人工知能スタートアップの3分類

こーじん
Jul 21, 2017 · 5 min read

人工知能周りの事業をしているスタートアップを、僕は大まかに3種類に分けています。以下の通りです。

既存のビジネスを最適化するスタートアップ

広告やECの価格設定、在庫の最適化、工場での異常検知、サイバーセキュリティ強化などがこれに該当します。現在、大企業が主体となってa)自社の技術、もしくはb)特定の最適化領域に特化したスタートアップの技術を使って事業を効率化しようとしています。多くの企業はa)を持っていないので、b)にすがらざるをえず、こういったスタートアップが成り立ちます。

これは数年前にトレンド化した「データサイエンティスト」の一部自動化であるということもできます。以前はデータサイエンティストと呼ばれるデータ分析の職人が必要とされてきました。しかし、少数の職人にビジネスの効率化や新たなナレッジの発見が集中してしまってはスケールするモデルとは言えません。ですから、こういった課題に対応するために「人工知能」というデータサイエンティストのやっていたことの一部を自動化した仕組みが採用されるようになってきました。

人工知能分野でスタートアップと言うと、現在〜今後数年は一番成功確率が高いのはこの分類のビジネスであるように思います。日本でもPKSHA、BrainPad、海外でもPalantirやMu Sigma、Kenshoなどといった企業が散見されます。なぜ成功確率が高いかと言うと、

  1. 画像分類や強化学習といった近年をブレークスルーを達成した技術はそれ単体でビジネスにはなりにくい
  2. しかし、世の中ではAIブームが起こっていて大企業はAIを取り入れたがっている
  3. したがって最先端の技術でなくても、既存のデータサイエンスを少しソフトウェアっぽくしたものを「人工知能だ!」と言うことで以前より大企業へ導入がしやすくなっている

といった流れがあるからなのではないかなと思っています。大企業相手の半コンサル的なビジネスなので収益が上がりやすいという利点もあります。

しかし、こういった会社は今は熱い一方で数年後、データサイエンス業務がオートメーションされ尽くしてきた頃には爆発的な成長は期待できず、かつ競争も激化しているであろうと思います。

とにかく技術が最先端なスタートアップ

主にGAFA周辺にアクイハイヤーされるスタートアップです。大学発ベンチャーが多かったりします。DeepMind、MetaMind、PFNなどがこれに該当します。必ずしもビジネスが回っていなくても高値がつく反面、収益性の面で行き詰る可能性が高く、早い段階で売却されるケースが多いと思います。当然ながら、成功確率はその人の技術力に大きく依存します。

人工知能を用いた課題解決型スタートアップ

このタイプのスタートアップは必ずしも人工知能技術を全面に押し出しはしません。ですが課題解決の手段の中に人工知能を組み込むことによってこれまでとは違った手法で課題を解決します。例えば、ルンバはAIをグイグイ表に出していくことはせずとも、部屋を歩き回る仕組みに人工知能が搭載されているが故に、これまでの掃除機では成し得なかった課題を解決しました。

難しさとしては、近年AIは技術的なブレークスルーはあったものの、スタートアップが(大企業もしかり)商用利用においてAIを大きなビジネスに結びつけることができたケースは稀である、という点です。結局人工知能はこれまでのビジネスの効率化に使われてはいるけれども、自動運転や自動翻訳などのブレークスルー技術を駆使した課題解決ビジネスを行うには、しばらくはR&Dへの投資が必要なようです。

(人工知能の発展を助けるスタートアップ)

補足としてNVIDIAやAWSのように、ハード面、ソフト面の両方において膨大なAIの情報処理を担うサービスを作っているプレイヤーもいます。人工知能を使っているわけではないので、今回は短めの紹介です。

以上3つに当てはまらないと微妙かも

例えばこのようなケース:

  • 技術力はそこそこだけど、アクイハイアーされるほどではなく、また特にクライアント候補とのコネクションも乏しい。学生AIスタートアップにありがちなケース
  • 最新の人工知能技術を搭載した何らかのハードウェアを作った。でも誰が使うかは知らない。。誰の課題解決をしているのかわからない。。これは研究者系スタートアップに多いケース
  • 超絶優秀な分析者集団だけど、大企業の仕組みを知らない。アルゴリズムをソフトウェアとしてデプロイしたことがない。これではシミュレーションの上では企業のビジネスを手助けできたとしても、結局データサイエンティストの外注と等価になってしまい、スケーラビリティがない、というケース

これらは上の3種類のAIスタートアップ分類に該当せず、いまいちなのではないかなーと思います。大概がこういったいまいちケースであろうと思われます。

まとめ

かなりざっくりした分類でしたが、基本的にはデータサイエンスのオートメーションと人工知能を課題解決に応用する2種類があり(真ん中のケースは例外的なので。。)、前者は今が旬で、後者はしばらくR&Dを続けたのちものすごく開花するだろう、といった感じです。

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