個々の問題とメタな問題

Yoshihito Kuranuki
3 min readFeb 17, 2017

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仕事をしていると、色々な問題が起きる。

私の仕事である経営などは、毎日を違うことをするし、新しい問題が次々と出てくる。

問題がなくなることはなくて、もし無さそうに思えたら、それは経営の怠慢だろう。何が問題かを見つけることも経営の仕事だ。

これから起きそうな問題を先回りして解決していけば、会社は安定しやすい。安定したいかどうかも経営者の資質次第だが。

ただ、これは私が経営者だから経営の話をしているだけで、問題とその対処については、経営に限った話ではないだろう。

そうした日々起こる問題に対して、どのように取り組むか。

ひとつひとつ解決していくしかない。もちろん、優先順位を考えないと、うまくいかない。かかる労力が少なく、効果の大きいものから取り掛かる。

個々の問題は、それぞれの文脈に依存する。どの問題も同じことはない。

特に経営なら、だいたいの問題が人の問題になる。まあこれも経営に限らないだろう。

人の問題は、正解が無い。その人に合わせて対処するしかない。しかも、数字とロジックだけで解決しない。心を無視する訳にはいかない。

心はソフトウェアだ。しかも、ソースコードなど見えないし、日々変化していく。なかなか手強い。

だから、個々の問題は、慎重に、しっかり考えて取り掛かる必要がある。

個々の問題は、個別に対応しなければいけないとはいえ、似たようなシチュエーションを何度も対応するのでは進歩がない。

起きてしまった問題は、個別に対応するしかないが、その前の再発防止は、ある程度の共通的な対応ができることがある。

個々に起きてしまった問題を、その問題そのものの解決や解消を考えつつも、似たような問題が起きないようにするにはどうすれば良いか、同時に考える。

問題そのものの構造を見るのだ。それをメタの視点という。メタ、即ち一つ上の次元で考えるのだ。

メタ視点で問題を捉えると、その問題のそもそもについて考えることになるし、抽象化して、構造化して考えることになる。

システム開発の世界で言えば、「モデリング」と呼ばれる行為に近い。

個々の問題を一つだけ取り出して、抽象化するのは難しい。だけど、2回目3回目になると、抽象化できる。

そうしていくことで、共通する問題に対する仕組みを作ることができる。この仕組みは、一度作って終わりではない。

再発防止できなかった問題が出てくれば、改善を繰り返していく。仕組みが強化されていく。経営でいえば、いずれそれが会社の制度やビジネスモデルになるのだろう。

メタな視点は、常に忘れないように。どんな問題も、喉元を過ぎれば、忘れてしまう。その瞬間に、目の前の問題に取り掛かりながら、メタな問題も解決するのだ。

目の前の問題でいっぱいいっぱいになるのもわかる。それでも、メタな視点を持つことで、繰り返すことが少なくなる。

痛い思いは貴重な経験だ。その経験の価値を、より高めるのがメタな視点だ。

メタな視点で学んだことは、抽象的になりやすい。抽象化するから、他に応用できるからだ。本人だけなら、それで良い。

ただし、誰かに伝えるなら、もし相手が想像力の足りない相手なら、具体的な例も合わせて伝えないと、伝わらない。

そんなこともわかっているけど、この話の具体的な話を書くのは骨が折れる話だから、メタな話のまま、筆を置こうと思う。

この話は、メタな視点を持とうという、メタな話だった訳だ。

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Yoshihito Kuranuki

ソニックガーデンという会社を経営しています。「心はプログラマ、仕事は経営者」の精神で、プログラマという仕事を誇れるものにすることがミッション。 ブログ http://kuranuki.sonicgarden.jp ※2019年1月に新刊「管理ゼロで成果はあがる」でました。→ https://goo.gl/reZez1