住宅の耐用年数について

住宅の「耐用年数」と、買い方について考えています。

耐用年数というのは住宅の価格査定に使われる指標で、「耐用年数に達した住宅の価格はほぼ0になる」というものです。

日本の普通の木造住宅の「耐用年数」が何年かご存知でしょうか。

つい数年前までは25年とされていましたが、現在は30年ということになっているようです。つまり、普通の木造住宅は築30年で市場価値がほぼ0になります。

欧米では住宅の耐用年数はもっとずっと長いのですが。

普通の木造住宅を、住宅ローンを使って建てる、というのは最もありふれたケースです。しかし…

住宅ローンの借入期間は35年というのが一般的なので、そのままだと「ローンを払い終えるよりも早く、建物の市場価値がほぼ0になる」ということになります。築31〜35年目は、「値のつかないものにお金を払い続ける」という状態です。

仮に繰り上げてローンを早く完済しても、子供が巣立つころには家の価値はゼロ、資産として遺せるのは土地だけ、ということになります。

もちろん、資産として0であっても自分たちが住み続ける分には家賃がかからないので、賃貸よりは安心でしょうけど、それでも、「35年ものローンで、普通の木造住宅を手に入れる」という選択は、あまり良いとは思えません。

僕が良いと思うのは、前の投稿にも関連しますが、市場価値のない古家を安く手に入れリノベーションをする方法です。

「普通の木造住宅は30年で市場価値がなくなる」と書きましたが、耐用年数が長い木造住宅もあります。長期優良住宅や劣化対策等級3、同等級2の木造住宅は、それぞれ耐用年数が100年、75年、50年とされています。

こうした「耐用年数の長い木造住宅」へとリノベーションすることで、住宅の市場価値は大幅に回復します。

たとえば、タダで買った築30年の家を長期優良住宅にリノベーションするとどうなるか。

耐用年数は100年となり、まだ70年分の価値が残っていると査定されます。

その家が40坪で、標準坪単価が55万円/坪だったら、40×55×70/100=1540万の査定が付く計算になります。40坪の家は1000万もかければ相当なリノベーションができますが、査定はそれを上回ることになります。

さらに、リノベから30年暮らしたのちであっても、まだ40年分の価値=880万の査定がつく計算になります。(30年後に標準坪単価が上下していれば、同様に上下)

なお当然ですが、長期優良住宅は普通の木造住宅より性能が良いので居心地が良く、少ない光熱費で快適な住環境を確保できます。

タダ同然の古家を手に入れ、長期優良住宅にリノベーションしても、同じものを新築するコストには及びません。

木造住宅の建築コストの約3割は躯体に割かれており、リノベであればその費用はかからないからです。

従ってイニシャルコストをかなり抑えることができ、ローンの返済期間も短くできます。場合によってはキャッシュで払ってしまうことも可能と思います。

ただし、古家の中には、躯体がシロアリや腐朽の被害を受けているようなものもあります。

躯体が被害を受けている住宅は地震時に十分な耐震性能を発揮できず、補修の想定費用が大きくなる分、査定が下がります。

リノベーションをする前に建物の調査をすることで、こうした躯体の被害がないかチェックすることができます。

この調査は「インスペクション」と呼ばれ、指定の講習を受けた建築士等の専門家が行います。

ちなみに、インスペクションにより建物の性能を明らかにすることで、耐用年数は2倍の査定になります。

つまり、普通の木造住宅でも、インスペクションすれば耐用年数は60年になります。築30年の家でも、インスペクションすればタダではなく、同様の家を新築するコストの半値の査定はつく、ということです。(もちろん、インスペクションの結果、躯体に被害がある場合は査定が下がります)

住宅ストックの良質化は国が掲げる目標でもあり、中古住宅の性能向上リフォームにはいろいろな特典がつきます。ざっくり言って、

・長期優良住宅化にかかる工事費の最大1/3までの補助金
・各自治体の耐震補強補助金
・住宅取得後1年間の所得税は工事費の最大1/10まで税額控除
・住宅取得後1年間の固定資産税の最大2/3まで税額控除

など。

さらに40歳未満なら最大65万円までの補助制度が創設される、という報道もありました。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016082400806&g=eco

中古住宅を買って性能を上げて住むのが「時流」と言えると思います。

以上は理論であって、これから自邸で実践するところです。

詳しく知りたい方は連絡ください。

※写真は、実家のインスペクションをしている様子。床下に潜るところです。