第16回東京大学理学部公開講演会「ガリレオ・ダーウィン・ラボアジェから現代の理学へ」

久々に入った安田講堂は、意外と狭かった。
 
最初の講演は天文学教育センターの河野教授による、サブミリ波天文学の話。従来、水蒸気による減衰が激しく観測不可能だったサブミリ波が、南米チリの乾燥地帯・アタカマ砂漠に設置した望遠鏡で観測できるようになった。その結果、天の川銀河の千倍スケールの「モンスター銀河」が見えてきたという。宇宙には、まだまだ知らないものがたくさんあることを感じることができた。また、アタカマ砂漠での苦労話を聞き、天文学は意外と肉体派の学問なんだなと思った。
 
次の講演は、生物化学専攻の深田教授による、概日時計の話。人間を含む地球の生物に備わっている概日時計は、種によって24時間より長かったり短かったりする。人間の場合は25時間であるが、毎日の光の変化によってリセットされている。この人体の中枢時計は脳内の視交叉上核に存在するが、体内の肝臓などの組織にもそれぞれ末梢時計が存在し、中枢時計に従うという階層構造を持っている。マウスに対する食餌実験によると、抹消時計が中枢時計から独立してリセットされるという結果が出ている。このことから、光だけでなく、食餌のタイミングも体にとって重要であることが分かってきている。この話を聞いて、自分の不規則な食生活を反省させられた。
 
最後の講演は、紫綬褒章を授賞された化学専攻の中村教授による、有機分子を電子顕微鏡で見る話。カーボンナノチューブに入れた単一の有機分子を電子顕微鏡で撮像した。とにかく驚きの映像。とてもシンプルなことだが、今まで誰もできなかったし、できるとも思われていなかったことを成し遂げた。中村教授は「多額の血税を使って」などとおっしゃっていたが、こういうチャレンジであれば、仮に失敗したとしても多くの国民は許してくれるのではないだろうか(と思いたい)。化学というと、とかく理学部の中でも工学・産業界寄りで、実用に結びつく研究を追い求めがちだが、こういう研究にこそ理学の真髄がある、と言うと過言だろうか。
 
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/event/public-lecture16/

ブログ「たまには地球(した)を向いて歩こう。」2009.11.08より再掲

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