プロダクト・クラウドセール(PCS)について

この文書では、消費者保護の観点からイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を改良し、社会・行政からの要請に対応するコンセプト提案を行います。

現在、国内において仮想通貨に対する強い規制がかけられています。賛否両論の議論がされておりますが、ブロックチェーンを社会インフラ・システムとして世に出す前の、行政からの要請と考えて間違いないでしょう。

この要請は、数多くの事業を停止させるほど非常に強いものでしたが、その時期と内容には一定の合理性が認められます。事実、個の力を強くするはずのブロックチェーンのコンセプトが現実とかけ離れ始めたことは、取引所で起きる様々な問題と、SNSで起こる個人を標的とした技術的・経済的合理性を無視したプロジェクトへの巻き込みなどの事態で明白になったからです。

規制という形で現れた要請に対し、業務の停止や開発の中止をして様子をみるというポジションを取られる方も多く見受けられます。しかし、これらの要請は中止することを求めているのではなく、対応しコンセプトを改良することを求めているのです。

ここに非代替トークンと仮想通貨の交換によるプロダクト提供の仕組みとその実装を提案致します。(7月15日現在でドラフト版となっています。)
プロダクト・クラウドセール White Paper

順を追って説明致します。

まず、HTTPSのような暗号学を用いたプロトコル実装は、インターネットにおける利用者の保護・秘匿のために発達してきました。その発展のスピードが、利用増加のスピードに追いつかなくなったため、下図のような状況において消費者保護の欠点を生みます。

しかしながら、インターネットに欠けていた「ノード同士の約束」というピースが分散プロトコルであるブロックチェーンによって補われ、これらの問題解決の道筋が示されました。これが分散プロトコル開発者の文脈です。

ブロックチェーンの開発には、サイファーパンク宣言にも示されていた消費者保護の精神が指向されていました。当然、ERC20トークンを中心に行われたICOもこれらの恩恵を受けて、自由な資金調達を行っています。

この本来のインターネットの課題であった消費者保護に、より焦点をあて、暗号の特性を利用したソリューションが、プロダクト・クラウドセール(PCS)です。
これは、プロダクト・ウェブサイト利用と使用料支払い・資金調達において消費者を保護するためのソリューションです。

#非代替トークンとPCS

EthereumやICOトークンがお金や口座残高だとすると、非代替トークンはゴルフ場の会員券のようなものです。区分がはっきりしていて所有者とその他の固有データが記されています。

PCSのトークン(下図の「P」)は会員証の役割を果たします。これが1つあれば、対応するプロダクトの内容すべてを利用することができる仕組みです。

PCSの特性として以下のことが挙げられます。
①サイト・セキュリティへの信頼必要性が少なく、安全

②商品・権利に流動性があり、経済的損失を受けにくい

③秘密鍵の紛失に対し、暗号学的な対策がされている

④ICOのような複雑な循環がなく、価格の算出が容易

⑤仮想通貨ではなく、法的問題が少ない

詳しい説明・仕様はホワイトペーパーに記しました。ここでは、概要を一つずつ説明しましょう。

①サイト・セキュリティへの信頼必要性が少なく、安全

これは前述のウェブの暗号的な消費者保護です。
ウェブサイトでのパスワード入力の使い回しやクレジットカードの入力は、1つでも悪意・脆弱性のあるウェブサイトに行ってしまえば、大きな被害を産みます。これはブロックチェーンノードがそれぞれ所有する公開鍵暗号とブラウザ・ウォレットを用いてより安全な方法に代替することができます。

②商品・権利に流動性があり、経済的損失を受けにくい

Twitterで使うようなアカウント、プログラマーの使うAPI-Key、MSオフィスを使う時入力するシリアルナンバー、これらの多くは売ることができません。つまり、買った後に使わなくなればその分だけ経済的損失を受けることとなります。これらを中古品のように売却できることで、消費者は損失を避けることができます。
非代替トークン化により、それは簡単に行うことができるようになります。

③秘密鍵の紛失に対し、暗号学的な対策がされている

ブロックチェーン・プロダクトの利用に必須な秘密鍵管理ですが、最悪のケースに至りにくいように設計されています。
仮想通貨と異なり、トークンを移動させなくてもプロダクトを使用できる性質があるため、これを利用したOR-MultiSigという仕組みを使いリスクヘッジを行うことができます。

④ICOのような複雑な循環がなく、価格の算出が容易

(1)スマートコントラクトによるICOは画期的なコンセプトで、強力な資金調達能力をプロダクト提供側にもたらしました。
(2)しかしながら、その通貨であるというトークン定義は、循環システムを定義する必要性を産み、プロダクト定義とホワイトペーパーは数式が多い複雑なものとなり、価格・価値を分かりづらくしました。

この2つの性質により、ホワイトペーパーが無意味で読む価値がないという言説が拡散され、その資金調達能力に引き寄せられた有象無象のプロジェクトと本当に良いプロジェクトの区別は溶解する事態となりました。

PCSではプロダクトそのものがトークン化されるので、プロダクト内のトークン循環は存在せず、トークンの価値はプロダクトの価値と同等です。あなたがこの商品ならいくらで買いたいか考えれば、簡単に価値の予想ができるでしょう。

また、プロダクト使用時にトークン移動の必要がないという性質は、仮想通貨として頻繁につかわれるERC20規格がトークンとEtherの2つを送金しなければプロダクトを使えないことと対照的であり、Ethereumと消費者両者への負担が少ないソリューションであることと直結します。

⑤法的問題が少ない

この規格は仮想通貨と明らかに異なるものですので、仮想通貨交換業に関する法的措置、またその利用に関する法的措置を受けません。
(7月15日現在 リーガル・オピニオンを専門弁護士に依頼しております。少々お時間を頂きます。)
(2018年10月において、国内法において資金決済法による制約を受けないことが分かりました。詳しくはリーガル・オピニオンをお渡しできるので、ご連絡下さい。)

これは仮想通貨でモノを買うという一般的でシンプルな形態に戻すことによるアドバンテージであり、トークンエコノミーと現実社会との摺り合わせとして必要なプロセスだと考えられます。

#トークンエコノミーを進めるために

本来であれば、Etherと交換でデジタルデータが手に入るクラウドセールという仕組み自体が画期的であり、この対象をERC20トークンなどの仮想通貨に限定する必要はありません。
ICOは最初に現れたクラウドセールの形態であり、改良して次の形態に移ることは自然な流れであると思えます。

Ethereumはスマートコントラクトの実行を行うものです。多くのプロダクト・プロジェクトでは、コントラクトを作成してプロダクトの利用ごとにEtherをもらうことができるので、特にプロダクトごとにエコノミーを作り、独自のトークンを受け取ることは必須ではないのです。

個人的に様々な素晴らしいICOプロジェクトを応援しています。

一方、彼らほど技術力や循環経済の知識がないチームが、難解なホワイトペーパーを書くような無理をしないで、プロダクトを簡単に売ることができる仕組みがどうしても必要だと考えています。

これらの議論は下のリンク先のSlackで行う予定です。だれでも参加可能ですので是非。
PCSに関する議論・じおまーりんコミュニティ