皆さんGWいかがお過ごしでしたでしょうか?

国民全員が同時に余暇取るシステムはあまりに非効率なので止めたほうがいいといつも思っていますが、日本人は自主的に有給休暇を取得するのが苦手なのでこういう強制的な休みがある方が全体のバランス取れるのかなとSNSでの皆さんのポストを見てると感じる今日この頃です。

さて、このGW明けからは元号も変わり、さらにKVPとしても新たな気持でスタートすることとなります。

既に4月末にプレスリリースをさせて頂きましたが、弊社は大きく2つの転換期を迎えました。一つは社名を株式会社KVPに変更しました。リリースではリブランディングのためと簡単に説明しましたが、独立性のあるベンチャーキャピタルとしてシード期へのリスクマネーの安定供給の一翼をがっつり担いたいと思ってこの会社を設立したので、ゲーム会社であるKLabのCVC(Corporate Venture Capital)というイメージは活動していく中で必要ないし実態にそぐわないものでした。これを契機にシード期のスタートアップに幅広くリスクマネーを提供するベンチャーキャピタルとしてのミッションをさらに邁進していきます。

Image for post
Image for post
プレスリリース時の集合写真

また、2つ目の大きな転換として発表したのはオフィスを渋谷に移転したことです。KVPのオフィス以外にも”nest”というインキュベーション施設も同時にオープンしました。やや身の丈以上の大きなオフィスなので金額的にもかなりドキドキする決断でしたが、投資先支援の強化の観点から絶対にやるべき投資だと判断しました。KVPではコミュニティー活動を重要視していてこれまでも定期的にイベントなどやっていましたが、今度はこのスペースを拠点に投資先同士の横のつながりも生まれるコミュニティーを創っていきたいです。

新たにスタートするnestではイベントスペースとしても様々な企画をしていく予定です。既に5月以降はいくつかのイベントが企画されていますが、もしKVPとこんなイベントを企画したいなどあればぜひご連絡ください。

Image for post
Image for post
投資先とファンドLPも交えたBBQ。こういう横のつながりも大事!

冒頭でシード期のリスクマネーの安定供給というワードがでましたが、最近ではベンチャーキャピタルは増えすぎてるからそんなにいらないんじゃない?的な議論をたまに耳にします。

個人的にはそんな意見には大反対で、マクロ的に日本のベンチャー投資のリスクマネーはアメリカの約10兆円に比べて1/50程度で少なすぎるというのはよくニュースにもなりますが、最前線でやっている現場感としても間違いだと肌感覚で感じています。例えば、KVPとして新規に面談するスタートアップは毎月約50社程度。その中から月に1社くらいに投資しているわけですが、お断りしているスタートアップに可能性を感じていない訳ではなくて、投資実行に至っていないスタートアップも素晴らしい会社がたくさんいて、うちのリソースの問題やファンド状況などでお断りしなければならいことも多いです。ではこういったスタートアップがどうなるかというとKVP以外のベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金調達が決まればいいですが、結局どの投資家からも資金調達ができずに企業としての最初の一歩が踏み出せずに事業を頓挫してしまうケースがあります。そしてそのケースは現場感として世の中で想像されている以上に多いと思います。

これはほんとにもったいないことです。もしかしたら将来上場するかもしれない、社員を数多く採用し経済に貢献できるかもしれないポテンシャルを持ったスタートアップが最初の一歩を踏み出せず、誰にも知られず世の中からひっそりと存在を消しているということが実は多くて、これは凄まじい社会損失です。

たしかにベンチャーキャピタルは増えてきましたが、サービスローンチ前後のシード期に投資するベンチャーキャピタルはまだまだ少ないと感じています。KVPは幸いにも1号ファンドを通じてこういったシード期のスタートアップ投資のノウハウがかなり溜まってきたので、できる限り多くのポテンシャルあるスタートアップにリスクマネーを安定供給していく活動をできる限り長くやっていきたい。そのような考えから社名も変更しました。

3ヶ月ほど前にKVPで合宿をしてKVPのビジョンというのも議論しました。その中ででてきたワードが、

”Bring the Entrepreneurs Vision to The Next Stage”

というものです。KVPはできる限り多くのスタートアップを次のステージに導く最前線で戦い続けたい。最初の一歩が踏み出せないことによって将来の有望企業の芽がひっそりと摘まれることをできる限り減らしたい。こういった想いからこのビジョンを設定しました。

Image for post
Image for post
オフィスのエントランスに描かれたビジョン

令和という新時代から新たなスタートを切るKVPとして、令和の時代の経済と働き方はこれから生まれるスタートアップが担っていくべきだし、そういう時代になるための一翼を担う存在として邁進していきたいです。

それでは皆さん連休明けの仕事楽しんでください!


忙しさを理由に放置してたMediumですが、さすがに正月にゆっくり思案を巡らすことができたので長文を書きたくなりました。

以前のポストを見てみると2年前の年始所感としてKVPがスタートしたばかりで7件のポートフォリオを紹介してました。そこから2年の活動を経て55件程度の投資ポートフォリオとなり、KVPも投資先も大きく成長できているのはこの上ない幸せであると思っています。

年始にあたり新年がどういう年になるのかと大きい視点で考えていきたいなと思うのですが、やはり4月からの改元は大きなイベントになると思います。僕は別に迷信深いタイプではないですが、やはりこうした新しい時代でどういうスタートを切るのかはその後の時代を定義づけると思います。

歴史を振り返ると20世紀のスタートは栄華を極めたヴィクトリア女王の訃報という不吉に始まり、その後欧州ロイヤルファミリーの崩壊と第一次世界大戦へと突入という負の連鎖を断ち切れなかった。昭和は恐慌でスタートし戦争に活路を見出すしかなかった戦略が破滅を導いた。平成はベルリンの壁崩壊・東西冷戦集結とともにスタートし、人類史上比較的平和な時代となった。一方阪神大震災から端を発し災害に悩まされる時代となった。歴史を振り返るセンテンスを書き出すと止まらなくなるのでこのあたりで止めておきますが(笑)何れにしても改元でスタートする本年のイベント・モメンタムはこの時代を定義づける重要な年だと思っており、僕としても社会の構成員の一人として責任を持っていい時代を創っていく一助の活動をしていきたいと思います。

本題ですが、2018年も印象に残る出来事がたくさんありましたが、僕が個人的に最も印象的だったニュースは”黄色いベスト運動”でした。これはこれまでの時代での主たる対立軸であった右翼左翼、保守リベラルやアラブの春などの民主化運動などといったものとまったく違うコンセプトの新しい対立軸であり、格差の拡大が加速・常態化する世界での新たな対立軸となりつつあります。トマ・ピケティが「新・資本論」でr>gと表現したようにこの対立軸はさらに先鋭化していく可能性があります。ポスト・メルケル、EU首脳の後任人事、ブレグジットの落とし所などなど今年はヨーロッパに注目です。

この根深い問題の解決というのは僕は個人的には政治ではなくて企業が解決していく範囲も極めて大きいと思います。イノベーションの起こせない政治に頼るにはこの問題は構造化していくスピードが早いので、スタートアップがスピード感を持ってイノベーションによって解決していける部分も大きいです。例えばKVPとして去年から支援しているcompass社が提供している”CHOICE!”というサービスは、普段キャリアコンサルタントを使えない or 対象外の人に対してチャットボットによるキャリアコンサルタント事業を展開しているスタートアップです。このようにテクノロジーによって社会問題を解決しつつビジネスとして成立させるスタートアップメソッドによる社会解決ビジネスは新時代の企業のあり方として注視していきたいと思います。

また、日本からGAFAをうみだせるのか?という大きなテーマも日本のスタートアップエコシステムが取り組まなければならない重要なアジェンダです。”Software is eating the world”は”AI is eating the world”となり、でも結局は”GAFA is eating the world”だったりします。中国からはGAFAに代わるBATやTMDが出てきてeat the worldし初めています。現に日本においてもスマホの入力ソフトはBaiduのSimejiが寡占していますし、コミュニケーション領域でもTikTokが大流行しeat the worldし始めています。前段の黄色いベスト運動の話と同じく強い会社がより強くなっていく傾向にあります。

こういった切羽詰まった状況の中、日本として骨太なAIの技術スタートアップに投資しなければいけないという話がよくありますが、個人的にはよく分かってない人の意見だなと思います。AIの技術の会社に投資することでAIの巨人が創れるわけではなく、AIで世界を変えれるユニコーンは「巨大なデータ量」×「巨大なアクティブユーザーを持つプラットフォーム」×「資本を武器にできる高い時価総額」の掛け算で創れると思います。日本のスタートアップ関係者がどうしてもメルカリに期待してしまうのはこの要素を全て持っている希少性の高い会社だからなんではないかなと思います。

マクロ的な話は一旦筆を置くとして、KVPとしては2号ファンドが直近でスタートし、さらにアクティブに投資活動を進めていいく予定です。

昨年はD2Cへの期待がとても高まり、花・ファッション・絵画・日本酒・コーヒーなど数多くのD2Cスタートアップに投資実行しました。

D2Cのいいところは、これまでの小売店舗の延長線のような棚商売のコマースから、

・顧客データの収集

・顧客の分析

・顧客に最適な商品の開発・提供

のサイクルによってLTVの最大化が科学的にオペレートできることにあります。スタートアップが得意とするデータ分析とソリューションへの展開のスピード感が従来のコマースでは対応できなかったD2Cという形で結実しつつあり、とても面白いです。下記ツイートにあるKVPパートナーの御林がわかりやすくまとめてるので参考になります。

引き続きD2Cは重要テーマとして考えていきたいですが、2019年は新たにエンタメテックも新トレンドが新たに起こると思っています。TechCrunchの「2019年のスタートアップ・トレンド」の寄稿にも少しだけ言及しましたが、この領域に対してアグレッシブに活動していきたいです。その理由を書き始めるともうだいぶ長くなってしまったので本稿は一旦これで終わります。超絶な五月雨に一気に書いてしまいましたが、今年は余裕を持ってできるだけMediumもポストしていければいいですね(苦笑

2019年が皆様にとってよい年になるように!


大阪市が関西のスタートアップの育成を目的に展開しているプログラムであるOSAPというシードアクセラレーションプログラムがありまして、私もこの2年ほどメンターとして関わらせて頂いてます。このプログラムのお陰で大阪のスタートアップのレベルは飛躍的に上がったと実感しています。先日このOSAPの第5期の募集も兼ねたイベントに登壇して話をしてきたのでそこでのディスカッションの内容をせっかくなのでまとめてみました。

(ここでは書けない類のw)色んなディスカッションが行われたのですが、主として大阪及び関西のスタートアップと東京のスタートアップの大きな違いの1つはファイナンスリテラシーにあるという大前提のもと、関西スタートアップのリテラシーギャップをちょっとでも埋めたいという意図のイベントでもあったので、初めての外部調達における抑えておきたいTipsを中心に話をしました。細かい所作を常識として知っているだけでVCと交渉する際に入口の印象が劇的に変わってくる可能性があるので初めて外部調達するという起業家にはぜひ見ていただきたいです。

Image for post
Image for post
  1. ピッチの時間は20分以内
    VCとの面談は大抵1時間以内。シードの投資家はディスカッションすることを好む傾向がある。議論した上で事業の方向性への納得感のもと投資の判断に至る。ピッチで40〜50分くらいダラダラと話す人がいるけどそれは勿体なすぎる。1時間の面談のうち少なくとも40分はディスカッションできるように時間配分考えたほうがよい。
  2. 紙でピッチしない方がいい
    大阪のスタートアップには紙をプリントしてそれでピッチする人が多いのですが、それはやめたほうがいい。PCモニターを見せながら対話ベースで目を見てピッチした方がよい。紙だとずっと下ばっかり見てコミュニケーションが一方通行になりがち。
  3. プロダクトがあるゆえの罠に注意
    KVPのファンドでもプロダクトがないステージのスタートアップへの投資は全体の半分くらい。その場合は起業家への可能性だけで投資の意思決定できるのですが、なまじプロダクトがリリースされているとその詳細のKPIを聞きたくなります。アクティブUUやリテンションレートやCVRなどなど矢継ぎ早にKPIについて詳細聞かれて、現状把握とそれを受けての改善案などをしっかり提示できないと「自社のKPIもちゃんと把握できてない起業家なんだ」という印象を受ける。プロダクトがある場合はKPIが現状乏しくても分析の緻密さは重要。むしろその分析がきっちりできていると投資したくなる。
  4. アンケートは無意味
    よく「街頭アンケートでこのサービスを使いたいという人が9割でした!」とかいう結果をもってユーザーニーズのエビデンスとする起業家がいますが、これはあまり意味ない。アンケートの結果はいくらでも操作できるし、アンケート結果がよくて出してまったく流行らないサービスを山ほど見てきているから。意味のないアンケートよりペルソナの徹底的な深掘りと科学的な分析の方が遥かに重要。
  5. VCは紹介で!
    VCは紹介ルートを大事にする傾向にあります。infoの問い合わせなどではなく、なんとかネットワークの中から紹介してもらって会ったほうが確立が高まる。
  6. 開発外注はそうとうネガティブ
    プロダクトの開発を外注に依存しているスタートアップというのはそれだけでネガティブに見られる可能性があります。内製のメリットは挙げたらキリがありませんが、PDCAの速さとコストが2大メリットですかね。あと、一緒に開発する仲間をリクルートすることもできない起業家なんだということで採用力もないんじゃないかなと思ってしまいます。シードだとしてもある程度内製できるチームを組んでいるのはとても重要。
  7. 資本政策のセオリー=ダイリューションは1ラウンド10〜15%以内
    これも東京ベースのスタートアップには当然のことにように思えますが、地方だとけっこう多い事案だったりする。
  8. 競合に投資しているVCへのピッチはNG
    そのVCがどこに投資しているのか調べないで会うケースが多いのですが、これはやめたほうがいい。そのVCを通じて情報が筒抜けになる可能性がある。潜在競合へ投資しているVCへはあえて会いに行かないほうが無難でしょう。
  9. M&Aのイメージを具体化
    リテラシーの高いスタートアップだと「潜在的なM&A先は○○社で、既にヒアリングしてKPIが○○以上になれば○○億以上で買収の可能性がある」みたいなことまで先回りして調達するスタートアップもあったりする。ここまでしているのは相当レアですがVCからすれば投資時の安心感が高まります。ヒアリングはハードル高かったとしてもM&Aの具体的なイメージを起業家から提案することは重要。
  10. 先輩起業家のピッチ動画
    IVS、B Dash、TCTokyoなどのメジャーピッチコンテストの入賞ピッチは穴が空くほど見るべき。
  11. オピニオンリーダーのSNSフォロー
    地方だからこそ著名な起業家、VC、上場企業社長のSNSは徹底的にフォローして情報格差を埋めるべき。
  12. 創業者間契約の重要性
    創業株主の仲違いはよくある話なので創業者間契約で辞任時の株の取扱を決めておくべき。

クローズドのイベントだったのでもっと突っ込んだ話もしましたが、汎用的なTipsの話だけサラッとまとめました。なんか当たり前のことばっかり言ってるなと思う方もいるかもしれませんが、このあたり前のことを認識していないために最初から躓く起業家があまりにも多いのが勿体無いなと心から思っています。考えだしたらもっとあるとは思いますが時間がきたのでここらやめときます。

一つでも参考になれば幸いです。

About

『鴻鵠之志』

KVP代表長野泰和の活動ブログ。

Get the Medium app

A button that says 'Download on the App Store', and if clicked it will lead you to the iOS App store
A button that says 'Get it on, Google Play', and if clicked it will lead you to the Google Play store