iPhone X ファーストインプレッション

halu(はる)
17 min readNov 15, 2017

--

無事、発売日である11月3日に購入できたiPhone X(書き忘れていましたが、購入したのはスペースグレイ256GBのSIMフリー版です。)を2週間ほど使いましたので、私なりのファーストインプレッションをお届けします。

本体デザイン・UIの変更

iPhone Xの最大の特徴は、10年前に発売された初代iPhoneから搭載されてきたホームボタンを廃止してほぼ全面に広がった狭額縁ディスプレイを採用したことと、これに伴ってホームボタン周りのUI(User Interface)を大幅に変更したことでしょう。
これまでiPhoneを使ってきた人にとって最も気になるのは、UIの変更によりiPhone Xは使いにくい、やっぱりホームボタンをなくすべきではなかったと感じるのでは?という点ではないでしょうか。
詳細については後述するとして、結論からいうと、ホームボタンがないUIには最初はちょっと戸惑いましたが、30分もあればすっかり慣れてしまいました。
そして、iPhone Xを1週間ほど使うと、もうこれまでのホームボタンのあるiPhoneの操作に違和感を感じてしまうようになりました。さらには、1月ちょっと前に発売されたばかりのiPhone 8・8 Plusを店頭で触ってみても、またつい2週間ほど前まで使い込んでいたiPhone 7 Plusを改めて使ってみても、なんだか一昔前のスマホを触っているようにさえ感じてしまいます(やや誇張(汗))。

一方、本体の大きさですが、私がこれまで使っていたiPhone 7 Plusに比べると一回り小さくなり、ほんの少し軽くなりました(但し、厚さは0.4mm増加)。

私は男性としては手が小さい方なのですが、”Plus”が発売されたiPhone 6 Plus以来、iPhone 6s Plus、iPhone 7 Plusと、3代続けて大きい方を使ってきました。確かに、”Plusではない方”が手にはフィットするのですが、大きなディスプレイの方が迫力がありますし、表示される情報量も多くなります。また、これまでカメラ性能もPlusの方が上だったため、「”非Plus”はありえない」とまで思っていました。

しかし、iPhone Xを使って見ると・・・やっぱりコンパクトなのはいいですね(^^;。
しばらくiPhone Xを使った後にiPhone 7 Plusを持つと、なんだか無駄に大きいとさえ思うようになったりしました(汗)。

というわけで、もうすっかりiPhone Xにハマっています(笑)。

iPhone Xのディスプレイ面。オフにした状態だとほぼ真っ黒ですが、上部の「切り欠き」部分の色が若干違います。
iPhone X(スペースグレイ)の裏面。iPhone 7・7 Plusには「総務省指定」の文字が刻印されていましたが、iPhone Xではなくなりました。

ホームボタンの廃止とFace ID(顔認証)の採用

ホームボタンが廃止されたことにより、これまでホームボタンに割り当てられていた機能が別のUIに変更されましたが、iPhoneユーザーが最も頻繁に使いUIの変更が与える影響が大きいものは、iPhoneのロック解除ではないでしょうか。
2013年に発売されたiPhone 5s以降、ホームボタンを指で押すと同時にTouch ID(指紋認証)が機能し、ユーザー本人であることを自動的に確認してiPhoneのロックが解除されました。また、2015年に発売されたiPhone 6s・6s Plus以降については、iPhoneを持ち上げてディスプレイを自分の方向に傾けつつ指をホームボタン上に乗せれば、ホームボタンを押さなくてもTouch IDが機能してロックが解除されるようにもなりました。

すなわち、iPhone 5s以降これまでのiPhoneでは、カバンやポケットにしまっているiPhoneを取り出してディスプレイを自分の顔に向けるという一連のプロセスの中でTouch IDによりロックが解除され、ディスプレイを顔に向けた時点では既にホーム画面が表示されて操作可能な状態になっていたというわけです。

ところが、iPhone Xでは、ロック解除の操作が、ホームボタンを押す代わりにディスプレイの下端から上方向に指でスワイプするという動作に変更されました。
また、iPhone Xでも傾きセンサーにより本体を持ち上げる動作をすればディスプレイが点灯しますが、それだけでロックが解除されるわけではなく、必ず指で下から上へスワイプしなければなりません。
さらに、Touch IDがFace ID(顔認証)に変更されたことにより、これまではディスプレイを見なくてもロックを解除することができましたが、iPhone Xでは、必ずディスプレイに顔を向けなければならなくなってしまいました。

すなわち、iPhone Xでは、ディスプレイを顔に向けた時点で既にロックが解除されているということがなくなったというわけです。実際にiPhone Xを手にするまでは、このUIの変化によりロック解除のタイミングが遅くなり、その結果、ストレスを感じるのではないかと思っていました。

しかし、まずボタンを押す(あるいはボタンの上に指を置く)という動作とスワイプするという動作は、頭で考えるとそれなりに「負担の差」があるように思われますが、実際にiPhone Xを使ってみると、ほとんど気にならないレベルの差でしかありませんでした。
また、ロック解除する前提として必ずディスプレイに顔を向けなければならないという点についても、結局はディスプレイに顔を向けることになるわけですから、特に負担に感じるものではありません。
そして、ロック解除のタイミングが遅くなるという点については、確かに、Touch IDに比べるとロック解除までに「時間がかかる」ということにはなります。しかし、Face IDによる顔認識はかなり高性能かつかなり高速なので、「時間がかかる」といっても、感覚的には「誤差の範囲内」でしかなく、決してイライラさせられるようなレベルのものではありません。

なので、しばらくiPhone Xを使っていれば、すぐにこのロック解除プロセスに慣れてしまい、全く違和感を感じない状態になってしまいました。

但し、Face IDによる顔認証の失敗(すなわち、ロック解除プロセスのやり直し)の頻度は、やはりTouch IDよりも若干多くなってしまいます。iPhone Xを数日使えば、どのような場合に顔認証に失敗しやすいか感覚的にわかるようになるので、すぐに慣れてしまう(というより「慣らされてしまう」?)と思いますが、人によってはこの点にストレスを感じるかもしれませんね。

Face IDの精度

iPhone Xの顔認証はかなり高性能かつ高速なので、認証がスムーズにできた場合については、Touch IDに比べてストレスに感じるということはありません。しかし、若干の「癖」があり、指を置くだけのTouch IDに比べると認証に失敗する頻度は少し高めです。
そこで、よりスムーズに、できるだけ認証の失敗を減らすためには、その「癖」を身につける必要があります。

ただ「身につける必要がある」といっても、特別にトレーニングしたりする必要はなく、普通にiPhone Xを使っていれば自然と身につくものだと思います。

ちなみに、私が2週間ほど使って気づいたFace IDの「癖」を列挙してみると・・・

  1. ディスプレイの真正面を向く必要はないが、斜めからは認証してくれない
    例えば、テーブルの上にiPhone Xを置き椅子に座った状態でディスプレイを斜めから見ても、認証してくれません。
  2. iPhone Xをある程度回転させても認証してくれるが、真横や上下反対方向からは認証してくれない
    例えば、寝転んで顔を横に向けた(頰を床につけた)状態で認識させるためには、iPhone Xを同じく横向きにしなければなりません。
  3. iPhone Xと顔との間にある程度距離があっても認証してくれる
    腕をまっすく伸ばした状態でも問題なく認証してくれます。
  4. 眼鏡をかけても外しても認証してくれる
    私は普段眼鏡を着用しているので、Face ID登録時は眼鏡をかけた状態で登録したのですが、眼鏡を外していても問題なく認証してくれます。
  5. 寝起きの布団の中だと認証に失敗しやすい
    寝起きは顔がむくんでいるためなのか、寝ぼけた顔になっているためなのか、目がちゃんと開いていないためなのかわかりませんが、朝起きた直後、枕元に置いたiPhone Xを布団に入ったままにロック解除しようとしても、認証に失敗することが多いです(汗)。
  6. 歯磨きしながらだと認証してくれない
    口に歯ブラシをくわえた状態だと、ほぼ認証してくれません。
  7. 片眼をつむった状態でも認証してくれるが両目をつむると認証しない
    認証させるためには必ず目を開けておく必要がありますが、両目を開ける必要はありません。
    なお、この機能は設定でオフにすることも可能です。オフにするとディスプレイを注視しなくても認証してくれるようになります。

但しApple Payでは若干面倒?

このように、ホームボタンを廃止してFace IDを採用したことによるiPhoneの使い勝手に与える影響はかなり小さく、iPhone Xにすっかり慣れた後にTouch IDのiPhone 7 Plusを使ったりすると、反対にTouch IDがちょっと面倒にすら思えてきます(^^;。

ただ、2週間ほど使った時点で、Touch IDに比べてFace IDのほうがやや面倒だと思う場面が1つあります。それは、Apple Payを利用する場合です。

私は、日本でApple Payを利用できるようになって以来、コンビニ、飲食店、ガソリンスタンド、自動販売機等々、ほぼ毎日といってもいいくらいApple Payを利用しています。
これまで、iPhoneでApple Payを利用する場合、指をホームボタンの上に乗せつつiPhoneを決済端末にかざすだけでOKでした。
ところが、iPhone Xでは、本体右側面のサイドボタンをダブルクリックした上でディスプレイを注視してFace IDでの認証をクリアした後にiPhone Xを決済端末にかざすという手順が必要となります。

右側のサイドボタンをダブルクリックすると・・・
Face IDの認証待機状態になり・・・
認証に成功してこの状態になってから決済端末にかざします。

このように手順を説明するとかなり面倒臭いようにも思えますが、実際にやってみるとそれほどストレスを感じさせるものではありません。Apple Payを利用する場合のFace IDによる顔認証も、ロック解除の場合と同様にかなりスムーズに動作してくれます。
しかし、サイドボタンをダブルクリックするという動作はホームボタンに指を置くだけのTouch IDに比べるとやはり面倒です。Touch IDの場合は、iPhoneを決済端末にかざしつつ指をホームボタンに乗せるだけなのでiPhoneを片手で軽く持つだけでよかったのですが、iPhone Xでは、サイドボタンをダブルクリックするためにそれなりにしっかりと本体をホールドしないといけないんですよね。

iPhone Xを使い始めて2週間ほど経ちましたが、未だに、Apple Payを使う場面だけはiPhone 7 Plusの方がスムーズだと思ってしまいます。

アプリをApp Storeからダウンロードする際も、右サイドボタンをダブルクリックしなければなりません。

狭額縁の有機ELディスプレイ(Super Retina ディスプレイ)

ホームボタンの廃止と並ぶiPhone Xの外見上の大きな特徴は、やはり本体全体に広がった狭額縁ディスプレイでしょう。
これまでのiPhoneは、上部と下部に帯のような「非ディスプレイ」部分がありましたがiPhone Xではこれがなくなり、上部の「切り欠き(ノッチ)」部分(正式名称は「センサーハウジング」と呼ぶようです。)以外、ディスプレイが全面に広がっています。

全面に広がるディスプレイに最初のうちは違和感を感じるかもしれませんが、すぐに慣れてしまいます。
背景が白いものを表示させると、「切り欠き」部分が結構目立ちます。

まず、このセンサーハウジングの部分については好き嫌いが分かれるところでしょうね。ネットでの様々な評価を見ても、デザイン的にかなり否定的にとらえる人もいれば、全然気にならないという人まで、様々です。

私としてはどうかというと・・・「できれば、切り欠きはない方がいいけど、まぁあってもそれほど気にならないかな。」という感じでしょうか。

一方、狭額縁ディスプレイについて、Appleのホームページでは「全てがスクリーン」と表現されていますが、実際にiPhone Xを手にしてみると、想像していたほどには「狭額縁」ではないように感じました。

iPhone Xのディスプレイ上部。
iPhone 7 Plusのディスプレイ上部。
iPhone Xのディスプレイ下部。下部中央に黒のラインはソフトウェア的に表示されているもので、この付近を下から上にスワイプすることでホーム画面に戻ることができます。
iPhone 7 Plusのディスプレイ下部。見慣れたはずのホームボタンの存在が、今では違和感を感じさせるものとなっています。

このようにiPhone 7 Plusと比べるとかなり「狭額縁」ではありますが、「額縁」の存在感はそれなりにあります。

一方、iPhoneとしては初めて搭載された有機ELディスプレイは発色が良くとても美しいです。AppleはiPhone Xのディスプレイを”Super Retina ディスプレイ”と名付け、これまでのiPhoneのRetinaディスプレイとはレベルが違うことを強調していますし、実際にスペック上はかなり違うようです。

ただ・・・これまで使っていたiPhone 7 Plusも十分に綺麗なディスプレイでした。

確かに、同じ写真を表示させた状態でiPhone XとiPhone 7 Plusを横に並べて見比べると違いがわかります。しかし、その違いは、私の目では「よく見るとiPhone Xの方が発色がいいかな。」という程度であり、iPhone Xをしばらく使った上でiPhone 7 Plusのディスプレイを見ても、特に見劣りするようには思えません。

そして、iPhone Xの狭額縁・切り欠き付きディスプレイの形にきちんと表示するためには、アプリごとにiPhone Xに対応する必要があります。アップル純正アプリはもちろん対応していますが、その他のアプリについてはまだ未対応のものも多いですね。

iPhone標準ブラウザのSafariは、当然、iPhone Xのディスプレイに対応しています。
この記事の執筆時点(2017年11月15日)では、物書堂の模範六法2017年版アプリはまだ対応していません。
GoogleのChromeはiPhone Xのディスプレイに対応していますが・・・。
同じGoogleのアプリでも、Google Mapsはこのブログ執筆時点では対応していません。

動作速度

Appleによると、私がこれまで使っていたiPhone 7 PlusのCPU”A10 Fusion”に比べ、iPhone XのCPU”A11 Bionic”は最大70%高速とのことです。
ただ、私はCPUの処理速度が要求されるハードなゲームや精緻なグラフィックを使ったアプリなどはほとんど使いません。スケジュール管理、メール、WEB閲覧、PDF閲覧、各種SNS、写真撮影、動画撮影といった用途であれば、iPhone 7 Plusと比べて劇的に速くなったとは感じられないですね。

したがって、私の使い方ではiPhone 7 Plusでも十分快適です。

では、iPhone Xは「買い」か?

まず、これまでAndroid携帯を使っていたものの、iPhone Xの発売を機にiPhoneに乗り換えようと思っている方は、iPhone 8や8 PlusではなくiPhone Xにすべきだと思います。今後発売されるiPhoneがどのようなデザインになっていくかはわかりませんが、おそらく、このホームボタンのないiPhoneが「標準タイプ」となり、iOSもホームボタンがないことを前提として進化していくものと思われます。

したがって、あえて「一昔前のスマホに見える」(あくまで個人の感想です(汗)。)iPhone 8、8 Plusにする必要はないでしょう。

次に、これまでiPhoneを使ってきた方がここでiPhone Xに乗り換えるべきかというと・・・これはなかなか難しいところです。

私のように「新しもの好き」で、いち早く最新のiPhone、最新のUI(User Interface)やUX(User Experience)を体験したいということであれば、当たり前ですがiPhone Xに買い換えるべきです。
また、2014年に発売されたiPhone 6・6 Plusやそれ以前の機種を使っている方も、日常の使用で困ることはそれほどないかもしれませんが、iPhone Xにすれば、動作はおそらく劇的に速くなるでしょうし、バッテリーの持ちもかなり良くなると思います。

一方、iPhone 6s・6s Plusや7・7 Plusを使っていて「新しもの好き」ではない方は・・・これらの機種はまだまだ現役で使えますし、日常の使用で困ることは全くないと思います。iPhone Xの最新のUI、UXといっても、普段使っているアプリの使用感が大きく変わるわけではありません。しばらくiPhone Xを使うと7・7 Plusが「一昔前のスマホに見える」といっても、実際のところ、iPhone Xが「今までのiPhoneとは全く違う感動を与えてくれる」というわけでは決してありません。

したがって、あえてiPhone Xに買い換える必要はないかもしれませんね・・・。

というわけで、以上、iPhone Xのファーストインプレッションでした。

Originally published at Mac弁@lawyerhaluのブログ.

--

--

halu(はる)

大阪の弁護士です。弁護士業務でのMac、iPhone、iPad、そしてApple Watchの活用を模索中。