Firebase Predictionsで始める一歩先を読むグロース戦略
先日、Firebase Meetup #12 Growth Day @Google にて、Firebase Predictionsのお話しさせて頂く機会がありました。その内容をテキストでも書き起こしてみたいと思います。
僕自身もどちらかというとエンジニア寄りのロールなのですが、”巨人の肩の上に立つ”の精神で、有用なツールを上手く取り入れつつ、より価値のあるプロダクトを生んでいければと思います!
Firebase Predictionsってそもそも何ですか?という方は、以下の記事を先に読むと、記事の内容がより分かりやすくなりそうです!
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発表本体
前置き
本日は、こちらの内容で話していきたいと思います。
(弊社の紹介は記事ではスキップします!気になった方はこちら!)
今日の発表を最後まで聴いて頂くと、①Firebase Predictionsの仕組み ②実際に使い始めるまでに必要な準備/活用方法 が分かり、あわよくば、明日から使ってみたくなってもらえるかな?笑 と思います!
アプリのグロースについて考えてみる
まずは、そもそも “アプリのグロース”とは何だっけ?”という事を振り返ってみましょう。
アプリプロダクトを成長させていく上で、”ユーザーの継続率”を上げて、長く滞在してもらおうというのはよくある話です。
そして、それとセットで、しっかりとユーザーが定着するまでプロダクトを作り込んでから、DL広告やマスキャンペーンなど、新規獲得の施策を行っていこう!といった内容が語られることが多いです。
しかし、”ユーザーの反応を見ながら、継続率が上がるような魅力的な機能改善を行っていく”アプローチの場合、”既に離脱してしまったユーザーには2度と接触できない”という問題点があります。
願わくば、より良い体験を提供することで、そもそもの離脱を防ぎ、サービスを使い続けてもらいたいのが本音ではないでしょうか。
そのためには、ユーザーの未来の行動を事前に予測し、適切なアクションを実行する、予測型のアプローチが必要になるでしょう。
このアプローチだと、予測を元に実際にアクションを取る事で、離脱自体を防ぐ事ができますし、より精度の高い(= ユーザーが心地良い) コミュニケーションを取る事ができます。
そこで、手軽に予測型のアプローチを取り入れるためのツールとして、Firebase Predictionsが使えますよ!という話が出てきます🕶
Firebase Predictionsって何?
そもそも、Firebase Predictionsとは、どういったプロダクトでしょうか?
まずは公式のサービス紹介動画が、概要を掴むにはピッタリなので、見てみましょう!
ざっくり言うと、アプリユーザーの翌7日間における、任意のアナリティクスイベントの発生確率を予測するモデルを生成し、各Firebaseプロダクトで利用可能な予測結果セグメントを生成する 機能です。
長いですね(笑)
気を取り直して、具体的な施策例で説明します!例えば、Voicyの場合だと離脱しそうと予測されたユーザーをセグメンテーションし、Firebase Cloud Messagingでプッシュ通知を送信する事ができます。
ECサイトの場合ですと、元々購入確率の高そうなユーザーは、リマーケティングの広告リストから除外するという施策が実施できるでしょう。
また、ゲームアプリの場合ですと、課金する見込みの高いユーザーをセグメンテーションし、限定のキャンペーンを実施する事ができます。
このように、Analyticsで得た行動ログを他の製品群でそのまま使用可能にする、いわばセグメント生成器としての役割を、Firebase Predictionsは担っています。
“行動予測を元に、セグメントを作成するプロダクトである”というところがポイントです。
使い始める準備をしよう
概要が分かったところで、実際に使い始めてみましょう!
まずは、予測機能をコンソールからアクティベートしましょう🎉
使用する前提条件は、Firebase Analyticsを既に利用中であること、MAUが5,000以上(Googleが推奨の最低トラフィックボリューム)の2点です。
具体的な開始手順は、公式のドキュメントをご参照ください
セットアップした後、実際に使っていくためには、仕組みをブラックボックスにせず理解する事。仕組みを知った上で、正しく用法と容量を守る事が大事です。
具体的な動作の仕組みや、予測結果の解釈を理解する事で、偉い人を説得できる材料にしましょう!🔥🔥
まず、1つ目に重要なポイントとして、Predictionsは過去28日間のAnalytics行動ログ(及び同時に取得できる端末/地理などの属性データ)を元に、翌7日間のイベント発生確率を予測する。という点があります。
従って、予測したいアクションは、必ずAnalyticsのイベントとして実装されている必要があります。
学習インフラを利用者が用意する必要はなく、Googleの機械学習基盤を使って、ユーザー行動からの学習 → モデル生成 → 予測作成が行われます。それでもって無料。
便利ですね。
続いて、大切なポイント ですが、施策に応じて、最適なリスク許容度を選択する事ができます。
リスク許容度の話に移る前に、まずは、モデルパフォーマンスの測り方について説明します!
例えば、上記の画像をご覧下さい。churnの予測モデル(ユーザーが離脱するかしないか?)において、”離脱したユーザーの75%が正しく特定できており”、”20%以下の誤検出が保証されます”と記載があります。
これは、仮に離脱したユーザーのボリュームが10,000人、離脱しなかったユーザーのバリュームが20,000人だとしたら、その日の学習モデルは、離脱したユーザーの7,500人 を正しく予測できました。更に、実際は起動したリスナー全体の内20%以上(今の例だと4,000人以上)を今後、誤検知する事は無いです。
というメッセージを示しています。
このようにして、”予測ターゲットの内何%を正しく判別できたか?”という尺度で、モデルのパフォーマンスは評価&UI上で表示されています。
モデルパフォーマンスの話が終わったので、リスク許容度の話をしていきます。
機械学習の予測モデル自体が持つ一般的な性質として、”正しい予測(真陽性率)のボリュームを増やそうとすると、誤った予測(偽陽性率)のボリュームも同時に増える”という面があるので、完璧に対象者を捉えて、なおかつ誤検出も防ぐという事はできません。
どこまで誤検知を許容できるか?は施策に応じて変わるのですが、こうしたニーズを反映して、Firebase Predictionsでは、リスク許容度を3段階で設定する事ができます。
例えば、プッシュ通知のキャンペーンに活用する場合、予測を誤って送る必要のないユーザーにも通知が届いてしまっても、大きな問題ではないかと思います。
その場合は、セグメントボリュームを最大にするが、誤検出が多く含まれるリスクがある、リスク許容度高 を選択する戦略が好ましいでしょう。
一方で、購買キャンペーンの告知に活用する場合、予算の都合上、施策無しでも購入してくれそうなユーザーには誤って告知を送りたくない場合もあります。
この場合は、セグメントボリュームは小さくなるが、誤検出が含まれるリスクを最小化する、リスク許容度低 を選択する戦略を取る事で、予算を最小限にしつつ、確実に必要な層に施策を届ける事ができます。
何とか説明しようとしていますが、リスク許容度や、モデルのパフォーマンスの部分は、特に分かりにくい部分なので、ぜひ公式ドキュメントもご参照ください。
その他、実用時に準備しておきたい下準備として、①Firebase AnalyticsにユーザーIDをセットしておく 、②Remote Configを予測単位で設定しておく の2点があります。
①を行う事で、PredictionsのログにユーザーIDがエクスポートされるようになるので、後で行う分析が捗ります。
また、②を行う事で、プロダクト群の中で予測セグメントを活用する操作が楽になります。
②は、正直後からでも良いのですが、①は実装が必要になるので、早めにやっておくと良いでしょう!
これでようやく、Firebase Predictionsを用いて、予測アプローチのグロース施策を行う、下準備ができました。🎉🎉🎉
いざアクション
それでは、実際に施策へと活用していきましょう!
口頭で説明するのも中々厳しいので、ここからは、実際の画面を見ながら、施策をセットアップするデモンストレーションを行います。
このセクションでは画面を使ったデモを実施しているのですが、以下動画の23:42〜頃が該当部分になっています🎥 実際の設定の様子を見てみたい方は、合わせてご覧ください。
まずは、予測結果を施策に生かす部分を話していきます。
Cloud Messagingと組み合わせて、”DLから7日以内かつ離脱が予測されるリスナー”に、”人気の放送を紹介するプッシュ通知”を定期実行する、プッシュ配信キャンペーンを作成してみましょう。
ターゲットとするセグメントとして、Predictionsの結果を使用する事ができます。
続いて、in-APP Messagingと連携して、”フォローをすると予測される優良リスナー”に、”会社イベントの告知バナーを表示する”、プッシュ配信キャンペーンを作成してみましょう。
最後に、より複雑な施策を実施するために、予測セグメントに応じて値が自動で更新される、Remote Configを設定してみます。
条件として、予測の結果を活用できるので、リスク許容度毎に複数設定しておくのが良いでしょう。
最後にまとめ
最後まで聴いて頂きありがとうございました!
まとめると、①予測を手軽にビジネスに含めるならおすすめ!②学習の仕組みと、応用方法を把握すればリスク管理しつつ使える!という事になります。
Voicyでもまだ、検証段階で実際の施策を行っていくのはこれからになるので、同じように活用を考えていらっしゃる、企業/個人様がいたら、ぜひお話お聞かせください!
本日はありがとうございました!
最後に
それなりのボリュームになってしまいましたが、Predictionsの紹介をさせて頂きました。
Firebase / Clean Architectureなど、モダンなツールも活用しながら、プロダクト開発を進めているVoicyですが、エンジニア(特にフロントエンド!) / PM / デザイナー など、全方位絶賛仲間募集中です!
今この記事を読んでいるあなたと、オフィスでお会いできるのを楽しみにしています!😁😁😁