がっかりされる話。「手っ取り早い成功の秘訣」か「時間のかかる地道な努力」か

Yoshihito Kuranuki
2 min readJul 15, 2015

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講演などすると、質疑応答や懇親会で聞かれるのが「最初どうやったのか?」「最初からそんなことができたのか?」ということで、それに真摯に答えると、わりとがっかりされてしまうという話。

私たちには営業がいなくて、100%お問い合わせで始まるインバウンドマーケティングをしているという話をすれば、「最初はどうしたんですか?」「最初からお問い合わせでお客様はこないですよね?」と。

確かに、いきなり今のスタイルでビジネスができた訳ではなくて、それまでの歴史があって今がある。さて「最初」とはいったい、どこまで遡って話すべきか、と思いつつ、それまでの歴史を説明をする。

たとえば、私が「アジャイル開発」の文脈で、これまでずっと色々な活動やブログ、講演などをしてきて、10年以上の時間をかけて多くの方に知って頂く機会をもって、その上で、起業したのでその時点で、既にけっこうな方に注目して頂けたというのが大きいはず。

そう話すと、がっかりされる。なんとなく申し訳ない気持ちになるけど、手っ取り早く成功する秘訣なんてなくて、10年以上も地道に続けてきた結果でしかなくて、今からでも始めて地道に続けていかなければ、今後も急に何かが変わるなんてことはないでしょう。

また、コンサルティングもできてプログラミングもできる人材だけを揃えているという話をしたら「優秀な社員の方ばかりが集まっていいですね」「どうやって、最初にそんな人材を集めたんですか?」と。

これも、手っ取り早く実現する秘訣があった訳ではない。今の取締役までしてくれているメンバーは、前職時代に全員が社会人1年目のときに、”たまたま”私のチームに配属になっただけだ。そんな彼らを10年単位で育てたからこそ、頼れる仲間になってくれたのだ。

それも、がっかりされる。そりゃそうですね、簡単じゃないですね、時間かかるんですね、と。「手っ取り早い成功の秘訣」を求めてるところに、「時間のかかる地道な努力」の話をするので、がっかりしてしまう。でも、世の中、そんな簡単な話ってないのよね。

そうか、世の中の詐欺っぽい情報商材って「手っ取り早い成功の秘訣」がお金で買えると勘違いさせて売るんだろうね。

10年後のための「時間のかかる地道な努力」を今からやっていこう。

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Yoshihito Kuranuki

ソニックガーデンという会社を経営しています。「心はプログラマ、仕事は経営者」の精神で、プログラマという仕事を誇れるものにすることがミッション。 ブログ http://kuranuki.sonicgarden.jp ※2019年1月に新刊「管理ゼロで成果はあがる」でました。→ https://goo.gl/reZez1