暗号通貨とそれらが織りなす経済圏について⑧

Maiko1059
7 min readAug 15, 2018

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トークンエコノミーってなあに?の始まりが、③の記事でございました。

https://medium.com/@maiko125/暗号通貨とそれらが織りなす経済圏について③-6c314edd33dc

そこから、④~⑦までは、流動性を担保するための重要な要素の一つ、スケーラビリティの話に寄り道していたのですが、そろそろ③の続き、トークンエコノミーのお話に戻ります。

暗号通貨から、トークンエコノミーにおける私の関心は、ビットコインやイーサリアムのブロックチェーン上で動く、アプリケーションとしてのトークンによる経済圏を構築できるか?です。

どういうことかというと、③の終わりにも触れましたが、以下の3つを達成条件と考えています。

1.そのトークンに設計された利用価値(使い道)に人が魅力を感じるかどうか

2.その経済圏で閉じるのみならず、トークンとしての流動性を獲得できるか

3.持続的・継続的に運用され続けるものであるか

上記の3つを実現することで、法定通貨と同じレベルとまではいかなくとも、暗号通貨に利便性を感じて、少しでも実生活・実経済で利用されるようになる社会になれば、いいなぁと思っています。あとは、いうまでもなく、③の記事で少しだけ要素として触れました、分散型やセキュリティも大事な要素ですね(ただこれは、アプリケーションというよりは、ブロックチェーンとしての性質に依ってくるかと思います)。この辺りはまた触れたいですね。

トークンエコノミーの実現には、トークンの価格安定性が重要と言われています。変動幅が大きい=ボラティリティが高い通貨を、人々は決済に使用しないですし、トークンをサービスの機能利用料として主に用いるユーティリティトークンや、証券に近いセキュリティトークン、どちらとして利用する場合にも、価格が不安定なままでは、経済圏として成り立ちにくいです。

ステーブルコインは、一言でいうと、常に法定通貨や暗号通貨、何かしらの通貨とペグすることで、価格を固定に近づけ、変動幅を少なくするシステムにより設計されているトークンです。

そしてステーブルコインについては、以下の記事をはじめ、色々なところで語られております。どれもすごく良くまとまっていて、かつ深くまで書かれており素晴らしいです。

https://hackernoon.com/stablecoins-designing-a-price-stable-cryptocurrency-6bf24e2689e5

(はじめにステーブルコインについて触れた記事。この時はふーんって感じでした)

https://yu-kimura.jp/2018/07/07/stablecoin-trilemma/

(上記と似ているがさらに需要増、減耐性も入れてまとめられた分かりやすい記事)

https://jp.cointelegraph.com/news/stable-coins-analysis-is-there-a-viable-solution-for-the-future

(体系立っており、具体的事例も網羅的で読みやすい)

https://dragon-taro.com/blockchain/post-322/#outline__2_3

(Maker DAOを分かりやすく解説)

https://individua1.net/makerdao-collateralized-debt-position-smart-contracts/

(Daiのホワイトペーパー読み解き。かなり細かくてすごい)

https://www.youtube.com/watch?v=aEZ7LAyFbHI

(ちょうど昨日お見受けした志茂さんのスライド。1時間くらいから)

もう、ここまで語られているならば、不要かな、とも思ったのですが、自分なりの目線で言語化することで理解したいので、改めて触れていきたいと思います。

法定通貨でペグされているものとしては、テザーが有名ですが、テザーは発行元のTether社が、常に1USドルと引き換えに、USDTという単位でコインを発行します。発行者がいて、その第三者がUSドルを資産として大量に持っていることを信じて、ユーザーは交換する。これには、本当は裏付けとなる資産を持っていないんじゃないかとか、色々な疑惑があります。また、カウンターパーティリスクがあります。発行主体が倒産するケースや、そもそも中央集権を前提としたものなので、ハッキングされたら預けたお金は戻ってこない可能性があります。マウントゴックスやコインチェックの流出事件を想起します。

はい、テザーは以上です。早!

でもあまり、言うことがないんですよね。。シンプルなので。

今回は、同じく法定通貨のUSドルとペグされているものの、仮想通貨分散型のDai(ダイ)を紹介します。ちょっと今回だけでは書ききれないので、2回か3回に分けて書きます。ただ、きわめて、シンプルにお伝えしていきたいと思います。

Daiは、イーサリアムをコラテラル・証拠金とし、その代わりに発行されます。その仕組みの詳細は次回に譲りますが、今回は、そもそものペグ性について理解していきたいと思います。

1.Daiはどうやって1USドルを保っているのか

一言でいうと、Daiはターゲットレートとターゲットプライスの常日頃のバランスによって事実上1ドルにほぼペグされています。

それを可能にするのがthe Target Rate Feedback Mechanism (TRFM)というメカニズム(ホワイトペーパーより)。

Maker DAOホワイトペーパーは以下。https://makerdao.com/whitepaper/DaiDec17WP.pdf

ターゲットレートとターゲットプライス、どっちが先立つのか分からなくなるので、にわとりたまごシステムと勝手に呼ばせていただきます。

ターゲットプライスは、最初は1ドルからスタートします。

そのターゲットプライスを変動させる要因がターゲットレートです。

この時点ですでにややこしいのですが、ターゲットレートもプライスも、どっちも、変動します。ターゲットレートが上がればターゲットプライスも上がるし、ターゲットレートが下がれば、ターゲットプライスも下がるという理解で間違っていないと思います。レートの上下がDaiの需要に与える影響が、以下の2パターンあります。

市場の流通価格であるマーケットプライスも登場します。

A:ターゲットレートが上がった場合

つまりレートがPositive→人々はDaiを保持してキャピタルゲインを得たい→Daiの需要増→マーケットプライスが上がる

→マーケットプライスがターゲットプライスを超えると、今度はターゲットレートが下がる

B:ターゲットレートが下がった場合

つまりレートがNegative→人々はDaiを保持するのではなく借りたい(Daiを作りたい)→Daiの需要減→マーケットプライスが下がる

→マーケットプライスがターゲットプライスより下がると、今度はターゲットレートが上がる

はい、レートが下がると需要減ってどういうこっちゃ?となるのですが(私だけかもしれないですが)、レートの上下に応じて、Daiを作る行為に出た方が得なのか(需要減)、保持して売った方が得なのか(需要増)、と考えると何となく腹落ちできます。

ホワイトペーパーによると、generation​ ​of​ ​Dai​ ​with​ ​CDPs​ ​to​ ​become​ ​more​ ​expensiveという表現がされています。つまり、レートが高いうちは、Daiを作ると割高なので、Daiを新規に作る人は少なく、逆に保持する需要が増える。安いと、Daiを割安で作れる=借りられるので、需要は減る、ということなんだそうです。

こうすると、常にDaiのマーケットプライスは、上がると下がり、下がると上がり・・・を繰り返すので、事実上ほぼペグされている、というわけです。

次回は、2.Daiの作り方・その発行システムについて、お伝えしていきます。

ありがとうございました。

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Maiko1059

crypto currencyに興味を持って色々と調べるうちに抜け出せなくなりました。