衝突する大陸はいかにして減速するのか?

当たり前ではないか、と思われる方もいるかもしれません。
 
しかし、私たちが普通に思い浮かべる衝突(車の衝突とか)とは違って、大陸の衝突は何千万年というとてつもなく長い時間スケールで起きているのです。これだけの長い時間では、岩石は固体というよりは粘性を持った流体として振舞います。ですから私たちは想像力をたくましくして、大陸がどうやって衝突するかを考える必要があるのです。
 
3月1日のNatureにインドとユーラシアの衝突に関する新しい研究成果が発表されました。
 
Continental collision slowing due to viscous mantle lithosphere rather than topography
 
インドは元々独立した大陸でしたが、プレート運動によって北上し、およそ5~4千万年前にユーラシア大陸に衝突(いつの時点をもって「衝突」と呼ぶかは論文によってまちまち)しました。衝突直後にプレート運動は急激に減速しましたが、その運動エネルギーは大陸を押し上げ、世界最高峰のヒマラヤ山脈とチベット高原を形成しました。この衝突運動のエネルギーは現在も残っており、しばしばこの地域に大きな地震を引き起こしています。
 
これまで大陸が衝突して減速するのは、従来は衝突によって山が高くなるからだとされてきましたが、この研究によると、大陸の下にあるマントルの粘性抵抗力の方が主要因であるそうです。その方が、衝突後のプレートの動きとモデルがよく合うからです。
 
もしも山の高さが主要因だとしたら、大陸の減速と同期して山の成長も減速しているはずですが、観測事実として山の成長はほぼ一定の速度でした。このことから、山が高くなるから大陸が減速するという主張は退けられます。
 
この研究は、地球表層のテクトニクスを考える上でも、マントルの働きが無視できないものであることを示唆していると思います。
 
さてこの説は、他の大陸プレートの衝突境界にも当てはまるのでしょうか?今後の研究を待ちたいと思います。
 
参考:
ミシガン大学のプレスリリース
OurAmazingPlanet.comの記事

ブログ「たまには地球(した)を向いて歩こう。」2012.03.03より再掲

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