れがちになったりする。

2:職人気質になってしまう

自分自身一番難しく、乗り越えるのに時間を要したのがこれだと思う。職人気質が特にネガティブに出てしまったのは社内でのコミュニケーションだ。

少しでも足りないところがあると叱る。叱るまではいかなくても、指摘してしまう。完璧を求めてしまう。物事の本来あるべきことばかり伝えてしまう。

しかし、大事なことは物事よりも目の前の人の感情だったりする。目の前の人の存在そのものだったりする。物事は二の次だ。それぐらいの心構えでいるとうまくいく。

3:給料に無頓着である

給料に無頓着なのはいいけれど、同時に会社の売上や利益にも無頓着になったりしてしまう。売上や利益のような会社のことよりも「つくるもの」に意識が向きがちになる。

もちろんつくるものがあってこその対価だ。ただ、給料はある意味自分が社会に出せている価値だ。そしてその価値を生むためにどのような組織体制になっているのか、どのようにして価値が生まれているのか、自分一人では会社は成り立っておらず、どうやって自分の価値を生み出すための動力が働いているのかを考える。そういう時間があっても良いかもしれない。

4:伝えるのが苦手という意識がある

つくるのは好きだが、つくったものを伝えるのは苦手だ。自分がつくったものが目の前にある訳だから「見ればわかるじゃない?」と思うけれど、見ても分かってもらえないケースがほとんどだ。

どれだけつくることに意識を注いでも、相手に伝わらなければもったいない。「つくる」と「伝える」の両方が兼ね備わってこそ、社会に届くより良い製品・サービスがつくられるのではないだろうか?そう毎日自分に言い聞かせている。

5:デザインそのものに執着する

デザインそのものに執着してしまったことがあった。まるでデザインというものが自分たちの世界のど真ん中にあり、デザインを解き明かすことがこの世の中の本質であるかのように感じていた時があった。

だけど、デザインは私たちの生活の一部だ。食べる。寝る。考える。そういうことに似ている。デザインそのものを解き明かしてもこの社会がよりよくなるかは分からない。デザインという最高の設計思考を大切にしながら、その思考を生かしてあらゆることにチャレンジできるかもしれない。

6:起業時に受託ビジネスを選んでしまう

デザイナーが企業する時に何の疑いもなく選んでしまうのが受託ビジネスだ。だけど、本当に受託型のビジネスが自分がやりたいことか1,000回ぐらい自問してからはじめても遅くない。

もちろん受託型のビジネスには様々な形態がある。様々なプロジェクトに携われるという恩恵もある。それと同時に受託以外のビジネス領域は膨大に存在する。

どういうビジネス形態にせよユーザーの一番近くにいられるビジネスはやっぱり面白い。

7:本質にばかり目が向く

時に人生において大切なことは『本質』だけではないのではないか。物事の本質ばかりをみてしまっては周りの人々は傷つく、否定されたと感じることがある。

本質のことを考える時間もあれば、なんの意味もないことにも目を向ける時間も取ろう。意味のない無駄話に花を咲かせよう。そのバランスが大事だったりするのかもしれない。

8:プロダクトをスケールさせる意識がない

デザイナーはものをつくることが好きな人が多い。自分もそうだ。そうなるとまるで陶器を作り込むかのように、いかに素晴らしい作品をつくりあげるかということだけに意識が向いてしまうことがある。

しかし、製品やソフトウェアサービスを生み出す際に考えなければならないことは「どうやってスケールさせるか」が大事だ。その製品がどれぐらい簡単に、ステップレスで世界に広まっていくか?

製品やソフトウェアサービスが広まるための設計にも、目を向けることが重要だったりする。

9:ソフトウェアの思考を持っていない

デザインのことだけでなくソフトウェアのことをもっと知ると、デザインの可能性が何倍にも拡大する。その可能性は無限大だ。

どこかに掲載されているプログラムを持ってきて繋げるのは、ここでいうソフトウェアではない。ソフトウェアの構造を解き明かし、自分で再構築しながら新しい「システム」を生み出すことがとてつもない可能性に繋がる。

10:(あなたの改善点がここに入る)

例えばソフトウェアエンジニアは様々なネットワークを通じて世界中の人々と交流していることが多い。この10番目にくるはまさにあなたがこれまでに見つけて、改善してきたことを入れて欲しい。

世界に発信して他者と共有することで、この世界をよりよくしていくことができるかもしれない。ブログでもSNSでもなんでもいい発信することで変わる未来もあるかもしれない。

P.S.
ちなみに私はもう自分のことをデザイナーだとはいっていません。名刺から肩書きもなくしました。デザイン的な設計思考はとても大切にしながら他のことにも挑戦しています。

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鳥越 康平

株式会社ZEPPELIN代表。デザイン、経営、事業創造、サービス開発を携わる。https://www.zeppelin.co.jp/