仕事を遊びにしてしまうアイデア

Yoshihito Kuranuki
5 min readSep 25, 2018

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今、とある研修というかセミナーというか、月に一度を数ヶ月に渡って開催される講座に参加している。

個人的には仕事関係で、あまり研修を受けたりするのは好きではなかったのだが、経営者としての次の成長を考えることを今年のテーマにしていたことと、色々な縁もあって一念発起して参加することにした。

講座といっても座学はなくて、参加者のみなさんと一緒に用意されたアクティビティをこなして、そこから得た気付きや感情をシェアしながら仕事に活かすことができないか考えるというスタイルだ。

そのアクティビティは、身体と頭を使いつつ、参加している仲間たちと協力しあってクリアするゲームのようなもので、絶妙に難しい。そして、講座では目的はさておき、まずルールだけ伝えられて取り組むことになる。

性格上、なんのためにするのかわからずに何かに取り組むのは苦手なのだけれど、せっかく参加したからにはと思って一生懸命に取り組んでいる。そうして取り組んでいるとゲームみたいなものだから楽しくなってくるし、仲間とも連帯感を感じるし、クリアできると達成感もある。

アクティビティごとに終わったあとに、これが仕事だったらどうだろう?ということを考えるので、もちろん仕事で役立つ気付きやチームをマネジメントする上で大事なことも知れるのだが、それでも最初の頃はまだしっくりきていなかった。

それが、講座全体の半分を超えたあたりで気づいたことがあった。アクティビティでの気付きを仕事に応用するのではなく、仕事そのものをアクティビティやゲームにしてしまえば良いのではないか、ということだ。

仕事だって、ルールや制約がある中で、仲間と一緒に頭を使って問題解決をしたり、時間内に価値ある成果物を作り出したりしている。抽象的に見直してみれば、仕事もアクティビティも同じものなのだ。

だったら、アクティビティを仕事に応用するという発想を超えて、仕事そのもの自体をアクティビティにすることができるはずだ。そうなったら、仕事そのものが楽しくなってくるのではないだろうか。

よく考えれば、私たちが仕事にしているプログラミングなんて、お客さんからうまく要望を引き出せるか、良い設計ができるか、どれだけエレガントなソースコードが書けるのか、そもそもゲームみたいなものだったし、その楽しさのまま仕事にすることが大事だと考えていた。

プログラミング以外の仕事だって、アクティビティやゲームにできるんだという気付きこそが、目から鱗が落ちた気分だった。そして、このメタな視点で会社の仕組みを作っていくことができれば、どんな職種や業種によらずに仕事を楽しむことが再現できるということではないか。

私たちソニックガーデンという会社には「遊ぶように働く」という働きかたの哲学がある。自分たちは一生懸命に働いていても、外からみて遊んでいるのか働いているのかわからないように働けるなら最高だと思っている。

そのために、好きで得意なことを仕事にできる人たちを集めたり、セルフマネジメントを身につけて管理をなくしたりしてきた。

私たちの目指す「遊ぶように働く」をさらに推し進めることができるのが、ここで気付いた仕事そのものをゲーム(アクティビティ)にしてしまうアイデアだ。

このアイデアが実現できれば、個々人が遊ぶよう働くだけでなく、チームとしても遊ぶように働くことができる。アクティビティをクリアしようと頑張れば、それが結果としてチームビルディングになるのだ。

「チームを作ろう」なんて掛け声だけでうまくいくとは思えない。ただ仕事をアクティビティにして、その仕事を一緒になって一生懸命に取り組めば良かったのだ。仕事を頑張ることなら、みんなできるはずだ。

やるべきことは、仕事の「遊び方」を決めることだ。それこそが「仕事をデザインする」ということにほかならない。

アクティビティには「遊び方(ルール)」があるし、良いアクティビティにするにはいくつかの条件やコツがある。難しすぎず簡単すぎないことや、チーム全員が何らかの役割を担うようにすることなどだ。

仕事をアクティビティにしようと思うなら、その遊び方を考えるノウハウを知って、心得ておくべきだろう。

こうして私にとって、この講座を受ける意義、講座内のアクティビティに取り組む意義がハッキリした。それは良いアクティビティを作るための知見を身につけることだ。それは良い仕事をデザインする力になる。

講座の後半に向けて、それまで少し憂鬱だった気持ちが晴れた。なんだったら講座は、アクティビティのノウハウを身につけるアクティビティだと思えば良いのだ。

仕事でもなんでもゲームやアクティビティだと思えば楽しくなる。要は気の持ちようということだが、気の持ちようだけで変わるなら安いものだ。

“person taking photo of person doing teamwork” by rawpixel on Unsplash

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Yoshihito Kuranuki

ソニックガーデンという会社を経営しています。「心はプログラマ、仕事は経営者」の精神で、プログラマという仕事を誇れるものにすることがミッション。 ブログ http://kuranuki.sonicgarden.jp ※2019年1月に新刊「管理ゼロで成果はあがる」でました。→ https://goo.gl/reZez1