22歳で起業、30代で数百億円の資産家になった、「NANDA」の女性CEOキム・ソヒさんの起業ストーリー

Maria
6 min readJun 5, 2018

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先月、韓国を騒がせるニュースがありました。30代の女性が代表を務めるEC発事業が、数百億円単位で買収されたのです。

買収したのは、フランス発グローバル企業のロレアル(L’OREAL)。

5月初旬ファッションブランド「スタイルナンダ(STYLENANDA)」やコスメライン「スリーシーイー(3CE)」を展開する韓国の企業ナンダ(Nanda)の全株式を取得し、完全子会社化したことを発表しました。

キム・ソヒ代表(35歳)

スタイルナンダは、2004年にキム・ソヒ代表が創立。韓国をはじめとするミレニアル世代から高い支持を得ている人気ブランドで、日本でも昨年5月に国内初の路面店が原宿・竹下通りにオープンしています。

ロレアルへの全株式の売却額は不明ですが、400億円以上に相当するバリュエーションでの売却が決まったと報じられています。

ナンダ社の年商は現在、1億5000万ユーロ(約198億円)程度。Kim代表は、売却後もアートディレクターとして残る予定とのこと。

●韓国EC第一世代の代表格、「スタイルナンダ」創業ストーリー

2004年当初、専門大学を卒業し、平凡な会社員として過ごしていたキム代表は、母親のランジェリーショップで販売する商品を探しに東大門市場を定期的に訪れていました。そこで、なんとなくネット上でも売れるのではないか、とふと思いつき、韓国版eBayのようなオークションサイトで商品を販売しはじめました。それは非常に当たり、キム代表は自分で服を選び出品することで、一般的なサラリーマンを超える収入を得る事になりました。

その後、2005年から自社サイトでのECをスタート、2年後には自社で商品を手がけるようになりました。

2011年には、国内で売上げ34億円を出す規模に事業は拡大したものの、4千万の営業損失を出していました。幸い、海外でのKビューティー、Kファッションのブームが後押しし、2014年には151億円という爆発的な成長を成し遂げました。中国のある有名マーケットでは、スタイルナンダの商品が一日で20万個売れる程大人気。日本でも、10代が一番好む韓国ブランド1位の座をゲットするに至りました。

●「ナンダ」の成功要因

①センスと直感

キム代表の事業の成功の理由は、なんといってもキム代表の独特のセンス。モデルキャスティングとメイクのセンス、そしてサイトや商品全般に置けるブランディングとスタイリングからみれる統一された世界観を確立することは、簡単に真似出来ることではありません。

「みんなに“ライフスタイル”を伝えられるような写真を心がけた」と、キムCEOは振り返ります。

②チャレンジ精神と事業推進能力

しかしそれだけではなく、チャレンジ精神と事業推進能力も、キム代表の強みです。2011年にはスタイルガイドブックも出版。ECとして、前例の無いことでした。

出版されたスタイルガイドブックと3CEコスメライン

また、2011年までは売上げに対して衣類の高いコスト構造で粗利を出せずに苦戦していたキム代表は、コスメを自社開発することで、利益を出す事を試みました。実際、販売開始5日で完売され、3CEコスメラインは、今回のロレアルからの買収にも大きく貢献することになりました。

③徹底した顧客目線

顧客と「共感すること」を非常に大事にし、製品ではなく、感性と文化を売る、ということを徹底的に意識していたキム代表は、社員にも顧客を「オンニャ」と呼ぶように指示。(”お姉ちゃん”という意味)このようにCSの重視し、25名を超えるCS部隊が常に顧客に返信する手厚いカスタマーサービスも、また強い競合優位性になりました。様々な決済手段をどのECよりも足早く導入したのも、スタイルナンダが初めてですが、「顧客への共感」があってこそ可能なことだったかと思います。

キム代表は、海外進出により拍車をかけるために2016年からグローバルパートナーを探しつづけてきました。2年間の議論の結果、落とし所を見つけるに至ったとのこと。

キム代表は、起業を夢見る若者に対してこのように伝えています。

「私が起業する前は、皆が、試着せず服を買うなんて有り得ないと笑ってたわ。他人の言うことなんかで自分がやりたいことを諦めてはダメ。怖がらないで。自分が信じて歩めば、それが道になるから。」

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