地域おこし協力隊に思うこと。

もう11月である。2年間の「神山町地域おこし協力隊」が終了した3月末からすでに半年以上。忘れないうちに(すでに忘れかけているので)書いておきたい。ちなみに「地域おこし協力隊」とは最長3年まで契約延長できるのだが、私は2年で退いた(最初の1年はとにかく働き、2年目はおまけ程度であったが)。なお、県外他地域の隊員からはかなり悲惨な体験を聞いたりしているので、そういう意味では神山町は決して悪くはない。これからやりたいことを見つける若者にはとても良いんじゃなかろうか。おっさんは止めた方が良い(役場と衝突して終わり。これまでの常識が驚くほど通じない)。なお、以下の内容はあくまで私の在任時点(2014.04〜2016.03)でのこと。現在それが改善されているかもしれません(ないと思うけど)。*ちなみに在任2年でも起業支援金制度は使えました。

【地域おこし協力隊の「協力」とは】
私は勘違いをしていた。私のような都市部から来た人間がその経験を生かして、地域「に」協力することだと思っていたのだが、どうやら逆で、若者の「地方で生活したい」「地域社会に貢献したい」「自然と共存したい」等というニーズに地域「が」協力して、過疎地に住んでもらう制度であるようだ(としか思えなかった)。だからこそ「君は何をしたい?」とよく問われるのだが、その割には地域にいくら貢献することでも与えられたミッション(後述)に沿わないものはダメ(ただし、人によってOKなのがお役所的。私みたいに文句言う人はもちろんダメ、笑)。私は、採用試験において町でやりたいことを求められた際、私は自分がやりたいことではなく町の課題(すだちをもっとPRしたいのではないかと勝手に想定。来るまで全然知らない町だったし)を解決するにはどうしたらよいかという意図の上に企画書(作文ではなく)を提出した。町にヒアリングもしてないのに企画は出せないよと悩んだのだが、ここからズレが始まっていたのかもしれない。

【マネジメントの欠如】
与えられたミッションは「産業振興」。このざっくりした目的の元、先輩隊員らと一緒に企画立案、実行していくわけであるが、サッカーに例えれば「得点を入れて勝て」というくらいのざっくり感である。自主性に任せると言えば聞こえはよいが、言ってみれば監督不在。おそらく数人でワイワイと草サッカーやるならばよいが、それなりのチームを目指せばそれでは無理というもの。それなのに公式大会に出てしまった、と言えばよいのか。「現時点でもっとやるべきことがあるのでは」という意見にも「やりたくないんでしょ」と言われて終わり。とはいえ、「協力隊」は助っ人だと信じた人間としては、先輩らのやるサッカーをとにかく懸命にフォローはした。町は何のために協力隊制度を活用するのか、町をどうしていきたいのか、そのためにどんな人材が必要なのか。採用した人材をどう配置し、どのタイミングでどのような活動を担わせるのか。最低限のマネジメントはすべきである。もしできないのであれば、マネジメントできる人をきちんと入れるべきと思うし、できないなら協力隊制度を活用すべきではない。担当が終われば異動の役人と違って、割を食うのは隊員である。

【「稼ぐ」ではなく「使う」】
これは協力隊というよりも、地方の現状というべきか。町おこしの現場はとにかく「助成金」ありきだった。助成金がすべて悪とは言わない。がしかし、考えが「助成」金ありきなのだ。葉っぱビジネスで有名な上勝町の横石さん(いろどり社長)が「稼ぐことより使いみちしか考えていない」というような批判を書いていたので、どこもそうなのだろう。助成金を元手に稼げる仕組みを作っていく(=地域が自立していく)発想ではなく、その事業年度が終わったら今度は別の助成金、足りなくなったら助成金、なのだ。会社が傾き、売り上げをなんとか上げるために、やりたくもない新規営業を必死こいてしてきた人間からすると、その甘さに愕然とした。さらにはその問題を共有できないことにもっと愕然とした。稼げなくても誰も困らないから、企画もぬるい(これは自省も込めてだが)。協力隊は言ってしまえば文化祭の連続。別に売り上げを作らなくても(自分の人件費を稼げなくても)、なんとなく企画が「地域貢献」や「町おこし」っぽければそれでOK。それゆえに、稼ぐ仕組みを考えたり、地道な実務をする人よりも、それっぽいアイデアを思いつく人の方がもてはやされる(役場が事務方よりアイデアマン歓迎とか明言してくれればまだスッキリするが)。これでは地域が自立する日は残念ながら来るまい(いや、本当に自立したいのか。ただ中央の金使って「リトルトーキョー」を作りたいだけなのかと揶揄したくもなる)。協力隊制度で若者は移住してくるだろうが、金の切れ目が縁の切れ目。地方創生のバラまきに熱心な安倍政権が続くことを祈ろう(地方より前に日本が沈没しそうだが)。ただし、これだけは強調したい。助成金や役所に頼らず地道に活動している素晴らしき人たちはもちろんおり、その方々に出会えことが私の財産になったということを。

【2017.1追記】別冊宝島『東京五輪後に地方は崩壊する』に「体験記・地域おこし協力隊は「文化祭」レベルだった!?」を執筆しました。このテキストを大幅に加筆修正したものです。http://tkj.jp/book/?cd=20253901