アメリカ初・NY市直下のサービスデザインスタジオが立ち上がる

Masafumi Kawachi
3 min readNov 12, 2017

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10/6、アメリカ国内で初めての地方自治体に属するサービスデザイン專門の組織が立ち上がりました。フォーカスエリアは特に低所得者に対するサービスの向上。

組織としては、主にデザインコンサルティングやトレーニング、イベントの企画などを行っていき、ニューヨーク市の政治機関が市民に提供するサービスを支援していく。サービスデザインと謳っているが、軽く内容を見ていると専門家としてのデザイナーがリサーチ対象として市民を見るのではなく、市民参加型のCo Designのアプローチを重視しているのだろうか。

組織構成は政策・企画・ユーザーエクスペリエンス・エンジニアリングなどのあらゆるバックグラウンドの人材から構築されており、2018年には市政と共に貧困の緩和に取組むとのこと(NYでは、おおよそ44%の国民が貧困に近い状態らしい..)。ゴールとして、サービスデザインを用いることで、マイノリティであったり保護が必要な市民のニーズをよりよく満たせるNY市にしていくことを掲げている。

”デザイン”はあらゆる方向で政府組織に貢献できるだろう。一つには、イノベーションの文化を促進して、新たな規範と土壌を創ることで、政府内に公共イノベーションを促すこと。また、あらゆる物事を成し遂げるためにデザイナーが政策創出を試み、政治家がサービスデザインと参加型デザインを試みることができるような場所の創造に。

デンマーク・フィンランドを始めとした北欧(MindlabやSitraなどが有名か)、イギリス政府(Policy LabやGDSなど)では、こうした政府直系のデザイン機関が存在していたが、アメリカにもサービスデザインが政府レベルで入り込んでいきているのかと、広がりを感じた。ただ2014年の段階からテスト的に、デザイナーを雇い始めて人間中心のアプローチに取り組んでいて、徐々に裾野を拡げていった所に今回のサービスデザインスタジオの立ち上げのプレスを打ったという流れ。

Civic Service Designのサイトには、NY市がサービスデザインに関する方法・ツールをまとめて公開しているサイトもある。その中で、この広がりを表す文章が印象的。

Governments are embracing design — not as a trend, but as a way to transform how we deliver services and information to the public.

政府は、デザインを受け入れ始めている。それは単なるトレンドではない。むしろサービスと情報を公共へと届けるための変革の手段なのだ

ちなみに、政府系のデザイン機関だけでなくパブリックセクターに関わるエージェンシーも含めた組織を、世界地図にマッピングしているサイトを見てみると、ヨーロッパにかなり集中しているのは瞭然だが、各大陸にちらほらと存在していることがわかる。日本でこうした流れを起こすためにも、こうした事例の研究など小さなこと含めて今できることを考えて行動していきたい。

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